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『「介護時間」の光景』(145)「つりかわ」。2.25.

 いつも読んでくださっている方は、ありがとうございます。おかげで書き続けることができています。


 この『「介護時間」の光景』を、いつも読んでくださってる方は、「2003年2月25日」から読んでいただければ、これまで読んで下さったこととの、繰り返しを避けられるかと思います。

 初めて読んでくださっている方は、見つけていただき、ありがとうございます。
 私は、臨床心理士/公認心理師越智誠(おちまこと)と申します。

自己紹介

 元々は、私は家族介護者でした。介護を始めてから、介護離職をせざるを得なくなり、介護に専念する年月の中で、家族介護者にこそ、特に心理的なサポートが必要だと思うようになりました。

 ただ、そうした支援をしている専門家がいるか分からなかったので、自分で少しでも支援をしようと思うようになりました。

 それは、分不相応かもしれませんが、介護をしながら、学校へも通い、2014年には臨床心理士の資格を取りました。2019年には公認心理師資格も取得しました。現在は、家族介護者のための、介護相談も続けることが出来ています。


「介護時間」の光景

 この『「介護時間」の光景』シリーズは、介護をしていた時間に、どんなことを考えたのか?どんなものを見ていたのか?どんな気持ちでいたのか?を、お伝えしていこうと思っています。

 それは、とても個人的で、しかも断片的なことに過ぎませんが、それでも家族介護者の気持ちの理解の一助になるのではないかとも思っています。

 今回も、昔の話で申し訳ないのですが、前半は「2003年2月25日」のことです。終盤に、今日、2023年2月25日のことを書いています。


(※ この『「介護時間」の光景』シリーズでは、特に前半部分の過去の文章は、その時のメモと、その時の気持ちが書かれています。希望も出口も見えない状況で書いているので、実際に介護をされている方が読まれた場合には、気持ちが滅入ってしまう可能性もありますので、ご注意くだされば幸いです)


2003年の頃

 1999年から介護が始まり、2000年に、母は転院したのですが、私は、ただ病院に毎日のように通い、家に帰ってきてからは、妻と一緒に義母の介護を続けていました。

 ただ、それ以前の病院といろいろあったせいで、うつむき加減で、なかなか、医療関係者を信じることができませんでした。それでも、3年がたつ頃には、この病院が、母を大事にしてくれているように感じ、少しずつ信頼が蓄積し、その上で、減額措置なども教えてもらい、かなり病院を信じるようになっていました。

 それでも、同じことの繰り返しの毎日のためか、周囲の違和感や小さな変化にかなり敏感だったような気がします。

 2003年の頃には、母親の症状も安定し、病院への信頼も増し、少し余裕が出てきた頃でした。これまで全く考えられなかった自分の未来のことも、ほんの少しだけ頭をよぎることがありました。

 毎日のように、メモをとっていました。


2003年2月25日

『2日間、病院に行かなかった。
 午後4時半ごろ、つく。母は横になっていた。

 少し、病棟の中を一緒に散歩したら、「最近、朝は、シューズに履き替えていくから、気持ちよく歩けるのよ」と言ってくれた。

 この前、買っていったヒモがなくて軽いスニーカーが、フィットしているようで、よかった。

 夕食45分かかる。

 テレビで見た映像をきっかけとして、どんな関連があるのか分からないが、「犬山城、なつかしい」を連発していた。

 確かに、何度か行ったことがある。父の転勤で、小学生の頃、岐阜県に住んでいたから、比較的、近い観光地だった。

 夜になって、スタッフの今日のトイレの状況を聞かれて「大が二回で、小が十四回。バレンタイン」と答えていて、少し感心もする。

 午後7時に病院を出る。

 今日は、少しあたたかい』。

つりかわ

 ホームで電車を待っていて、向こう側の電車を見ていると、小学生の遠足なのか、子供達がたくさん乗った車両が見えた。

 低学年のせいか、かなり小さい。
 その子達は、まだ届かないのに、つり革に向かって手を伸ばしている。みんなで、必死に助けを求めている姿にも見えた。

                         (2003年2月25日)


 その翌年、母親の肝臓にガンが見つかった。
 手術をして、いったん落ち着いたものの、2005年には再発し、2007年には、母は病院で亡くなった。
 義母の在宅介護は続いていたが、臨床心理学の勉強を始め、2010年に大学院に入学し、2014年には臨床心理士の資格を取得し、その年に、介護者相談も始めることができた。

 2018年12月には、義母が103歳で亡くなり、19年間の介護生活も突然終わった。2019年には、公認心理師の資格も取得した。昼夜逆転のリズムが少し修正できた頃、コロナ禍になった。


2023年2月25日

 冬の北風は、本当に冷たい。

 毎週、土曜日は基本的に外出して、仕事をする。

通勤

 2020年にコロナ禍になってから、家族にゼンソクを持っている人間もいるので、感染しないことを目標に生活をしてきた。

 それでも、働かないと、と思いながらも、平日の通勤ラッシュの電車は、もしも感染したらと思うと、怖くて乗らないようにしているので、今も、基本的には、出かけるのは土曜日だけにしている。

 だから、仕事を増やすのも難しく、経済的にはギリギリになってしまっているが、感染を考えて、そんな習慣を続けている。

マスク

 新型コロナウイルスは、まだ決定的な治療薬もなく、特に持病を持ったり、高齢だったりすると、重症化のリスクは変わらないままなのに、「5類移行」が決まって、マスクを外すか、外さないか、ばかりが言われている。

 3月13日と日付けだけは決まっているのが不思議だが、その頃になっても、感染をしないことを目標にするのは変わらないので、つけなくても大丈夫な場合以外は、基本的にはマスクの着用は続けるつもりでいる。

 それでも、多くの人がマスクをしなくなって、感染増大することもあり得るので、今から、不安はある。

夕方

 午後4時頃には仕事が終わり、帰りの電車に乗る。

 土曜日のこのくらいの時刻は、車両もそれほど混んでいない。

 いつ感染しても、誰でも、適切な治療を素早く受けることができる。…そんな「with コロナ」の時代になるまでは、これからも、今のように、なるべく感染をしないように、極力、外出を控える生活を続けることになりそうだけど、経済的な厳しさもあるから、限界もあると思う。

 そんなことを考えると、気持ちは重い。




(他にも、介護のことを、いろいろと書いています↓。よろしかったら、読んでもらえたら、うれしいです)。





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越智誠  臨床心理士/公認心理師  『家族介護者支援note』
 この記事を読んでくださり、ありがとうございました。もし、お役に立ったり、面白いと感じたりしたとき、よろしかったら、無理のない範囲でサポートをしていただければ、と思っています。この『家族介護者支援note』を書き続けるための力になります。  よろしくお願いいたします。

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