【もはや普通の短編】月刊ルミエール2月号編集後記(没) テーマ:スクラップ
こんにちは!高木梢です。
今回のテーマは、おなじみの「スクラップ」です!
くず鉄って意味もあるみたいですね。今回は雑誌などの切り抜きの意味でやってみました。
ついつい好きな画家?を登場させて楽しくなってしまい、超長くなってしまったので今回は長いです。(後悔がないのでもはや反省しないスタイル)
ああっ、たたかないで!
明日からはちゃんとします。こんなのでも楽しんでいただけたら嬉しいです・・・何卒!
いつでも皆様の幸せを願う高木より。
きっかけは何だったかな。たしか、9月に隣の席のルミが落としたポストカードだった気がする。
大きなひまわりをバックに、青い帽子を被った赤いほっぺたの女の子が、白くふくらんだ袖のワンピースを着ている絵。
あたし、そのポストカードを見てどきどきしてさ、クラスで話しかけづらい人No.1のあんたに勇気を出して聞いたんだよね。そしたらさ、おばあちゃんが好きな挿絵画家のスクラップブックをつくっていて、そのうちの一つがこの絵だって。
家に見に来る?っていきなり聞かれてびっくりしたけど、なにもかもかったるくて学校もサボりがちだったあたしには、めっちゃ時間あったからのこのこついていったよね。
ルミの家はThe・おばあちゃんって感じで昭和感ありまくりだった。おばあちゃんが本の裏表紙まで切り取ってスクラップしていたのには驚いたな。その画家がつくっていた昭和の少女雑誌、冊子で残っていたやつを見せてもらって、あたし感動しちゃった。
服のつくり方、女の子の綺麗なイラスト、すごく雰囲気のある小説やニュースの解説。編集者の人、めっちゃ気合入ってる感じで、とにかくおもしろかったからルミにそれを伝えるとおばあちゃんと一緒になって超語りだしてうけたわ。うけたけど、嬉しかった。だって、ルミの友達第一号じゃね?あたし。
そこからさ、何を思ったかうちらも雑誌やってみね?ってなって、作っちゃったよね。
A3の紙を重ねてさ、形は新聞みたいだけど。ルミが描いた先生のイラスト、あたしおすすめのパンクな服のブランド。お互いの好きな曲に、好きな本。小学生のときハマっていたこと、おいしいコンビニスイーツ。学校の夕映えスポット、高校生になったら着てみたい制服。
特に、ルミの描いた校長の絵、うけたわー。めっちゃハゲてんじゃん。
タイトルは、「ルミ」と「エイル」で「ルミエール」。フランス語で、光って意味らしい。あの少女雑誌は同じフランス語で太陽って意味だったから、太陽と光ってすごい偶然じゃね?やっぱり、うちら運命なんだよ!
そんでさ、かわいいおばあちゃん先生の泉ちゃんに見せたらめっちゃ気に入ってくれて、職員室でも話題になって、クラスにも広まって、重版していつの間にか全校に知れ渡っていて、月刊ルミエールになったよね。
後輩の女子に「エイル先輩、次流行るセーターの色ってなんですか?」って言われたり、イケメン体育教師の杉山に「よかったぞ」って言われてクラスの女子にもみくちゃにされたり、ここ数か月でいろいろあったな。
ルミははしゃいでいたけど、あたしは内心不安だった。ルミエールがいろんな人の手に渡るたび、遠い存在になる気がしたから。
それに、来年は受験じゃん?ルミは勉強できるから頭のいい高校に行くだろうけど、うちは違うから、多分離れちゃう。
そんな風に思っていた今日の帰り、いつものように夕映えスポットを通りかかるとルミが目をかっぴらきながら手袋で口を抑えて指さすから、何だと思って西日が差す階段を見た。
校長が階段に座っている後ろ姿だった。冬の夕日に頭を輝かせて!
それに、読んでいるのはうちらのルミエール!
ルミのハゲ校長イラストがばれたらやばいって二人とも直感して、咄嗟に腕を組んでお腹が痛くなるほど笑いながら走って逃げた。
あたしは過呼吸になりそうだったし、ルミは笑いすぎて赤い眼鏡が白く曇っていた。
ああ、あたし、ルミといるときが一番楽しい。未来がどうなろうと知ったことじゃないし、神様はうちらを引き離せないだろう。ルミエールでいる限り、きっとあたしたちは最強でいられる。ルミ、大好きだよ!
Fin
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。素敵な画像をお借りしました。
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