かなりあ
2000字未満の自作の超短編小説(ショートショートや掌編小説)をまとめました。
1600字以上の自作エッセイです。原稿用紙に換算すると、4枚分以上の文章量にあたります。
東京に行って感じたことを綴った文章をまとめています
他のクリエイターさんが書いた記事です。特に好きなものを集めました。
僕は、書店に行くことが結構好きだ。といっても、「読書がめちゃくちゃ好き」とか「欲しい本が山ほどある」というわけではない。「書店」という場所自体が好きなのだ。そこでしか感じられない心の動きを求めているのである。 何気ない日常の中で「ちょっと本屋に行ってみようかな」と思いつき、特に買う本も決めずプラッと本たちが整列する空間に足を踏み入れた瞬間の「非日常に飛び込んだ」ような感覚。 本棚の本たちを順に目でなめまわしているうちに、今まで自分が読んだことのあるタイトルに出会った瞬間の
2015年の暮れ 雪が 降り積もる日に 僕は 中学受験をした 年の初めから 10日くらい経って 郵便屋さんが 持ってきた ぶ厚くて白い 長方形の封筒 中から出てきた 「合格」の二文字に 僕よりよろこぶ 父と母 部屋の温度が 一気に上がって 窓に付く雪が 全部水に変わったような気がした 初めて入る 教室は 遥か遠くの 星のよう みんなおんなじ 星にいるのに 自分の机だけが テリトリー 僕たちはまだ 分かり合えないまま 燕尾服を着た 担任の指示で 並んだ廊下は 冷たく
日曜日の昼下がり、私は「夢占い てらい」と書かれた扉を開けた。 「いらっしゃいませ」 店に入ると、爽やかな男性の声がした。 「こちらの席にどうぞ」 その男性が指差す木製の椅子に、私は腰を下ろした。黒の長机を隔てて、彼と私が対面する格好になる。 「こんにちは。ご来店は初めてですか?」 彼は、にこやかな表情で語りかけてきた。 「ええ」 「そうですか。まず初めに、お名前を伺っても……」 「三上です」 「三上様ですね。ありがとうございます」 彼は質問を聞きながら
印象深い「味」との出会いは、偶然だった―。 ホテルのチェックインを済ませた僕は、スーツケースを部屋に置き、さっきよりも身軽な格好で薄暮の街へ繰り出した。 時刻は18時半を過ぎたあたり。普段はもっと遅い時間に夕食をとるのだが、歩き回ったせいか、すでにお腹がすいている。いつもより早めのご飯にありつくべく、ここへ来た時の道をなぞるように飲食店探しの旅を始めた。 300mほど進むと、広い交差点に出た。 信号待ちをする僕の目の前を、ヘッドライトを照らした車たちがスイスイと泳いで
旅先では、いつも食事に困る。 普段見慣れないお店の数々を前にすると、優柔不断な性格の僕は「どこに入るべきか」を悩みまくってしまうのである。仮にお店を選ベたとしても、選んだ店でのメニュー選びに時間がかかってしまう。 その上、安定志向だからなのか、「その土地ならでは食文化に触れたい」とか「地元で人気のお店に行きたい」みたいな欲求は特にない。 結局、普段行くようなファストフード店や慣れ親しんだチェーン店に入ってしまうことが多い。 今、僕が【吉野家 武蔵小金井駅前店】の自動ド
コインロッカーの電子パネルにQRコードをかざすと、ガチャリと音が鳴った。 ここは、東京・武蔵小金井駅の北口。 行き交う人々を背に僕は、先ほど開錠した9番ロッカーの扉を開け、左手でしっかり押さえながら、反対の手で丁寧にキャリーケースを取り出した。 今朝預けた「旅の相棒」は、心なしかくたびれた色に見える。 僕はちょっと気弱な様子の相棒を引きずりながら、駅の南口を目指す。 駅の構造上、南口はここからわずか数十メートルしか離れていない。ところが、ごった返す人の波が、その距離
今回は、大学の「社会学」の授業で書いたレポートに加筆・修正を加えたものを投稿します。 「社会学の考え方を使って、世の中の事象を考察する」というのが授業のテーマで、ここではカール・マルクスの提唱した考え方を用いています。 ちなみに、これは2年前に書いた文章。読み返しながら、必死に文献を漁っていたあの頃の自分を思い出しました。 今後も授業を通して書いたものを、時々お見せしたいと思います(せっかく時間をかけて書いたことだし)。 6. 贈り物とマルクスの「物象化」 ③商品の受
