『世界の端から、歩き出す』(ポプラ文庫ピュアフル)販促〜消えてしまった京都のお店・4
1・2・3に引き続き、今回も『世界の端から、歩き出す』に出てくる、今はもう消えてしまった京都のお店のお話。
以下より、ちょっとだけ試し読みできます。
冒頭部分で「ファンタジー?」とか「あやかし系?」とか思われる方が多いようですが、実はこの後はその要素はほぼありません(笑)。
前回に引き続き、いまだ書籍化されていない部分に出てくるお店。
今回は食べ物屋さんではなく、アパレルブランド。
3回目で主人公が恋人とクリスマスにご飯を食べるお店として紅茶屋さんを紹介しましたが、そこで恋人が渡すプレゼントのひとつが、ここのバッグです。
TEMAS(ティマス)さん。
「黒」がテーマのファッションブランドでした。
2012年に完全閉店してしまったのですが、Twitterはいまだに残ってる。
こういうの、遺跡のようで何とも言えない気持ちになりますね……。
もともと京都には、黒染めという伝統工芸がございまして。
今でも複数軒のお店があるのですが、その中でも「御黒染司」を名乗る京都紋付さんと組んで、2001年くらいからいろんなアイテムをつくってました。
ところが何故か、途中で袂を分かってしまったようで。
詳しい事情は存じませんが、どうもTEMAS側の代表さん、結構癖の強いキャラのようで、上手く意見が合わなかったのでしょうかね。京都紋付さんのサイトでは、TEMASさんとのことはまるで無かったかのようになっています(笑)。
こちら↑がもともとのタグ。
京都紋付さんと分かれて自分達だけのブランドになった後、「TEMAS」に加え「深黒堂(ふかぐろどう)」を名乗るように。
ベレー帽の内側のタグを撮影したので、ちょっと歪んでます。
しかしこのタグは正直、微妙です。
こういうタグ↑も使ってました。
こっちはなかなか好きです。
ちなみに京都紋付さんは、分かれた後に独自のブランド「Black Why」を立ち上げました。
伊勢丹で特設売り場を出されていた時に買ったバッグのタグ↑。
これ↓の「黒ムラ」カラーです。
TEMASではTシャツやジャケット、ズボンなどの洋服に加え、財布やバッグなんかもつくっておられましたが、わたしが最も好きだったのは藍色と黒とを組み合わせたデザイン。
下のページの、2枚目の写真に写っているようなカラーリングのシリーズです。
まさに同じバッグを持ってます。
上に斜めにかかってるのは肩紐。
だいぶ黒が褪せてきちゃってますね。
この、黒から藍へのグラデーションを施したアイテムが大変に好き。
こちらのショルダーバッグを始めとして、ボストンバッグにトートバッグ、Tシャツを半袖・長袖と複数枚持ってます。
ベレー帽は残念ながら藍が無くて、帽子のフチに赤ラインが入ったもののみ。でもこれもなかなか素敵なんですよ。
小銭入れとかブックカバーとか、そういうちまちましたアイテムも持ってます。
確か最初は四条寺町の御旅所のところにあって(現・本家尾張屋)、その後に新京極の六角に移り、更に先斗町の歌舞練場の向かいに越して、どうも引っ越すごとにお店の方向性的なものが自分には合わなくなって、あまり行かなくなってしまって。
それでもこのデザインは非常に好きだったので、なくなってしまってすごく残念でした。
どこかでまた、別のかたちで再復活してくれたら嬉しいのですが。
京都の黒染め、ここ近年じわじわと人気が復活しているようですし、どなたかとまた組まれて素敵な黒グッズ、つくっていただきたいなあ。