まゆ

検索機能付きメモ帳。 見られることを想定して投げること。

まゆ

検索機能付きメモ帳。 見られることを想定して投げること。

マガジン

  • Disconnect from time

最近の記事

同じ傾きとは限らない

開架で静にしていた本には、時間の止まった誰かの言葉が眠っていた。冬の12月、冬眠よりも長く陽にあたっていないように思えた。偶然の運命で運ばれたそれは目的地には届いていない。 ただいま 線が交わる前のことは分岐したいくつもの時間が流れていて、特徴の証拠で歴史で骨になる。池に湛えた水が波打てば平らではいられなくなる。時間が進む。 幸せでいてね 水面の透明さに気がつく。覗き込んだ時水底が見えるのか夏空を写すのかを選ぶ事はできるのか。返した声がその人の中の海を叩く瓶になるのなら、きっ

    • 吸い込まれたあかりを仰いで

      朱は水冷の安室に残されていて、密度は蒼色の空気を帰していた。秋は冬に生まれ変わっていて、眠らせるように息を静かにさせて。川水の厚みが日記として綴じて、本になった。背表紙は指に預けたまま、他人事のような本棚に目が揺れました。こんなに空いていたのでしようか。寂しさが生きていることを知って、未来が引っ越してくる。新しいお隣さんは笑顔が似合うといいな、と考えて次の日を待つことにします。

      • 透明な

        流れていった水が形を失い海に変わるのを見送る。昼の燈と夜のあくびが混じり合うのを一緒にながめる。はるか遠くの空を飛ぶ光にとって、瞬きほどの明かりに自分たちを近づけるように立ち止まった僕らは、心臓の鼓動が重ねられるまで生きようと思う。何も入れられていない空き瓶なのだとしたら、光の欠片を詰め込んで、また旅に出る。

        • 今のところ秋の次は冬

          鮮やかさに憧れているのかと聞かれると、答えを持っていないことに気付かされる。色が好きなの、と言われて何かが刺さってしまう人はどれくらいいるのだろう。理由を用意しなくても、自分に載せているだけだから、肌の外側に置く必要がないと思っているから、それは好き以外にはならない。再現性を保とうとしないから、いつか過ぎ去ってしまうこともわかる。それどころか、私自身が不自然な熱を喪って、平らになってしまう。集めたものを、持っていくことができないことを知って、部屋は洗練された。解けていくことの

        マガジン

        • Disconnect from time
          21本

        記事

          夜になって旅になった

          光が綺麗に思える場所に立っているのは、発火する何かにぶつかるための散歩の成果だとして、何かを抱えて帰ることはできるのでしょうか。波に届いた光は行き先を変えてぼくにたどり着く。瞳の水面でまた角度を変えてその旅を終える。感覚として受け取る穴は機械としての役割果たしているだけで、言葉にはしてくれない。光は澱になってぼくに積もるばかりだ。雪のように重なったそれを、君に見せようとすれば、元の形と紐づくことなく、君は鏡を覗き込んでみつけた自分に出会う。

          夜になって旅になった

          1から9まで全部虚構

          1. お互いに恐怖から遠ざかった。 2. 片方は勇気/怯えでもって、片方は正義/絶望でもって。 3. 人間が出来上がるまでの時間と煮詰めるための器が必要だった。 4. 深く潜れば潜る程、価値が生まれるかどうかもわからない場所に立っている。 5. 内側から漏れ出していくのが治らないまま、外側の法によって均されていく。 6. 地球にとって重大ではない事柄だからこそ、深刻さが影となって降りてくる。 7. 共感も祈りも届かない。 8. 伸ばされた手は区別することができな

          1から9まで全部虚構

          君にとっては花

          君は正しさ、みたいなものをなるべく遠くに置いておこうとする。作為に純粋さが宿ることはなくて、何かを望んだその跡を嗅ぎ取っている。明確な基準とか区別とかがあるわけでないことを、君は知ってる。私がつい立ち止まってしまうあれこれを、君が花だと言った時から、針が刺さったその時から、手の届く範囲がわからなくなった。開いてしまった。雲が見つからない空を見て、思い出したことが頬を伝っていく。何度も見た筈なのに、漣だった君が質す。「なんでないてるの」その理由を声にすることができずにいる。