今回は、大学の「社会学」の授業で書いたレポートに加筆・修正を加えたものを投稿します。 「社会学の考え方を使って、世の中の事象を考察する」というのが授業のテーマで、ここではカール・マルクスの提唱した考え方を用いています。 ちなみに、これは2年前に書いた文章。読み返しながら、必死に文献を漁っていたあの頃の自分を思い出しました。 今後も授業を通して書いたものを、時々お見せしたいと思います(せっかく時間をかけて書いたことだし)。 4. 贈り物とマルクスの「物象化」 ①商品の生
今回は、大学の「社会学」の授業で書いたレポートに加筆・修正を加えたものを投稿します。 「社会学の考え方を使って、世の中の事象を考察する」というのが授業のテーマで、ここではカール・マルクスの提唱した考え方を用いています。 ちなみに、これは2年前に書いた文章。読み返しながら、必死に文献を漁っていたあの頃の自分を思い出しました。 今後も授業を通して書いたものを、時々お見せしたいと思います(せっかく時間をかけて書いたことだし)。 1. 生活の中の贈り物贈り物は、文字通り「人に
海外の大学を受験しようと思っている―。 そう君が言った時のことを、今でもはっきりと覚えている。 って、言いたいところだけど、ごめん。 正直、君がどんな風にそのことを僕に伝えてくれたのか、まったく思い出せない。 国内の大学から海外大学に切り替えて、受験勉強に勤しんで、結果無事に合格して、奨学金を得るために悪戦苦闘していた「半年間の君」の姿は優に思い浮かぶのに。陸上のトラック競技を観戦していて、スタートだけを見逃してしまったかのようなもどかしさがある。 記憶力にそこそこ
もしもし。 【 】 もしもし。 【 】 ごめんホント。急に電話して。 【 】 なら良かった。今、自分の部屋? 【 】 周りに家族とか居ない? 【 】 本当に? 【 】 なら良かった。 【 】 いや、なんか、他の人にあまり聞かれたくなくて。 【 】 いや、そこまでしなくてもいいよ。 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ 【 】 あ、もしもし。どうだった? 【 】 そっか、ありがとう。 【 】 あのー【 】急なんだけど、明日の放課後って、空いてる?
〈 〉 あ、もしもし。 〈 〉 もしもし。急にどうしたの? 〈 〉 別いいけど。ご飯食べ終わって、暇してたし。 〈 〉 そうだけど。 〈 〉 いないけど。 〈 〉 マジでいないって。 〈 〉 えーなんで? 〈 〉 じゃあ、ちょっと待って! 一回外見てくる。 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ もしもし。 〈 〉 下でテレビ観てた。だから大丈夫だと思う。 〈 〉 うん。それで本題は? 〈 〉うん。〈 〉 あした? 〈 〉 まあ、空いてるかな。部
それでも、昔よりは「助けてほしい」というHELPの声をあげられるようになったきた気がする。「めっちゃ苦手だった」のが「そこそこ苦手」くらいに、微妙にランクアップしたくらいだけど。 そのきっかけの1つは、「聞く技術 聞いてもらう技術」という本に出会ったことにある。 昨年(2023年)の秋、書店の棚を無造作に眺めていた僕の目が、一点で止まった。 心に留まったのは「聞く」という単語が書かれていたからだ。 僕は他の人の話を「聞く」のが好きなタイプ。コミュニケーションの中では、
僕は、誰かを頼るのが下手だ。 仕事をしていて自分一人じゃ解決できなさそうなことが起こっても、「助けてほしい」「手伝ってほしい」と言えない。 何か苦しいことや辛いことがあっても、「苦しいから話を聞いてほしい」とか「辛いから相談に乗ってほしい」と声を上げることができない。 何もかも一人で難なくこなせるスーパーマンなんていないのに、まして自分はなれやしないと分かっているのに。クールな顔をして困難という敵を次から次へと倒してしまう、そんな「想像上の存在」に、憧れを抱いている節が
小説を書きたいが、どう書けばいいか悩んでいる。 執筆を手伝ってほしい。 内容はまだ決まっていない。 発想力に欠けるところがあるので、小説のアイデアは一任する。 はい。 H先生の「子どものための短編集」が特に好き。 好きなジャンルは「ショートショート」なので、短いながらも独創的なオチがある作品が望ましい。 文字数は「1000字以内」でお願いしたい。 使いたいキーワードは特にない。 申し訳ないが、教えたくない。 「マジすげーな」 少年は、心の底からの感嘆の声をあげた