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2024年7月の記事一覧

四万十市の七星剣

四万十市の七星剣

四万十市では現在、四万十市間崎にある一宮神社に古くから伝承されてきた七星剣の調査がR4~R6年にかけて行われており、個人的にも経過を楽しみにしている調査の1つ。

一宮神社は以下に位置している。

七星剣は国内では7振りが現存しており、刀身の形状が完全に残っている物に限れば東大寺正倉院(奈良県)、法隆寺(奈良県)、四天王寺(大阪府)の3振というが、そのどれもが直刀である一方で、この四万十市の七星剣

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忘れた頃にやってくる鐔との縁

忘れた頃にやってくる鐔との縁

約1年程前に海外のサイトで白銅地の古鏡を鐔に仕立てた鏡師鐔を見つけた。
亀甲紋に鶴二羽が向き合うように配されている。
亀甲紋の中心には菊の花のような凹凸が見られる。
古鏡についての知識は無いのでその鏡がいつのものかは分からないが、調べる中で室町期の鶴のデザインで同じものを見つけたので、室町あたりの古鏡かもしれない。

尚、古鏡の鐔への改造は見るからに単純そうで、紐を通す中央の突起を平らに削り、茎孔

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刀装具の良い物、悪い物の判断について

刀装具の良い物、悪い物の判断について

刀装具に興味を持ってからというもののルーペで細部の世界ばかりを探索しているような気もするが、これはルーペを使う事で例えば鏨による細かな彫が見えたりする事で製作者の息が伝わってくるようであるから楽しいだけであって、基本的に「良さそうな物」や「悪そうな物」を大別する際は何もルーぺを用いる必要はない、というのがここ最近でほぼ核心に変わった事。

ここで言う良さそうな物とは時代感のあるものでしっかり作り込

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偽銘の捉え方について考えさせられる②

偽銘の捉え方について考えさせられる②

このブログを始めてから4年以上が経つが、偽銘については度々書いてきた。
初めて触れたのが2020年の頃であり刀歴でいえば2年目の頃であったが、この時は完全に偽銘の刀は毛嫌いしていた。
理由は人を騙して儲けるという「せこさ」のようなものを刀から感じてしまうからというもので、刀を見る度に刀の出来を純粋な目で見れなくなってしまいそうな気がしてならなかったからである。

2021年の頃(刀趣味3年目)にな

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刀の理想的な保管環境を「なるほど」な方法で構築されている方

刀の理想的な保管環境を「なるほど」な方法で構築されている方

以前製作を進めていた卓上短刀箱2.0の白ver(特別仕様)品がお客様の元へ無事届いたようで展示した写真を送って頂けました。

左のケースが今回製作させて頂いたものになります。

いや、拵の展示格好良いですねえぇぇっ…!

両方黒系の拵なので映えて良かったです。
因みに刀身も飾って頂けているようです。
気分で変えながら色々楽しんで頂けると嬉しいです^^

またこの方の凄い所は「Switchbot」を

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刀を分かる人が名刀と定めて、初めて名刀になる

刀を分かる人が名刀と定めて、初めて名刀になる

「名刀は誰が見ても美しいと思うから名刀なのだ。」

という言葉をふと思い出す。
言い得て妙に感じた記憶がある。
実際はどんな名刀も100人満場一致で美しいと回答が得られるのは難しいかもしれないから、9割位の人が美しいと思えばそれは名刀なのではないだろうか、と個人的には思う。

