【第5回ことばと新人賞最終候補作】平田英司「痩せた花嫁」
痩せた花嫁
平田英司
その島で唯一の集落である山間の村に住む人々は一様に痩せていた。それは決して貧しさからくる削痩ではなかった。なぜそのような体型をしているのか、正確なところは良く分からなかったが、どうやら遺伝的なものらしかった。彼らは全員が著しく痩せ細っているにも関わらず、特段それによる不都合はなく生活しているように見えた。少なくとも極端に早死にだったり、栄養失調に苦しんだりしている様子は見られなかった。
私自身はこの島の出身ではなく、先日、縁戚の伝手で紹介され