【B視点】向こうの「声」に耳を傾けて【掌編小説】

物語の中で、電話越しに相手の声が聴こえたタイミングは、すべて〈 〉に変換しています。2人の間でどんな話が繰り広げられているのか、想像を膨らませながらお読みください。
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電話の向こうの【声】は、下のリンクからお読みいただけます。

・向こうの【声】を聴く

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〈 〉

あ、もしもし。

〈 〉

もしもし。急にどうしたの？

〈 〉

別いいけど。ご飯食べ終わって、暇してたし。

〈 〉

そうだけど。

〈 〉

いないけど。

〈 〉

マジでいないって。

〈 〉

えーなんで？

〈 〉

じゃあ、ちょっと待って！ 一回外見てくる。

◇ ◆ ◇ ◆ ◇

もしもし。

〈 〉

下でテレビ観てた。だから大丈夫だと思う。

〈 〉

うん。それで本題は？

〈 〉うん。〈 〉

あした？

〈 〉

まあ、空いてるかな。部活オフだし。

〈 〉

そうそう。

〈 〉うん。〈 〉

出掛けるって、どこ行くの？

〈 〉

TOYOシネマ？

〈 〉

何か、観たいのあるの？

〈 〉

それで誘ったの？

〈 〉

まあいいけどさ。

〈 〉

まあ、「コンパス」とかかな。

〈 〉

なんかいいらしいよねーってかさ、珍しくない？

〈 〉

そっちから誘って来るって。

〈 〉

しかも、電話もしてこないじゃん普段。

〈 〉

何かあった？ 嫌なこととか。

〈 〉

最近、学校も全然来てないしさ。てか、俺以外と連絡とってんの？

〈 〉

そっか。でも、みんなハルのこと心配してるよ。

〈 〉

うん。大丈夫かなって。

〈 〉

じゃあ、別に映画館じゃなくてもいいんでしょ？

〈 〉

じゃあ、もっと落ち着いて話せるとこにしよ。

〈 〉

ウチとか？

〈 〉

うん。別にマサんちでもいいけど。

〈 〉

じゃあウチでいいよ。親帰ってくるの遅いから。

〈 〉

ひとりでいても暇だし。

〈 〉

いいって。学校終わったらそのまま迎え行くから。

〈 〉

だって、ひとりで外出るの怖いんでしょ？

〈 〉

じゃあ、それで決まりね。着いたらLINEするわ。

〈 〉

他なんかある？ 話したいこととか。

〈 〉

了解。

〈 〉

まあ全然。暇だったし。

〈 〉

はーい。

〈 〉また明日！