sai|金沢ぐらし

金沢に引っ越してきました。 さくっと読めるエッセイで、金沢のことや日々の暮らし、思い出…

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金沢に引っ越してきました。 さくっと読めるエッセイで、金沢のことや日々の暮らし、思い出を綴っています。

最近の記事

020 (011~019のふりかえり)

 今回で、二〇記事めを迎えました。  節目なので、ふり返りをします。  011 『自転車 その2』 またまた、金沢の道路事情について。  目の前でこんなことを見てしまっては、正直、自転車に乗るのがこわいです。  この前、美容室でこの話をしたら、「それ、ほんとうに高校生でした?」と美容師さん。  「昨日の夜、うちのスタッフが自転車で転んで、歯を三本とあごの骨折ったんですよ」と続けた。絶句。  次は、わたしの番かも。そのときは、ここで厄落とししよう。 012 『おにぎり その

    • 019 おにぎり その3(おにぎり研究家、「いちほまれ」を食す)

      『015 恐竜』で、福井県に行った話を書いた。  恐竜博物館が目当ての旅行だったのだが、博物館がある勝山市から少し足を延ばして、福井駅まで行ってみた。  目的は、「いちほまれ」。 「いちほまれ」は、コシヒカリを超えるお米を目指して開発された、福井県のブランド米である。 「日本一(いち)美味しい、誉れ(ほまれ)高きお米」が名前の由来だそう。  コシヒカリと言えば、新潟県の南魚沼産が有名だが、実は、福井県が発祥なのだ。  あのコシヒカリを生んだ福井県が、絶賛売り出し中のお米。

      • 018 ハムスター その2(真夜中の、りこちゃん)

         闇のなかを、高速で移動する物体がある。    それは、うちのハムスター、りこちゃんだ。  ハムスターと言えば、寝ているイメージかもしれない。  たしかに、昼間はイモムシみたいに丸くなって、あるいは、びろんと伸びて、くぅくぅ寝ている。  ときどき、水を飲んだり、エサを食べたりするために起きるが、動きはのろい。ぽてぽての丸いからだで、のそのそ動く。よく野生で絶滅しなかったなあ、と感心する。  しかし、夜のハムスターは違う。  りこちゃんは、だいたい夜の十二時くらいから活動を

        • 017 さよなら、東京

           四月の一週目のこと。  引っ越しの準備に追われていた。  夫に突然の辞令が出たのは、その二週間前。わたしの誕生日の三日前で、二〇代のラストイヤーは、北陸で過ごすことになった。  しかし、三月末の繁忙期に、急な引っ越しなどできるはずもない。夫の異動は四月いっぴだったが、引っ越し日は四月にずれ込んだ。荷づくりや諸々の手続きのため、わたしは、ひとり東京に残った。  今年は去年より春が遅く、フリースのジップをあごまで上げて作業した。  いらないものを捨てる。段ボールに荷物を詰める

        020 (011~019のふりかえり)

          016 『東京バラード、それから』 谷川俊太郎/(あるいは、電子書籍のこと)

           図書館で、一冊の詩集を手に取った。 『東京バラード、それから』 「東京」の文字に、目が吸い寄せられた。金沢に来て三か月。まだ、自分のこころの一部が、東京にあるんだな、と思った。  作者は、谷川俊太郎。  谷川さんの詩集なら、『空の青さをみつめていると』を持っている。ぱらぱらめくると、知っている地名がいくつかあって、借りることにした。  この本は、ふしぎな本だった。  ラミネート加工された表紙は新しいのに、なかの紙は古本みたいにうっすら茶色い。  表紙となかで、あきら

          016 『東京バラード、それから』 谷川俊太郎/(あるいは、電子書籍のこと)

          015 恐竜

          タイムマシーンがあったら、過去に行くか、未来に行くか?  よくある、もしも話ですね。  みなさんは、どちらにタイムトラベルしたいですか?  わたしは、過去に行きたい。そして、恐竜を見たい。  アメリカ自然史博物館の恐竜図鑑も持っているし、恐竜のドキュメンタリー番組は見逃さない。  もういい大人だけど、夏はジュラシックパークのTシャツ、冬はブロントサウルスのパーカーを愛用している(毎日、着ているわけじゃないですよ。念のため)。  それくらい、恐竜が好きだ。  タイムマシ

          014 ハムスター

           ハムスターを飼っている。  ジャンガリアンの女の子で、カラーはノーマルグレー。わが家の二代目ハムスターである。  前の子は、パンダ柄(実際は、ウシ柄)のジャンガリアンの男の子だった。  この子は、独立心が旺盛で、人に媚びない孤高のハムスターだったので、次の子は、手の上でエサを食べてほしいな、と夢見ていた。  でも、元気で長生きしてくれたら、どんな子でもいい。  五月の終わり、夫とペットショップに行った。  次に引っ越したら、ハムスターを飼おうね、と話していたのだ。  

          014 ハムスター

          013 そして、梅雨

           日曜日から、毎日、雨が降っている。  この降ったりやんだりが、一週間先まで続くらしい。本格的な梅雨の到来である。  ついに来たか、という心境。  金沢に引っ越してきてから、この時期のために、いろいろ準備してきたのだ。撥水加工のパーカ、全天候型の登山靴も買った。除湿剤の買い置きも十分。ふふん、梅雨よ、かかってきなさい。  わたしは、北海道出身なので、実は、梅雨というものを大人になるまで、体験したことがなかった。  はじめての梅雨は、新婚のころに住んだ千葉。    子ども

