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介護に関して、思ったこと①「コロナ感染、入院拒否で罰金」。

 いつも読んでくださる方は、ありがとうございます。
 初めて、読んでくださっている方は、見つけていただき、ありがとうございます。

 臨床心理士/公認心理師越智誠(おちまこと)と申します。

 元・家族介護者ですが、介護中に、介護者への心理的支援が足りないと思い、生意気かもしれませんが、自分で専門家になろうと考え、勉強し、学校へ入り、その後、臨床心理士になりました。それから、家族介護者の心理的支援のための「介護相談」を始めて、ありがたいことに8年目になりました。


(よろしかったら、このマガジン↓を読んでもらえたら、これまでの詳細は分かるかと思います)。

 このnoteは、家族介護者に向けて、もしくは介護の専門家に対して、少しでも役に立つようにと考えて、始めました。もし、よろしければ、他の記事にも目を通していただければ、ありがたいのですが、これまでは、あまり現在起こっていることに対してよりは、もう少し一般的な内容を伝えたいと思って、書いてきました。

 ただ、今回の「コロナ感染、入院拒否で罰金」というニュースを見て、私が語る資格もないのかもしれませんが、考えることがあり、お伝えしようと思いました。

 もし、よろしければ、読んでいただければ、ありがたく思います。


 家族介護者が入院する、ということ


 個人的な経験ですが、今回の「入院拒否で罰金」というニュースを聞いて、思い出したのは、自分が初めて入院した時のことです。

 その頃は、介護を始めてから10年以上が過ぎていて、臨床心理士になろうと思い、大学院に通い、2年で修了のはずが、修士論文ができあがらずに1年伸ばして、まだ学校に通っていました。介護は相変わらず続いていて、午前5時まで眠れない状況は変わらないのですが、1年伸ばしたのに、さらに論文の分量を増やそうとして苦戦をしていた上に、いくつかのトラブルというか、負担になることが重なったのだと思います。

 急に立っていられないほどのめまいになりました。本当に周りがぐるぐると回り続けています。それは、外から見たら、自分の目が震えるように動き続けている、眼振という状態だったのでしょうが、何しろ目が回って、立てず、しかも吐き気にも襲われました。

 寒気もしてきて、もうダメかも、と思いながらも、予定に対しての最低限の連絡を妻にしてもらって、同時に、迷いながらも救急車を頼みました。介護が必要な義母は、いつも通りに家にいます。昼間だったので、妻に介護をしてもらっていましたが、今日の夜が心配でした。

 だけど、気持ちは悪いし、めまいは治らないし、救急車が来た時に、4人くらいの救急隊員がいたと思いますが、そのうちの何人かから、「脳ですね」という言葉が聞こえました。自分でも、脳内に出血したか、もしくは介護中に心房細動の発作を起こして、過労死一歩手前と言われたこともあったので、真っ先に脳梗塞だと思いました。知らないうちに、心房細動の発作を起こしていてもおかしくありませんでした。

 今は意識があるけれど、脳だったら、命に関わるし、これだけ気持ちが悪くて、めまいがひどくて、あとで聞いたら、寒い寒いを連発していたらしいので、自分でも、心房細動の発作以来、もう死ぬんだな、と思いました。

 救急車に乗せられましたが、その間も、妻は義母の介護があります。救急隊員はあちこちに電話をしてくれて、やっと行き先が決まりました。私はとにかく一人で行くつもりで、財布と保険証だけは両手に持って、ラッコのようにお腹の上で持ちながら、そのままスタートしてもらうつもりでした。

 救急隊員は、奥さんも乗ってください、と促していましたが、それに対して、私も、行かなくていいです、と伝わったかどうかわかりませんが、言いましたし、妻も、申し訳なさそうに、「母がいるので」と言いましたが、それは、当然のことだと、フラフラした意識の中でも、それだけははっきりと思っていました。

 これから入院するとしても、妻がついてきてくれるのは、無理だと思いました。それは義母がいるからで、もう10年以上介護してきましたが、今は自分では立てず、ポータブルトイレも全介助で、トイレも近い方でしたから、1時間くらいでも目を離せませんでした。

