生米からつくる「鰆粥」のレシピ
魚編に春と書く、「鰆(さわら)」が主役のおかゆをつくりました!さわらは、スズキ目・サバ科。たしかに、脂の味とか、身離れの感じとか、サバに似ているような…?でも、さわらの方が味が濃く、身がふわっとしていて、臭みが少ない気がします。
関東では冬のさわら(寒鰆)が好まれますが、さわらは春になると産卵のために瀬戸内海に大移動。これからの季節は西のさわらがおいしくなります。
西京焼き、塩焼き、アクアパッツァ………あまたあるさわら料理の中でわたしが一番好きなのが「さわらの山椒焼き」!山椒のキリッとした香りと、脂の乗ったさわらの濃ゆい風味がたまりません。
おかゆにしても旨味がぎゅ〜という感じで、最高でした。
一方で、山椒がなしだとどうなるかと考えてみたら、多分さわらの臭みが気になると思います。山椒をかけない場合は、バターをのせる、ごま油をかけるなど、香りがたつものと合わせないと、今回の薄味レシピには合わない気がします。はやりここは山椒をたっぷりかけて、シンプルなさわらの風味をたのしむのがおすすめです。
山椒を効かせた「鰆粥」
生米からつくるので、炊いたご飯のストックがなくても大丈夫。じっくり火を入れるため、ふっくらおいしいおかゆになります。完成まで50分〜1時間ほどかかりますが、多くの時間は放置ができるのでそれほど手間はかかりません。
記事の後半では写真とともに詳しい作り方をご説明いたします!
【 材料 】(2人前)
▶︎ 昆布 ・・・10cmほど *
▶︎ 生米 ・・・1/2合
▶︎ 水 ・・・700ml
▶︎ さわら ・・・1切れ
▶︎ 塩 ・・・小さじ1/2
▶︎ 山椒の粉 ・・・少々
おこのみで
▷ まいたけなど
*昆布出汁の代わりに、顆粒の和風だし(小さじ1)でもOKです。
【 レシピ 】
★前日に細切りにした昆布を水につけておく。※昆布出汁を使う場合
①さわらを半分に切り、水気を拭き取る。塩(少々・分量外)をまぶしておく。
厚手の鍋によく研いだ米、昆布ごと出汁を入れる。水が700mlになるように調節する。
②鍋を中火にかける。このときフタはしない。
お鍋の温度が上がってきたら、昆布を取り出し、さわらをお鍋に入れる。
さわらの表面が白くなったら、取り出しておく。
③お鍋が沸いたら、鍋底から米粒をはがすようにおたまでゆっくりまぜる。
鍋にお箸を渡してフタをした状態で弱火に30分かける。
④塩で味をととのえる。鍋全体をゆっくりとまぜて火を止める。
さわら、まいたけをお鍋に入れて、フタをして10分蒸らす。
山椒とともに器にもりつけたら、完成!
【 つくりかた (写真つき)】
ここからは写真とともに詳しい作り方を解説いたします!
