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1人1台端末時代に求められる、デジタル・シティズンシップ教育って何?

 1人1台端末の活用が日常的に行われることにより、これまでの抑制的、抑止的な指導ではなく、前向きな活用を促す指導が必要だと学校現場が揺れている。
 そこでキーワードとなっているのが、デジタル・シティズンシップ教育である。このデジタル・シティズンシップ教育を行う第一歩として、デジタル・シティズンシップの授業を行う教師が、その本質を理解した上で、教材と向き合い、授業を組み立られるようにすることが大切である。

 まずは、デジタル・シティズンシップ教育の本質を理解していきたい。そもそもデジタル・シティズンシップ教育とはどのようなものなのか。

 デジタル・シティズンシップ教育は、「テクノロジーの善き使い手となる学び」である。ただし、この学びは自分のことだけに留まらず、情報社会を構築する善き市民となる学びである。「構築する」が大切なキーワードであり、情報の消費者に留まらず、創造者になることが求められる。
 「社会を構築する」とは、デジタル・シティズンシップ教育は、自分事だけではない、公共の学びであることを示す。

 もっと分かりやすい表現が無いかと模索したところ、小学校家庭科の調理実習の事前指導に見立ててみたい。

 調理実習の事前指導で、包丁の扱い方を指導されるかと思う。多くの先生は、包丁を安全に使えるように指導する。その際、どうやったら安全に使えるのかを児童に問い掛けるかと思う。すると、児童から、「添える手を猫の手にする」とか、「包丁を使うときには目を離さない」などの答えが返ってくる。
 包丁を安全に使えるように指導することはとても大切なことですが、それ以上に大切なのは、「その道具を使って、どのように調理し、どのように周りの人や自分自身を喜ばせるのか」である。つまり、ここでの本質的な目的・問い掛けは、道具を上手に活用することで得られるメリットまで考えさせることである。道具を安全に使えることは当然踏まえておく話であり、そこをゴールにしてはならない。

 さて、ここで包丁を端末に置き換えてみる。

 すると、端末も安全利用を前提にして上で、その本質的な部分である、テクノロジーや情報を生かして考えを生み出し、社会や自身の生活をよりよくする知識やスキルの育成と置き換えることができる。

 端末の活用を目的にしてはならず、端末の活用においてどのようなウェルビーイングをもたらすことができるのか、そこがデジタル・シティズンシップ教育の本質であることが見えてくる。

<参考文献>
〇 デジタル・シティズンシップ コンピュータ1人1台時代の善き使い手をめざす学び 坂本旬、芳賀高洋、豊福晋平、今度珠美、林一真 2020.12 大月書店
〇 デジタル・シティズンシップ+ やってみよう!創ろう!善きデジタル市民への学び 坂本旬、豊福晋平、今度珠美、林一真、平井聡一郎、芳賀高洋、阿部和広、我妻潤子、たきりょうこ(漫画) 2022.4.20 大月書店


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