ダンバー数、日本将棋連盟、ソフト不正使用疑惑騒動、内田樹うんぬんをガストで温かい紅茶をすすりつつ語ろう。
「ある組織の構成員が150人を超える時、その組織は危機を迎える」
これはイギリスの人類学者ロビン・ダンバー教授の言であり、ダンバー数やダンバー限界として知られている有力仮説だ。
内田樹を読みすぎると、コンナノがおのずと刷り込まれる。
このダンバーによる150人危機を体現した組織がある。
日本将棋連盟だ。
藤井聡太という大看板を得た日本将棋連盟は、今や我が世の春を謳歌している。
だが藤井聡太直前の、2016年秋。
連盟はある不祥事に見舞われ危機を迎えていた。
2016年、ソフト不正使用疑惑騒動だ。
この年を前後して、連盟は男性棋士の数が150人を超えていた。
まさに、ダンバー数150人超えのタイミングで危機を迎えたのだ。
「ある組織の構成員が150人を超える時、その組織は危機を迎える」
今日はこのあたりを少し掘り下げよう。
ダンバー数150人
共同体あるいは組織において、顔と名前が一致する人数は150人。
格好よく言い換えると、個体識別可能な人数が150人だってことよ。
この150人という数を、提唱者のダンバー教授のなを冠してダンバー数という。
ダンバー数を超える、つまり、顔と名前が一致する人数を超えるとどうなるのか?
共同体や組織が不安定になり、危機を迎える。
これは感覚として解るだろう。
顔見知りで和気藹々とやっていたサークル活動に、いきなり見ず知らずの御仁が参加し始めた。
するとサークル活動はソワソワと、そして不安定になるはずだ。
また、組織が大きくなり個体識別が出来ない人々が出現すると、
組織内に派閥というミニ組織がでてくるのも留意しなければならないポイントだ。
日本将棋連盟150人
2024年現在、日本将棋連盟所属の男性棋士は170人。
ワタシの記憶が確かならば、
図らずも、2016年に150人を超えた。
「ある組織の構成員が150人を超える時、その組織は危機を迎える」
ここに日本将棋連盟はダンバー数危機に差し掛かっていた。
そして、それは将棋ソフト不正使用疑惑騒動という形で具現化する。
2016年、将棋ソフト不正使用疑惑騒動
2016年の中秋に起こった一連の騒動は、日本将棋連盟の内部分裂を招きかねない事態に発展していた。
「ある組織の構成員が150人を超える時、その組織は危機を迎える」
構成員がダンバー数・150人を超え、顔と名前が一致しない御仁がでてきたための騒動ではないか。
ソワソワとして落ち着かない気分の駆け込み寺として派閥が生まれ、派閥は組織内闘争の火種になる。
このタイミングで、いや、このタイミングだからこそ、2016年に将棋ソフト不正使用疑惑騒動が起こった。
起こるべくして起こった騒動だといえよう。
2016年、藤井聡太という神風
将棋ソフト不正使用疑惑騒動は意外な形で終焉する。
この年、10月1日にデビューした藤井聡太四段の快進撃に衆目がうつろい、ソフト不正~~に分厚い煙幕が炊かれる格好になったのだ。
スポンサーとしても、ソフト不正~~によるイメージ低下より、藤井聡太ブームによるマーケティング分母拡大の利がおおきいと観たのではないか。
こうして、将棋ソフト不正使用疑惑騒動は、
藤井聡太という神風によってウヤムヤになり、日本将棋連盟は九死に一生を得た。
ダンバー数の生ける教科書
この日本将棋連盟における将棋ソフト不正使用疑惑騒動は、
ダンバー数150人超えドンピシャで起きた現象である。
だからダンバー教授が提唱しているダンバー数、ダンバー限界を示すお誂え向きの事例たりえるのた。
果たしてその内情が公開されることはあるのか、はたまたウヤムヤのまま闇に葬られるのか。
今朝は紅茶片手にダンバー数を少し掘り下げてきたが、その先に少し興味が残った。
ありがとう。
では、また。