採用活動のループ 7つのポイントを押さえて好循環のループを回そう(後編:導客、検証と改善について)
採用・人事・離職防止のパーソナルトレーナーのカンヤケケンイチロウです。私のトレーナー活動はご依頼いただいた企業さんが「自分たちの力で採用・人事・離職防止の活動を行っていただくこと」をゴールにしています。
このパーソナルトレーニングの軸となるのが今回ご紹介する採用活動のループ。採用戦略立案に始まり、集客→導客→検証と改善を踏まえて採用戦略の再構築を行い実行する。この一連の活動を7つのパートに分けてお伝えし、順番に身につけていただきます。
この後編では、応募が発生してから面接に導き、入社しすぐに辞めないための導客と、再現性を生むための検証と改善について解説していきます。
前編の集客はこちら↓↓に解説しています。参照してください。
導客 もったいないお化けに叱られる「取りこぼし」の防止策
「反応はあったけど、誰も面接に来なかったわ。サクラ(嘘の応募者」をいれてるんとちゃうか(嫌味)」「面接に来るって言ってたけどブッチ(こない)。ホンマ最近の若いやつはアカン(呆)」「せっかくとったのに辞めるって言われた。なんでやろ」」
こういう会話も営業時代にシャワーを浴びるように聞かされました。求人媒体事業は求人広告に掲載してもらうまでのサービスで、応募以降に関してはお客さんに頑張ってもらわないといけない領域。やり方をお教えしながら改善するよう伴走していました。
2024年現在、HR Techの勃興でこの領域にかなりのテクノロジーが誕生しました。そんなにお金をかけなくても、AIさんやロボットさんが自動でやってくれる便利なツールも出ています。
アナログ+テクノロジーのハイブリッドの工程が効果的に作用しやすい領域かもしれません。この3つのパートを紹介します。
Step.4 導客①応募受付、面接選考
応募受付で失敗しないためには、とにかく対応スピードを上げることが重要です。コスパよりタイパ(タイムパフォーマンス)を意識する若者をターゲットにするにはなおさらスピード感あふれる対応が必要です。
シチズン時計株式会社が『時間感覚』についてのアンケートを経年でとっているのですが、その結果が非常に面白いので紹介します。
「ちょっと一杯飲みに行こう!」のちょっと一杯は何時間か?
「なるはやですませて!」のなるはやとはどれくらいの時間か?
という調査なのですが、2013年と2022年では、倍速以上の差が出ています。
今の若者はYouTube動画を1.5倍速で見る、と言われていますが嘘ではなく本当です。校長先生の笑いのない長話になどぜったいに付き合ってくれません。時間に対しての無駄感覚は我々世代とは雲泥の差です。
そんな若者求職者に、面接の連絡を2日待たせたり、面接設定のやり取りを何度も行えば、嫌になるのも当たり前です。
テクノロジー会社の調査では求人応募後面接の連絡が30分経ってこなかったら他の求人を探しているという恐ろしい結果も出ています。応募受付、面接設定はとにかくマッハに行うことが最重要ポイントになります。
正直ココに人を割けないという、採用人事を現場責任者が行っている会社も多数あると思います。そういった場合はテクノロジーツールの力を借りることが大切です。詳細は↓↓に記載しています。
Step.5 導客②面接選考、選考支援
面接はその職場の人に初めて会う場、いわば「初めてのデート」です。これから長くお付き合いできるかの「見極め」だけでなく、自社を選んでもらうための「惹きつけ」も重要です。
なのに、人となりも聞かずに「いつから勤務できるの?」と刑事ドラマの取調室みたいな尋問を始めたり、「うちは厳しいよ」と上から目線で言ってみたり、おおよそ見極めも惹きつけもできないような面接を繰り広げていることはないでしょうか?
面接選考の進め方は新卒採用においては非常に科学が進んでいて、こちらも指南書がネットサイトに多数上がっています。これを中途採用やアルバイト採用でも応用しながら進めるのが良いと考えてご指導しています。
手順としては
・ラポール
応募のお礼と緊張をほぐす世間話
・お互いの自己紹介
面接者の紹介を行うことで心の距離を縮める
・仕事説明
求人広告やパンフレットを見せながら誤解がないように伝える
その時に、仕事のいいところだけでなく覚悟してほしいところも伝える
質問を聴くタイミングをたっぷり挟みながら(これが重要)、とにかく「君が必要なんだ!」という情熱を伝えて共感してもらうことが入社への近道です。憧れるような先輩に同席してもらったり、すぐ職場見学してもらって現場のスタッフを紹介したり、その場で楽しく活躍して働くイメージを持ってもらうことも効果的です。
面接に長い時間をかけられない場合もあるでしょう。面接官が不慣れでうまく進まないこともあると思います。これらをサポートしてくれるテクノロジーツールも多数存在しています。「惹きつけ」は人間にしかできないですが「見極め」は充分にカバーできます。代表的なツールを紹介すると
・リファレンスチェック
候補者の経歴や実績を確認するツール
MiKiWaMeポイント、RoBoRoBo、back check、ASHIATO など
・適性検査ツール
職場風土にマッチするか、入社して活躍するかを判定するツール
ミキワメ、アッテル、ミツカリ など
AIが事前面接を行って、人となりをスコア化したうえで面接の臨める適性検査+αの面接支援ツールも誕生しています
Step.6 導客③入社手続き、早期離職防止
入社手続き
入社が決まって実際に出社するまで、その間に様々な手続きが発生します。昔はアルバイトは「明日からきて」でオッケーでしたが、2024年はそうはいきません。正社員と同じような手続きが発生します。
具体的にどんな書類や手続きが必要かというと