★前日 ※昆布出汁を使う場合
昆布をさっと水でゆすぎ、キッチンバサミで細切りにします。一晩、水につけておきます。
昆布は断面から旨味がでるため、細切りにします。常温で放置すると、水が腐ってしまうことがあります。念のため冷蔵庫に入れておくと安心です。
①準備
さわらを半分に切り、水気を拭き取ります。塩(少々・分量外)をまぶしておきます。
保温性の高い厚手のお鍋に、研いだ米(半合)、お出汁を昆布ごと入れます。このとき水が700mlになるように、調節をします。
昆布出汁を使わない場合は、顆粒の和風だし(小さじ1)を入れます。
今回は最後の蒸らしの時間にさわらに火を通すので、必ず保温性の高いお鍋を使ってください。雪平鍋など薄手のものですと、余熱で火を通すことが難しいです。
②中火
用意ができたら、お鍋を中火にかけます。このときフタはしません。
中火は、炎の先端がちょうど鍋底につくくらいの強さです。しっかりと鍋の中心と火の中心を合わせることで、焦げ付きや加熱のムラを防ぐことができます。
鍋の温度が上がってきたら、昆布を取りだし、さわらをお鍋に入れます。
昆布を煮立ててしまうと臭みが出てしまうので、ボコボコする前に取り出します。細かくて取りにくいので、だいたいで大丈夫です。
さわらの表面が白くなったら、取り出してておきます。
さわらはとても身が崩れやすいので、やさしく、丁重に扱います。表面だけ湯通ししておくことで、身の旨味が逃げません。おかゆにさわらの風味が染み込むのも嬉しいポイントです。
③弱火
表面の白い泡がポコポコとし始めたら、おたまで混ぜます。
鍋底に米粒が張りついているので、おたまではがすようにそ〜っとていねいに混ぜます。
吹きこぼれを防止するためにフタに菜箸をはさんだ状態で、30分間弱火にかけます。
写真のようにお箸をはさんでおけば吹きこぼれることはないので、目を離して大丈夫です。忘れないようにタイマーをセットしておきましょう。
④仕上
30分弱火にかけたら、お塩(小さじ1/2程度)を入れて全体を混ぜて、火を止めます。さわら、まいたけをお鍋に入れます。
「入れる」というよりか「置く」という感じです。さわらとまいたけに、余熱で火を通します。
10分間、フタをして蒸らします。
おかゆの余熱は思ったよりもパワフルです。切り身レベルのお魚なら蒸し魚になります。食感を残したいきのこ・葉物野菜も、この10分間の加熱だけでもちゃんと火が通ります。
ただし、お鍋の種類によっては、保温効果が足りない場合があります。心配な場合は途中で1〜2分ほど、ごく弱火で追加で熱を入れると安心です。
蒸らしが完了したら、器に盛りつけて山椒をふって、完成です!
淡いピンクが春らしい!きれいです〜!
おかゆに蒸らされたさわらは、身がふっくら。香りもしっかりたっています。
もうひとつの嬉しい特徴が、焼き魚のように身が縮まないこと。
このサイズのさわらでも、
ちゃんと、二人前になります◎
湯通ししてから蒸らすので、旨味がぎゅっと詰まった感じです。
さわらの風味が広がったおかゆは、隅々まで幸せなお味です。
ああ、おいしい。
濃ゆいさわらの味と、シンプルなおかゆをつないでくれているのは、山椒なのでしょうね。
やはり、山椒は必須かも。
(まいたけはあったら嬉しいけど、なくてもいいかな〜という感じでした。笑)
魚偏に春夏秋冬
魚偏に「春」と書いて、サワラ(鰆)。
他の漢字をなんと読むか、ご存知ですか?
季節を遡ると、
魚偏に「冬」と書いて、コノシロ(鮗)
コノシロは、お寿司の「コハダ」ですね!
光り物、大好きです〜!
魚偏に「秋」と書いて、カジカ(鰍)
金沢の郷土料理「ゴリ料理」で登場するそうです。ゴリ料理……有名なお料理なのかな?
驚いたのがイナダ(鰍)とも読むこと。同じ字で別の魚を表しちゃうことなんてあるんですね…!不便…
イナダは、ブリの出世前のお魚。地域にもよりますが「ハマチ」とも。養殖したものを「ハマチ」、天然のものを「イナダ」と呼ぶそうです。
最後に、魚偏に「夏」と書く字は、……残念ながら、ありません。
鮎(あゆ)とか鯵(あじ)とか、夏っぽいですけどねえ。
夏がつくりになる漢字自体が、榎(えのき)、嗄れ声(しゃがれごえ)の「嗄」……くらいしか浮かびませんでした。
他の季節を含む字は多い気がしますが、夏だけ字が少ないような。どうしてだろう。
何はともあれ、答えはこちら。
役に立つ知識ではありませんが、お寿司屋さんの湯のみで「魚へんに夏って書く字はないんだよ〜」と、自慢できるかも?笑
今日も長〜いレシピを読んでくださってありがとうございました。
明日もおいしいおかゆを作ります。ごちそうさまでした!