 だから、本当でしたら、私も病院にも行きたくなかったのですが、命に関わっているようなので、一人で財布と保険証だけを持って、救急車で運ばれて、右に左に曲がるたびに気持ち悪くなっていましたが、家のことは心配でした。

 それだけ、わずかの間でも、目が離せないのが、介護だと思います。


 その時は、入院してCTやMRIでも、異常なし、と言われました。
 耳鼻科にも診てもらったのですが、結局は原因はわからず、だけど、2泊3日で退院できました。

 妻はケアマネさんに連絡をして、急なことにも関わらず、私の入院の翌日からショートステイに義母が入ることが出来ました。

 それでも、入院当日は、昼間だけでなく、夜中まで妻が介護をしてくれました。そのためだけではないと思いますが、妻は体調を崩し、それから1ヶ月くらいは、ずっと咳き込みが続いたりしました。

 それくらい、いつもギリギリで介護生活をしていたので、私が1日、2日いないだけで、負担が増えてしまい、申し訳ないと思いました。

入院拒否で罰金、という法律について

 これは、ごく個人的な経験に過ぎず、この頃は、もう10年くらい前ですから、コロナ禍とも無縁でした。

 だけど、もしも、今、自分がコロナウイルスに感染し、まだ介護中で、入院を勧められたら、もし症状がまだ出ていなかったら、感染に気をつけながら、ショートステイに入ってもらえるまでは、入院を待ってもらうかもしれません。

 こういう仮定をすること自体が、現在、コロナ禍の不安の中で介護をされていたり、もしくは実際にコロナ感染されながらも、介護をどうするのか?といった、どうしようもなく過酷な状況にいらっしゃる方には、不遜で失礼なことだと思います。

 それでも、介護をされている方は、おそらくは24時間、365日体制で介護をされていらっしゃる方が大部分ではないか、と思ってもいますので、もしも、今回、コロナ陽性にもかかわらず、介護者が入院拒否、ということがあれば、それだけ介護から離れられない事情がある、とは想像できます。

 入院を強制するのであれば、もしも、コロナ陽性になった方が、介護者であれば、介護に支障がないような体制を整えてから入院、という手順にしてほしい、と思っています。

 今回の罰金の規定まである法律が、どこまで厳密に運営されるかわかりませんが、コロナ陽性で入院拒否には罰金、という法律ができることによって、ただでさえ今も大変な毎日のはずの介護者の方々が、感染した場合への不安がより強くなり、気持ち的には、より追い込まれてしまう可能性もあります。

 この記事を読んでくださっている介護の専門家であれば、どんな場合でも入院拒否ですぐ罰金とは、考えていらっしゃらないと思います。

 それでも、コロナ陽性となり、入院拒否という状況に立ち合われる場合は、それだけの事情があると察していただき、介護者が介護に対して、少しでも安心していただけるような環境を整えていただければ、ありがたいと思っています。

 もしかしたら、こうした勝手な心配は、不遜で失礼かもしれませんが、今回の「入院拒否で罰金」という法律ができたことで、より追い込まれる家族介護者がいらっしゃっるとすれば、その周囲の方の接し方によって、少しでも負担感が軽くなるのではと思い、こうして記事を書くことにしました。


 それでも介護をされている家族介護者の方や、介護の専門家の方々にとっては、失礼になったり、僭越なこともあったかと思います。すみません。それでも、介護者が、このような状況でも、少しでも負担感が減るようになるように、と思っています。



(他にも介護のことで、いろいろと書いています↓。よろしかったら読んでいただければ、幸いです)。



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越智誠  臨床心理士/公認心理師  『家族介護者支援note』
 この記事を読んでくださり、ありがとうございました。もし、お役に立ったり、面白いと感じたりしたとき、よろしかったら、無理のない範囲でサポートをしていただければ、と思っています。この『家族介護者支援note』を書き続けるための力になります。  よろしくお願いいたします。