          013 そして、梅雨

          012 おにぎり その2(おにぎり研究家、お米について語る)

           『おにぎり』というエッセイで、おにぎり研究を趣味にしようか、ということを書いた。  読書以外、とくに趣味はないし、おにぎりの研究というのは、グルメのまち、金沢らしい。ここにいる間限定の、ご当地趣味、みたいな感じです。  今回は、おにぎりに向いているお米について、考えてみようと思う。 おにぎり向きのお米とは  それは、適度なねばりのあるお米、だと思う。  お米をにぎる場合、ねばりがないと、米つぶが、ばらばらと崩れてしまうのだ。  この見解は、インドネシアでの経験に基づくも

          012 おにぎり その2(おにぎり研究家、お米について語る)

          011 自転車 その2

           ある日の午後。自転車を漕いでいた。  例によって安全運転のわたしを、一台の自転車が追い抜いた。高校生の男の子だ。  ぼんやりした子で、車道に出てから、車が来てないか確かめている。  車の確認おそいぜ、にいちゃん、と心の中でツッコミを入れた次の瞬間、 ガシャン!!  と、大きな音を立てて、目の前の高校生は、自転車ごとひっくり返った。  地面のひび割れに、車輪がはまったらしい。  派手に転んだが、その子は手負いの小動物のように、パッと起き上がり、顔をしかめながら自転車を起

          011 自転車 その2

          010 数字(001~009のふり返り)

           今回は、ふり返りです。  いつもは日常の切りとりを文章にしていますが、今日はトリミングなしで、これまで読んでくださった方のことを考えながら、書いています。ちょっと長くなるかも。 ・数字  このエッセイを読んでくださっている方は、タイトルの前に数字が付いていることにお気付きだろう。  とくに気負い立っていたわけじゃないけど、最初にルールを二つ作った。  それは、簡潔に書くこと、そして、続けること。  自分で勝手に始めたものなので、いつやめてもいいんだろうけど、せっかく

          010 数字(001~009のふり返り)

          009 有名人

           六月のはじめに、百万石まつりという金沢のお祭りがあった。  三週間も前の話だが、わたしの数少ない有名人を見た話なので、聞いてもらいたい。  祭りのメインイベントに、百万石行列というパレードがある。  前田利家公に扮した役者さんが、行列を引き連れて、金沢駅前の鼓門を出発し、香林坊を通って、金沢城に入場する、というものだ。  今年は利家公の役に、俳優の仲村トオルさんが抜擢されて、大変な賑わいだった。  当日、昼過ぎに行ってみると、駅前のメイン通りは、人であふれかえっていた。

          008 千円札

           自転車で図書館に向かっていると、前方に何か落ちていた。  よく見ると、千円札だった。二つ折りにしたお札が、ばら、ばら、ばら、と三枚。いや、ひとつ厚みがあるものがあったから、四枚かも。  はだかでポケットに突っ込んで、スマホか何か取り出した拍子に落ちたんだろうか。  道端に落ちている大金にあっと思ったが、わたしはそのまま通り過ぎた。  ある出来事から、落ちているお金は、無視することに決めているのだ。  話は、高校三年のころに遡る。  ある朝、学校行きのバス停に向かって歩いて

          007 新幹線には

           新幹線に乗るときの楽しみは、お弁当。  昼頃に乗る場合は、早めに駅に行って適当な店で済ませたりせず、お弁当を買うことにしている。  普段、電車の中でお弁当を食べることがないので(おにぎりを食べる人はたまに見かける)、新幹線の中でお弁当を食べることは、非日常、つまり旅のはじまり、という感じがする。  おかずが沢山入ったお弁当もたのしいけれど、最近、買うのは、巻きずし。とくに海鮮の太巻きが気分。  巻きずしは、すっすっ、と口に運べるのがいい。巻きずし、巻きずし、お茶、巻きずし

          007 新幹線には

          006 トンビにご用心

           今日の金沢は、とても晴れていた。  最近は家にこもりがちだったので、香林坊の方まで出かけることにした。行きたかった喫茶店があったのだ。  ところが、自転車を漕いで店に到着すると、本日、定休日。Googleで確認したら、営業中だったんだけどな、、、  金沢は、こういうのがけっこう多い。  古着屋のお兄さんが教えてくれたが、竪町のあたりは水曜定休の店が多いそう。そういう決まりがあるらしい。  喫茶店は残念だったけど、近くのパン屋さんもおいしそうだった。昔ながらのパンのあまい

          006 トンビにご用心

          005 耳かき

           耳かきが、やめられない。  だめと分かっていても、毎日のようにやってしまう。気持ちよくてやっていたらエスカレートして、やらないと落ち着かない体(耳?)になっていた。  綿棒を耳の奥まで入れて、鼓膜に近いところをこりこりやる。 たまに鼓膜から乾いた耳あかが、ぺりっと剥がれる感覚がして、猛烈に耳かきがしたくなることも。完全に中毒。  調べると耳掃除は月に一度、耳の入り口から一センチあたりの耳あかを取るので十分とある。耳あかが乾いたタイプの人は、自然に出てくるので、耳かきはほと