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#詩

白い花(詩)

春のはじまりに 息づく白い花よ
波間を作り出し 朝を照らし出していく

春風に揺れる 一つ一つの粒が
波間を作り出し 朝を照らし出していく

何もないほどに 限りなく広い空は
どこか不安だけど 自由に歩けそうだ

形を成しては 大きくなれ 少年よ
一つの幸せ 祈り強くあれ 少女よ

春風に揺れる 一つ一つの声が
波間を作り出し 街を照らし出していく

形を成しては 大きくなれ 少年よ
一つの幸せ

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新時代(詩)

真新しい服 真新しい呼吸
真っ当な事実 不確定な情報

崩れ去った がれきを登ってく
その姿は 真実だと 誰かが言う
後ろから言う

想定の範疇を 越える世界で
今一度と 腕をあげる
ジャンヌダルクのよう

想像を 実行しよ 硬い壁を越え
時代に逆行しても
それは新時代だから

月が綺麗と(詩)

月が綺麗と あなたは言った
見上げた空は 秋の色に
なってた

淡い光と 虫の声と
肌寒い風 君のそばに
いたかった 

あの日 君と 空を見上げて
誰もいない ところまで行きたかった
月の光をたどって
ふたつ影を 畦に並べて
悲しいことも 寂しかった心も
忘れさせて

記憶を手に(詩)

記憶を手に(詩)

複雑な価値観に もまれながら時代を
越えてしまったようだ
大丈夫かい 狭間の中で 今僕らは
どこに向かって行くんだろう

幻想を奥に留めたまま
順調に時は流れた
それでいいと思っていた

切られていた 廻り合いを
今更だが 探してみる
いつの間にか 忘れかけた
記憶を手に 会いに行くよ

夏は静けさをまとって(詩)

夏は静けさをまとって(詩)

夏は静けさをまとって
あたりさわりもなく 過ぎてった

遊ぶこともなくなった
25の夜を照らして

夏は静かな ふりをして
あたりさわりもなく過ぎてった

隔てたのは僕の方か

夏は静けさをまとって
あたりさわりもなく過ぎてった

汗も花火も 感じることない
夜を照らして

夏は静かな ふりをして
あたりさわりもなく過ぎてった

隔てたのは彼の方か

それでも僕は生きているって
ぼろぼろの体は歯向

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一輪(詩)

長い螺旋を 辿ってきた
今宵の鐘は ぬくもりを伝える

儚いかけらを 集めてきた
今宵最後の ひとつを受け入れ

咲いた 額の中に咲いた 一輪を
がんばりすぎないほどに 続けていこう

朝から夜は 長いようで短い
これから先は 短いようで長いから

雀の音や 5時のチャイムとか そこにあるものを
普通に受け入れ 普通を吐き出す それでいいだろう

咲いた 額の中に咲いた 一輪を
がんばりすぎな

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夜は(詩)

夜は深く吸い込んでいく
体を柔らかに包み込んでは

赤い頬を隠すように
淡い螺旋を描いている

まだ何も 知らない

互いは 溶け合っていく
軽率だろう 単純だろう

まだ灯りを絶やす気はない
不確定だろう それを勇気と呼べるか

蒼と群青(詩)

蒼と群青(詩)

溶け込むことには
迷い憂いまばらで
重なるようなら
互いは離れて

そんな日々を繰り返し 
何度となく戸惑い
息した後の瞬間に 
消えてしまいそうな心を

さあ 抱きしめよう
蒼と群青は 違う色だって
わかっていたはずの恋を今
見つめ直したら 大切な声が響く

幸福論などなかった(詩)

幸福論などなかった(詩)

ありとあらゆるところに
幸せは存在していて
誰かがどうかしら 受け取っている

積み上げれば簡単に
心を満たすはずだけど
どうもそれはうまくいかないらしい

ここに幸福論などなかった
空は 矛盾しているようだった
コーヒーが飲みたくなった
なぜか風は気持ち良い

大人になること(詩)

大人になること(詩)

手にしたものだけが 全てじゃないよ
本当に必要か
整理しなければ 荷物になるだけ
心の容量は 足りていますか

踊らされているのは 他人のせいではない
自分が自分であるために わきまえて
いつか灰になった後に 晒されないように

受け取ったものだけが 全てじゃないよ
本当に必要か
信じるものは 変わり続ける
心の寛容は それでいいですか

大人というものは 子どもなのかもしれない
自分が自分を

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二人の影(詩)

二人の影(詩)

変わらないと願う木陰に
消えかけの想いを探る
気休めにすぎない言葉で
遠くならないよう塞いでいた

壊れそうな心 風に押され
春の中 不器用にそまる

その目の奥に連ねた 葛藤を繰り返し
いつの間にか繋がれた 記憶を見下ろして
感情は揺れる 二人の影

鼓動(詩)

【鼓動】
行方知らずの 雑踏にもまれてしまった
交差点を行く 人の波に
流されながら 知らず知らずに僕は
傷ついていくのだろうか

点滅は加速し
間に合わないまま 取り残されていく
横断歩道の 黒い方へ

息も絶え絶えに 溺れていく
隣で 光が差す

「貴方の鼓動が 弱く光るのが
私の心に 確かに届くよ
貴方の鼓動が 続きますように」
二人は知らない 深海の中で
抱き合って

地上では 点滅が加速

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結晶(詩)

【結晶】
春の災害が 心の中に 句読点をつける
それなりに 遠回りして 時は過ぎるけど

静かになった 海岸に 陽がさして
何もなかったとは 言わせないと

舞い上がる 舞い上がるよ
雪の結晶よ 輝いて
舞い上がる 舞い上がる
この空に 花を連れてくる

静かになった 街並に 陽がさして
何もないままでは 始まらないと

舞い上がる 舞い上がるよ
雪の結晶よ 輝いて
舞い上がる 舞い上がる
この街

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