【邦楽(雅楽・声明など)】源氏物語音楽絵巻
2024年1月27日(土)、初台にある新国立劇場に、国立劇場主催の邦楽公演を聴きに行きました。タイトルは『源氏物語音楽絵巻─演奏と朗読でたどる光源氏─』です。記録を残します。
■全体を通した感想
私は音楽に疎く、今回も音楽を聞きつつ、ストーリーや歌詞を目で追う形になったりするのかなと、最初は弱気になる面もありました。
しかし、行ってみて良かったです。理由は以下の2つです。自分が関心を持った分野(「物語」)から入ると、他の分野でも興味は尽きないということを、今回改めて感じました。
◇理由①
『源氏物語』の中には、光源氏をはじめとする貴族たちが、管弦の遊びを催す場面が多くあります。言われてみると「雅楽」と縁が深いのです。本の文字を追うだけでは、どういう音楽で、どういう舞か、分からない面もあり、今回、幾つかだけでも、知ることが出来て良かったです。
◇理由②
『源氏物語』は、平安時代中期に創作された物語ですが、その後も、室町時代の能や、江戸時代の箏曲などで題材として取り上げられ、現代につながっています。
今回、雅楽(管弦の演奏、舞楽、催馬楽など)や箏曲に加え、声明や朗読との(言葉が不適切かもしれませんが、)コラボもあり、とても楽しむことが出来ました。
『源氏物語』という縦軸(テーマ)がはっきりしていたからこそ、出来た企画だったように思います。
■公演概要
(1)演目
第七帖「紅葉賀」より、舞楽『青海波』
第九帖「葵」より、箏曲『葵の上』
第二十四帖「胡蝶」より、管絃『皇麞急』、催馬楽『安名尊』
第三十四帖「若菜上」より、箏曲『初若菜』
第四十帖「御法」より、舞楽法会『陵王』─法華経千部供養より─
(2)出演
雅楽:伶楽舎
声明:天台聲明 七聲會
箏曲:山登松和、下野戸亜弓、上村和香能、福原徹
朗読:細貝光司、杉宮匡紀、伊藤安那、下池沙知、(朗読演出)小林勝也(以上、文学座)
■個別のメモ・感想
あまり沢山記載しても仕方ないような気もするので、大きく3つ記載します。
(1)青海波について
『源氏物語』の中では、光源氏と頭中将によって舞われます。大和和紀さんの『あさきゆめみし』でも描かれていて、記憶に残っていました。今回、実際に見てみて、自分が想像していたのよりゆっくりした舞であると感じました。装束も頭に残りました。
(2)催馬楽について
私は、初めて「催馬楽」を聞きました。催馬楽というのは、(楽器の演奏というより)平安時代に流行した歌曲(歌謡)のようです。配布パンフレットから少し引用します。
歌詞(句)自体は短いものでした。今様との違いなど、調べると面白そうな気がします。「今様」の方が、今めいたという意味もあり、(相対的に)催馬楽より新しいそうです。話がそれそうなので、これぐらいでやめておきます。
(3)舞楽法要『陵王』について
病床に伏した紫の上が行う法要です。出家したいと思いつつも、光源氏に止められてしまいます。自由に生きられるか、自らの生き方に決断を迫られる最後の場面のようにも思いました。
舞台では、朗読を皮切りに、舞楽『陵王』に合わせて、僧侶たちによる声明が唱えられました。
本場面は、①光源氏と紫の上の関係の変化、②宗教による救済を求める姿があらわれる場面であり、(個人的には)物語の一つの山場のようにも思います。
配布パンフレットを読むと、この舞楽『陵王』だけでも、①中国の蘭陵王・長恭の話や、②陵王が被った仮面と龍のつながり、③龍女の成仏(女人成仏)、④来世に祈る紫の上の姿など、様々なことが関係しそうですが、こちらも本記事から話がそれそうなので、控えておきます。いつか自分でも、本を読んだりして調べてみたいです。
ただ、舞楽『陵王』の仮面には龍がついており、今年は辰年であることから、観ることが出来て良かったなぁ、と思いました。
■最後に
その他、会場では『源氏物語の音楽』というCD集が販売されていました。最近売り出されたもののようです。
私は購入まではしなかったのですが、『源氏物語』に出てくる音楽が、どんな音楽(雅楽)なのか知る上では、聞いてみるのも面白いのかなと思いました。販売の配布チラシを見ると、源氏物語の「帖」とそこに出てくる音楽が書かれてあり、確かに物語の文中にあったなと振り返りました。
業者のまわし者ではありませんが、自分の備忘録もあり、リンクを貼っておきます。
本日はこれぐらいにしたいと思います。最後までお読み頂き、ありがとうございました。
冒頭の画像は、「仏教」で検索してヒットした蓮の花です。いろどりLifeさん、ありがとうございました。