・雇用契約書の締結
・社員とアルバイトの待遇差に関する説明書
・入社誓約書
・秘密保持誓約書
・給与振替口座の登録申請書
・マイナンバー
・交通費・通勤経路に関する申請書
・住民票記載事項証明書
・身元保証書
・健康診断書
免許や資格が必要な仕事はその証明書、未成年の場合は親の承諾、外国人の場合は在留カードや資格外活動許可書などが必要になります。
ただでさえ提出書類が激増。これを紙で書いて提出、などと言われた時点で重苦しい雰囲気が漂います。特に書く機会の少ない若者には苦痛で、これが原因で入社辞退にもつながりかねません。
Z世代は、学校生活から紙に文字を書く習慣が減っています。
学校から支給されたタブレットを使って書類提出も画面完結、宿題もスタサプ動画を見てロイロノートに入力して提出。黒板に書いてあることはスマホでスクショしてデータ保存。板書ノートは今は昔の話です。
彼らとのやり取りを円滑にし、社内スタッフの負担も下げる。入社手続き~労務管理のデジタルツールも多数出ており、働き方改革と電子帳簿保存法の影響で普及。年末調整までもまるっとカバーしてくれるサービスも出てきています。
会社系では、Smart HR、オフィスステーション、ジョブカン、カオナビなど
アルバイトなどの職場系では、apseeds、Welcome HR、jinjerなどが有名です
離職防止
新人が入社して一番モチベーションが高いのは入社時と言われています。そして一番辞めやすいのは入社して3カ月の間です。
中途入社を高速道路の合流に例える人がいます。ものすごいスピードで走っている本線の車の流れを邪魔しないように合流し、アクセルをベタ踏みにしながらなんとかついていく。免許を取って何万回と車を運転していますが、プレッシャーがある瞬間です。
中途入社者も同じプレッシャーを抱えています。周りの人に迷惑をかけないようにと、必死で走っています。その時に近くによりどころや相談相手がいなければどうでしょうか?
仕事を覚えようと思うがうまくいかない、現場に入って入社前とのギャップに悩み、みんな忙しすぎて誰にも相談できずに辞めてしまう。やる気をそがれることが人間にとって一番つらい。
声掛けや教えることはアナログで行うほうが効果的です。でも昔みたいにマンツーマンで張り付いて手取り足取り教える余裕なんてない。コミュニケーションは減少し、これが早期離職の原因になります。
ここを防ぐためにはテクノロジーの仕掛けが必要になります。
テクノロジーの仕掛け自体は様々あって
・マニュアルを整える 動画デジタルマニュアルサービス
Teachme biz、tebiki、PIP Maker、iTutor など
・動画が教えて成長を支援する
Shouin +、soeasy buddy、TANREN、Clip Line など
・コンディションチェック メンタル不全を未然に防止
ミキワメウエルビーイング、Lafool、コンケア、テガラみる など
・コミュニケーションを活性化させる、理念を浸透させる
Thanks Gift、TUNAG、Unipos、Talknote、ourly など
・面談スキル向上、組織づくり支援
カケアイ、Habi do、Wevox、モチベーションクラウド など
なかでも面白いのは以下の二つです。
テガラみる 毎日の振り返りを6段階の気分とコメントで交換日記して入社初月のモヤモヤを消すツール
PIP Maker パワーポイントをそのまま音声つきマニュアル動画に加工
時間がなくても説明動画を構築することが可能になる
忙しすぎると対応に苦慮しますが、テクノロジーの力でコンディションを確認して、しっかりと声をかける。直接会う機会が少なくてもしっかりと「なかまになる」サポートができるようにしていきましょう。
検証と改善 「やりっぱなし」にしないために
Step.7 検証と改善 アナログ+デジタルな効果検証
一連の活動の締めくくりであり、次の段階への接続がこの工程です。とにかく採用できたらゴールで振り返りをしない。何が良かったか、何が悪かったかがしっかりわからないと「再現性」がなく、いつまでたっても場当たり的な採用活動になってしまいます。しっかりと効果測定を行い、次への活動につなげましょう。
検証と改善に必要なポイントは4つ
・目標、ゴールを必ず決める
定量、定性での着地を決めないと方向を見失います
・効果測定を必ず行う
基準を決めて「いい」「わるい」をふりかえることが大切
・数字の「なぜ」について考える
結果の数字も大切ですが、その数字になった「原因把握」の方が重要
・改善の打ち手を知っておく
好転させるために、何を変えれば改善するかを把握しておく
データを手に入れて集計しビジュアルを整える部分はテクノロジーに任せましょう。私たちはそのデータを見て、結果検証と改善点を考える部分に時間と労力を集中させましょう。このテクノロジーツールは非常に使い勝手が良く便利です。
採用見える化クラウド
終わりに
集客をしっかり行わないと、応募を獲得できません
導客をしっかり行わないと、入社が増えず、離職が相次ぎます
検証と改善をしっかり行わないと、いつまでもあかるい兆しが見えません
7つのステップ全部を一気に行うことは大変で無理だと感じるかもしれませんが、まずは課題が大きいところから手を付けて改善していきましょう。この7つはつながっているので、どこから始めても必ずひとまわりしてクリアにすることができます。時間はかかりますがしっかりと整えることをお勧めします。
おまけ
現在、投稿しているnoteの内容をまとめ、ITが苦手な人でも採用~離職防止までの活動を便利に進める入門書籍を作成しようと進めております。順不同の五月雨でどんどん投稿してまいりますので、応援をよろしくお願いいたします。