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『「介護時間」の光景』(191)。「飛行機」。1.29。

 いつも読んでくださっている方は、ありがとうございます
 おかげで書き続けることができています。

(この『「介護時間」の光景』を、いつも読んでくださってる方は、「2003年1月29日」から読んでいただければ、これまで読んで下さったこととの、繰り返しを避けられるかと思います)。

 初めて読んでくださっている方は、見つけていただき、ありがとうございます。
 私は、臨床心理士/公認心理師越智誠(おちまこと)と申します。

「介護時間」の光景

 この『「介護時間」の光景』シリーズは、私自身が、介護をしていた時間に、どんなことを考えたのか?どんなものを見ていたのか?どんな気持ちでいたのか?を、お伝えしていこうと思っています。

 それは、とても個人的で、しかも断片的なことに過ぎませんが、それでも家族介護者の気持ちの理解の一助になるのではないかとも思っています。

 今回も、昔の話で申し訳ないのですが、前半は「2003年1月27日」のことです。終盤に、今日、「2024年1月27日」のことを書いています。

(※ この『「介護時間」の光景』シリーズでは、特に前半部分の過去の文章は、その時のメモと、その時の気持ちが書かれています。希望も出口も見えない状況で書いているので、実際に介護をされている方が読まれた場合には、気持ちが滅入ってしまう可能性もありますので、ご注意くだされば幸いです)

2003年の頃

 1999年から介護が始まり、2000年に、母は長期療養の病院に入院したのですが、私は、ただ病院に毎日のように通い、家に帰ってきてからは、妻と一緒に在宅で、義母の介護を続けていました。

 ただ、それ以前の病院といろいろあったせいで、うつむき加減で、なかなか、医療関係者を信じることができませんでした。それでも、3年がたつ頃には、この病院が、母を大事にしてくれているように感じ、少しずつ信頼が蓄積し、その上で、減額措置なども教えてもらい、かなり病院を信じるようになっていました。

 それでも、同じことの繰り返しの毎日のためか、周囲の違和感や小さな変化にかなり敏感だったような気がします。

 2003年の頃には、母親の症状も安定し、病院への信頼も増し、少し余裕が出てきた頃でした。これまで全く考えられなかった自分の未来のことも、ほんの少しだけ頭をよぎることがありました。

 それでも毎日のように、メモをとっていました。

2003年1月29日

『2日おいて、病院へ向かう。

 その途中に、冬のバーゲンがあるので、服を買おうとして、そういう店に寄って、そのためか、それほど混んでいるわけでもないのに、久しぶりの買い物で顔がほてってしまい、自分がバカみたいだと思う。

 駅前で、シュークリームを買って、病院へ持っていく。

 午後4時過ぎに着く。母は横になっていたのだけど、喜んでくれて、食べるとも言ってくれたので、一緒に食べた。

 夕食35分くらいかかったけれど、途中で地震があった。

 最初、自分のめまいかと思った。

 そのとき、あわてたそぶりも見せていなかった母親も、あとになって、同じようなことを言っていた。

 午後7時に病院を出る。』

飛行機

 バスの中から外が見える。

 他の地方は、ほとんど残らず雨らしいと天気予報で見たけれど、関東地方だけが晴れらしい。だけど、自分がいるところが晴れていると、雨が降っているところがあるのが、ピンと来ない。

 プロペラ機が空を飛んでいる。たぶんアメリカ軍のもの。4つのプロペラが回っている。回転と光のタイミングのせいなのか、プロペラの形まではっきりと分かる。すごくゆっくりと飛んでいて、浮いているように見える。

 かなりのスピードのはずなのに。

                        (2003年1月29日)


 この生活は、まるで終わらないように続いたのだけど、その翌年、2004年に、母親の肝臓にガンが見つかった。
 手術をして、いったん落ち着いたものの、2005年には再発し、2007年には、母は病院で亡くなった。
 義母の在宅介護は続いていたが、臨床心理学の勉強を始め、2010年に大学院に入学し、2014年には臨床心理士の資格を取得し、その年に、介護者相談も始めることができた。

 2018年12月には、義母が103歳で亡くなり、19年間の介護生活も突然終わった。2019年には、公認心理師の資格も取得した。 
 昼夜逆転のリズムが少し修正できた頃、コロナ禍になった。


2024年1月29日

 天気はいい。

 空気は冷たいけれど、外へ出ると気持ちがいい。

 洗濯物があまりたまっていないので、今日は洗濯をやめた。

支援

 録画していたドラマを妻と一緒に見た。

 色々なことを考えた。

 あまり大変さばかりを強調するのは失礼だとも思うけれど、発達障害の支援に関わる場合でも、もっと養育者側のサポートに力を入れるべきだと考えていた。

 今はほとんど関わっていないので、何か言う資格はあまりなく、現在は、家族介護者の心理的支援が専門なのだけど、それでも介護と同様に、ケアに関わる人を、どうやって支えるかは、もっと議論され、重視されていいと改めて思った。

夕日

 いつの間にか夕方になっていた。

 夕日がだいだい色になっている。

 暗くなるのが遅くなってきて、確実に、日が伸びてきていると感じる。


 

(他にも介護のことをいろいろと書いています↓。よろしかったら、読んでもらえたら、うれしいです)



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越智誠  臨床心理士/公認心理師  『家族介護者支援note』
 この記事を読んでくださり、ありがとうございました。もし、お役に立ったり、面白いと感じたりしたとき、よろしかったら、無理のない範囲でサポートをしていただければ、と思っています。この『家族介護者支援note』を書き続けるための力になります。  よろしくお願いいたします。