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【演劇】美しい日々(新国立劇場)

 演劇を本格的に見始めて2年ほどですが、1月〜2月、3月は、劇団研修所の終了公演などがあるようです。今年に入って、私もいくつか観に行きました。
 今回、新国立劇場演劇研修所の第18期生終了公演で観た『美しい日々』の記録を残します。

■ものがたり、舞台

東京の中央線の、とある駅の近くにある安アパート。そこに住む、私立高校で教師をしている永山健一の部屋には、教え子や若い女性や同僚が出入りしている。隣の部屋には兄と妹が暮らす。やがて、二つの部屋では何かが崩れていき......。
九州の、海のある小さな町。お盆を迎えた安木家に身を寄せた永山。土地の人々との交わりの中で、永山の心は......。

新国立劇場のHPから引用。

 上記した〈ものがたり〉にあるように、二部構成で舞台は以下のようになっていました。
〈第一部〉は東京、都心から少し外れた中央線の駅にほど近い、木造の安アパート。
〈第二部〉は九州、海のある小さな町にある、安木家の離れの居間。

■考えたこと、思い出したこと

(1)東京と地方の暮らし

 私が感動した背景として、私が、九州から出て来て、東京で暮らしていることも1つにあると思います。以前、地方に住む人と「東京で暮らしている人と、地方(田舎)で暮らしている人のどちらが心がきれいか。」論争になったことを思い出しました。さて、答えはどうなのでしょうか。

 本作では、東京の暮らしも、九州の暮らしも、一定の緊張感を持って描かれていました。安易にどちらかには傾きません。
 また、演じる研修生の方々の演技に加え、照明が暗くなる感じや、(音響なのか)静寂感を感じる演出もあり、私は、かなり集中して観劇することが出来ました。
 方言指導もあると思いますが、九州弁もとても滑らかに、懐かしく聞くことが出来ました。
 作の松田正隆さんは、長崎県出身の劇作家、演出家で、以前『月の岬』という作品を観たことがありますが、他の作品にも触れてみたくなりました。

(2)不知火

 もう1つ、個人的に思い出したことを記載します。本作では第二部で「不知火」が出て来ます。「不知火」とは、旧暦八月一日に八代海上に現れると言われる光のことです。こうしたことから、第二部の舞台は、九州の熊本なのでしょう。

 私個人としては、まだ九州にいたときのことを思い出しました。祖母から「不知火とは、何と読むんじゃっけ?」と聞かれたことがあります。「しらぬいだよ。」と答えました。そんなことも、思い出しました。

 そんなこともあって、冒頭の画像は、「不知火」で検索し、八代海を描いた tohrudcさんの作品(絵)を使用させて頂きました。ありがとうございました。

(3)より普遍的に

 さて、ここまで、個人的に思い出したことを2つぐらい記載しました。
 舞台では、東京でも九州でも、共通して閉塞感(のようなもの)が描かれています。こうした閉塞感は、より普遍的に、作品が書かれた時代背景を踏まえ、幅広い地域や世界に広がっていくのでしょうか。
 また、題名は『美しい日々』ですが、過去を振り返り、そう思うのか、それとも、「美しい」という言葉が持つ清廉さのようなものなのか、ここはもう少し考えてみたいです。

■最後に

 今回、新国立劇場研修所の終了公演について記事を記載しましたが、少しズレてしまったかもしれません。その点、申し訳ありません。
 他の劇団の公演なども、また機会がありましたら記載してみたいです。最後までお読み頂き、ありがとうございました。


■公演概要

◇公演期間:2025/2/11(火・祝) ~ 2025/2/16(日)
◇会場:新国立劇場 小劇場 (東京都)
◇出演者など
・[作]松田正隆
・[演出]宮田慶子
・[出演]新国立劇場演劇研修所第18期生

 本日は、以上です。


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