暗くて狭くて面白そうだったから
能動的な迷子になることに成功した。
ひとまず家を出て南に向かって歩き出した、左手に月が昇っていた。今は月に向かって歩いているから方向感覚は喪っている。そもそも知らない場所を歩いている。生活の隣にあるはずの場所。昼と夜の顔。
地図を開かないだけで簡単に不安になれることを発見する。同時に考えなくて良いことの快適さが怖くなる。渇くことと満たすことを往復することで創造性を発揮する。
そんなことを徒然考えていたらいつの間にか知っている道に出た。ここからは帰り道。冒険の終わり。夢をどれだけ覚えていられるだろうか。
少なくとも、満月は大きくて、輝いていた。
今宵はスーパームーン。