          君にとっては花

          歩き出してから耳を塞ぐまで

          おうちに帰りたい 何の匂いだろうね。 鳴き声;Queai-ui 羽音;Lililiw Lililiw 水流;TTTTo 足音;Tow-Ka こんにちは 現金のみで受け付けています 500円のお返しです 当店のスタンプガードをお作りしますか スタンプがたまるとお好きな飲み物と交換できます ちょっとお待ち下さい どうぞ 半分こしよう お待たせしました ごゆっくりどうぞ アルミ缶回収29周年 Φ150 警告 ありのままの 何も怖くない 思い切り横断歩道の真ん中 私が守る 謝るこ

          歩き出してから耳を塞ぐまで

          五層目

          懐かしの食堂に心当たりは特になくて、思い出されるのは小学校の給食室だった。指を挟まないように気をつけながら、跳ね上げ式の長机を児童たちで準備していた。ように思うけど、確かな記憶はなくて、あやふやな映像が再生される。本当にそこは学校だったのか。五分以上前の世界に自分の認識以上の確証をもてますでしょうか。記録はあるだろうけど、時間の記憶はわたしにしか根付いてないはずで、独りだけのものはず。そのくせ、机の色も椅子の形も自由自在。輪郭を操る主。

          あまあし

          高速どーろ。泥と光色に騒がせる。刺す光に分かり合える部分を探して目を裏返す。ぼとりと叩いて去っていく粒たちに一期一会を感じないままはじまり続ける、外を走る。、つま、ずいては、しる。腕がそらを切っているのでしょうけど、本当はわたし自身が風だから。さわさわ、そよそよ、耳をくすぐる弱さと強さで。

          あまあし

          日陰

          夏に時間を溶かす。見たことないもの空いたところに流し込むのは、いつかを思い出すためなのかもしれません。今を優先していないと振り返っている。そぐわない気がする言葉たちは僕よりも広く旅をしていて忙しい。祈りのうたになることに抗って、手足を失う。

          生きているから揺れる

          手探りしていた言葉の感触も、試行の反復で過程を愉しんだ色彩も、忘れたと思うほどの距離が、空いたのしょうか。まぁ、確かなものを持っていたわけでもないんじゃない、とも思い直す。 ただ、焦燥だけを募らせた。渇いていないことに、不安になった。 音楽を意思疎通の道具に使うこと、その優先度を低くできてよかった、とは思う。自分のためだけでいい、気楽さを手放さずにいられる。 音は直接的に身体に触れるものだから、好きかどうかを感じるのも直接的。損得も、優劣も余計なものにしてもいい。歌詞がいいと

          生きているから揺れる

          暗くて狭くて面白そうだったから

          能動的な迷子になることに成功した。 ひとまず家を出て南に向かって歩き出した、左手に月が昇っていた。今は月に向かって歩いているから方向感覚は喪っている。そもそも知らない場所を歩いている。生活の隣にあるはずの場所。昼と夜の顔。 地図を開かないだけで簡単に不安になれることを発見する。同時に考えなくて良いことの快適さが怖くなる。渇くことと満たすことを往復することで創造性を発揮する。 そんなことを徒然考えていたらいつの間にか知っている道に出た。ここからは帰り道。冒険の終わり。夢をどれだ

          暗くて狭くて面白そうだったから

          青空町特異点7番地

          エスカレーターを歩けないのも お酒をこころの栄養にできないのも 人が死ぬ物語が苦手だという思い込みも 全部自分に課した呪い。 ことばを探す旅や、新しい光を焼き付ける日々、身体の枠を拡張するための探究で代謝し続ける。 何かを得るためのは、何かを捨てるため。 最後は何も持っていかないから。 誰かも通った道を自分だけの道にしようと思う。

          青空町特異点7番地

          照らされたアスファルト

          ほんとうは水溜りを覗き込むつもりだった。 見えないものを、見るための方法の一つだから。 出会えるかどうかなんて、正直、手に収まっていない。 これまでも見過ごしてきたし、これからも出会うことはないのでしょう。 だから、きっと、その手に転がり落ちた石ころを大事にする。 白砂を歩き続けた夜に、探した星座は居ないけど、それでも星空になる。

          照らされたアスファルト

          ハイビスカスライト

          距離を重ねて画布にできるのは星空だけじゃないみたい。 日の光を花にすることができるなら、あなたが生活をしているということも、思い出せるのかもよ。 窓の向こう側に枝を伸ばせるかを試す気持ちが、残って。 慎重な手つきで囲って、掬って、呷ろうとする。 光ってみせてと、言い聞かせてみる。

          ハイビスカスライト