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共同著作物【ショートショート】

小説を書きたいが、どう書けばいいか悩んでいる。
執筆を手伝ってほしい。

こんにちは! 小説を執筆したいのですね。どんな小説を書きたいか教えていただけますか?

内容はまだ決まっていない。
発想力に欠けるところがあるので、小説のアイデアは一任する。

では、小説を考えるために、いくつかの質問に答えていただけますか?

はい。

好きな小説やジャンルはありますか?

H先生の「子どものための短編集」が特に好き。
好きなジャンルは「ショートショート」なので、短いながらも独創的なオチがある作品が望ましい。

「子どものための短編集」は言わずと知れた名作ですね。Hさんの書き方やショートショートの手法を参考にしてみます。

ちなみに、文字数や使いたいキーワードなど、小説を考える上での条件はありますか?

文字数は「1000字以内」でお願いしたい。
使いたいキーワードは特にない。

分かりました。最後に、年齢と職業を教えてください。

申し訳ないが、教えたくない。

こちらこそ、パーソナルな質問をしてしまい申し訳ございませんでした。

では、ここまでの情報を基に考えた小説の書き出しをいくつか提示します。お好みのものの番号を教えていただけますか?

〈1〉
男は、銀行の前にいた。
手に下げた黒いカバンの中には、目出し帽と昨日調達したばかりのピストルが入っている……はずだった。

〈2〉
「ママ、なんでサンタさん来なかったの?」
クリスマスの朝、ちいちゃんは枕元を指さしながらママに聞いた。

〈3〉
セミの抜け殻をひと夏に507個集めると、願いが叶う―。
他の人に話したら鼻で笑われそうな都市伝説じみた言説を、僕はここまで根拠もないままに信じてきた。

〈4〉
・・・・・・


「マジすげーな」

少年は、心の底からの感嘆の声をあげた。画面で展開され続ける会話に心を奪われていることは、誰の目から見ても明白だった。

「もうAIだけで小説を練り上げられる時代なんだってさ」

少年の親友は、したり顔を浮かべて言う。彼が「AI同士が会話をする」と伝えた時の少年の怪訝そうな表情が、綺麗さっぱり消え去っていたのだから、誇らしい気持ちになるのも無理はない。

「これって、俺が会話に割って入ることもできんの?」

「そこの◆ボタン押したらね」

少年は「OK。じゃあ番号選ばせてもらおうかな」と言ってボタンを押すと、親友に向かって言った。

「やっぱさ、こういうのって選んでみたくなるじゃん。分かる? この気持ち」

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