一方で刀に興味がなく知識のない100人の素人に対して、綺麗に研磨された特保の新刀あたりを見せて美しいか否かを問えば、9割位

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超狭刀剣ルームを作ってみたい

超狭刀剣ルームを作ってみたい

最近大きめの刀展示ケースをずっと製作していたのですがようやく3台ほど完成し狭い部屋がケースで埋め尽くされました。
なんだか部屋で刀の展示会が出来そうです。

ところでこの真ん中に座ってみたところ意外に落ち着くんです。

刀を飾っているわけではないものの、刀を展示してこの距離感で囲まれていることを想像すると楽しい。
因みにケースに刀を展示すると以下の様になります。

そこでふと思ったのですが、2~3

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自分にあった刀の長さの求め方

自分にあった刀の長さの求め方

先日濃州堂さんのポストで非常に面白い投稿がされていました。
それが「自分に合った刀の長さの求め方」。
武道などで刀を用いる際に適切な長さが出せるようです。

計算式はいくつかあるようですが、代表的なもので以下で求められるというのです。

(2024/7/18追記)
濃州堂さんより以下の返信を頂きましたのでブログにも掲載させて頂きます。

・早速自分の身長で計算例えば私の身長は173㎝です。
「17

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マイナー刀工の存在について

マイナー刀工の存在について

少し刀工の名前を羅列する。

さてこれらは何かというと「埋忠刀譜」に掲載されていた刀工銘で個人的に聞いた事が無かったものを羅列したもの。
中にはこれ有名だろ、という刀工もいるかもしれないが浅学なのでご容赦頂きたい。

「埋忠刀譜」は刀剣博物館が所蔵する押形集で埋忠家が1605~1660年(江戸時代初期)にかけて仕事の依頼を受けた名刀についてほぼ原寸大で精密に描かれた茎図を中心とした刀絵図が、おおむ

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貞宗の在銘品について

貞宗の在銘品について

少し前に徳川美術館で「相模国住人貞宗 建武二年正月日(1335年) 奉納御宝前 生年甲午四十二歳」と切られた小脇差が展示されていると話題になっていました。
なぜ話題になっているかと言えば、相州貞宗の在銘作は皆無と言われてきたからです。
そんな貞宗の在銘作が展示されていたとしたら大発見です。

写真を見ると徳川美術館蔵でかつ、端龍院殿墓所出土、尾張徳川家二代、徳川光友所持の物とのことで信用度がとても

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「刀が好きな人だけ業界に来ればいい」は順番が違う件

「刀が好きな人だけ業界に来ればいい」は順番が違う件

刀が本当に好きな人だけ業界に集まればいい、にわかは来るな、というような意見や風潮が稀に見られるがこれは行き過ぎた主張で現実的ではないと思う。
これは主に刀剣乱舞をプレイしているユーザーに対して古くから刀業界にいるごく一部の人が向けている傾向があるように感じる。
(古くから刀業界にいる人で刀剣乱舞ブームを歓迎している人が多い事も忘れてはいけない)

刀が好き、というのは主観的であるし第三者がその人の

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埋忠鎺の特徴を考察する

埋忠鎺の特徴を考察する

名刀を見ると金無垢の鎺が付いている事が多い。
特に短刀であれば台付二重鎺と呼ばれる台座の付いた鎺が付いている事があり、刀趣味をしていると憧れる1つの付属品であるようにも感じる。

戦国期からあったとされる金着せ鎺のように、見た目だけを金にするなら銅に金をかぶせるだけで良いが、あえて金無垢にする事で刀の格調を更に高めた一門が埋忠一門とされる。
そんな埋忠家が製作した鎺を埋忠鎺と呼び始めたのが本阿弥光

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初の刀剣店で吉光を手に取る幸運な人

初の刀剣店で吉光を手に取る幸運な人

少し前のこと。
とある刀剣店で藤四郎吉光の短刀を拝見。
どうやら30年以上も前に売ったものらしくその所有者の方が90歳を過ぎて手放した物を引き取ったとの事。
その30年間ほどの間大切に愛蔵されていた様子。
刀は一度逃すと目の前に現れない、とはよく言われるがこうした事が理由なのだろう。
そんな30年以上も前に売った吉光の短刀が再び戻ってきて久々に見た店主の方もどこか嬉しそうである。

私も拝見させて

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刀剣乱舞で学ぶ日本刀と未来展② 内覧会や初日の様子など

刀剣乱舞で学ぶ日本刀と未来展② 内覧会や初日の様子など

今日からいよいよ日本科学未来館にて「刀剣乱舞で学ぶ日本刀と未来展」がスタートしたようです。

それに先立ち昨日7/9に内覧会があり、特別ゲストとして現在70振近くを所有するという愛刀家ふなっしーが登場したようです。

①エントランスの様子会場の様子についても続々とXにUPされています。
エントランスでは刀剣男士が勢ぞろいしたパネルがお出迎えしてくれるようです。

企画から2年、日本科学未来館にて特

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