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チキンゼリーとフランス人の衛生感覚

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このブログを始めたのが7月。
できるだけ季節のレシピを、と心掛けていたら、何だか皆軽いレシピばかりになってしまっています。お肉料理はいままで一つもなくて、これが最初。
今後徐々に充実させたいと思います。

これも、晩春、夏向きレシピですが、簡単で、見栄えが良く華やかなので、持ち寄りパーティーなどでも大受けすること間違いなしのレシピです。
ミラノではクリスマスのランチにこの種のゼリーを用意する家庭もあります。
(クリスマス・イブはお魚料理なので、お肉類はクリスマスの日の昼食に食べるのが習慣です。)

パサパサしがちな鶏肉とレモンの効いたゼリーが絶妙の取り合わせ。

夏の暑い日の「焼肉なんてとてもお腹に入りません。」とか「この暑いのにオーブン使うなんてとんでもない。」という日にも最小の加熱で作れ、爽やかな味のセコンド・ピアットとして最適です。

冬ならば半量にして前菜にするのも良いでしょう。

パリの惣菜屋で買って気に入ったものでフランス料理でもありますが、ミラノのあるロンバルディア州の伝統料理ともされています。ミラノ風にはマルブレ(大理石風の意)とも呼ばれます。

ゼリーを使うレシピは古代ローマや古代エジプトにもあったそう。(出典:wikipedia aspic)

そもそもフランスの宮廷料理には、1533年にフランスの王室にイタリア(当時のトスカーナ大公国)から嫁いだカテリーナ・ディ・メディチ(フランス名カトリーヌ・ド・メディシス)が大きく貢献したと言われています。

有名なマカロンもフランスのお菓子のように思ってる方は多いと思いますが、マカロンもフロランタンも元々はカテリーナ・ディ・メディチがイタリアから連れて行った料理人のレシピ。

さらに言うなら、カトラリー(フォークなど)もテーブルマナーもカテリーナ・ディ・メディチがフランスの宮廷に導入したと言うのは有名な話。
それまでフランスでは宮廷でもなんと手掴みだったとか。

当時のイタリアは先進国だったんです。 

詳細は私のアンティーククリスタルのブログのメディシスの項目をご覧下さい。
アンティーク バカラ メディシス BACCARAT MEDICIS
https://galleria-kajorica.blogspot.com/2019/02/baccarat-medicis.html

「チキンゼリーとフランス人の衛生感覚」の話はレシピの後に 。

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材料写真

<材料 9 x24 x 5.5 cm 型用 約6人分>
・鶏肉 調理済み正味 約280g (生肉から作る場合茹で上がりで同量)
*今回はメルシェで買った鶏の丸焼きを使用しています。
700g 胸肉とモモ肉の良いところだけ取り出して
正味約260gでした。

・レモン2個 (白ワインビネガーでも代用可能)

・イタリアンパセリ 適量

・ブイヨン入りゼラチン1lt 分 
*ブイヨン入り1ltのお湯にゼラチンを溶かします。
*ブイヨンの塩の量が適切なら塩を加える必要なし。


近所のメルシェの鶏の丸焼き屋台

<作り方>

1・鶏の丸焼きを使用する場合、胸肉とモモ肉の良いところだけ取り出します。
・・生のむね肉を使用する場合、沸騰した紅茶の中で約20分茹でます。

2・鶏肉は適当な大きさにちぎります。

3・レモン2個は汁を絞ります。



4・イタリアンパセリは洗って、葉っぱの部分のみにし、水分が残らないようよく乾かします。

5・鍋に1ltの水を入れブイヨン入りゼラチンを1lt分とかしながら沸騰させます。

・・ブイヨン入りゼラチンが入手不可能な場合
  1ltのブイヨンスープを作り中にゼラチンを溶かします。

・・こちらで市販のブイヨン入りゼラチンの説明書には「所要半分のお湯で溶かしあとからもう半分を加える」とあります。この方が早く固まると思いますが、わたしは衛生上全て沸騰させた後冷まします。


6・4のゼラチン液の1、2割の量に少し2のレモン汁を少量加え、型に流し込み冷蔵庫に入れます。
残りのゼラチン液は常温で粗熱を取ります。

7・残りのゼラチン液が冷めてきたら2のレモン汁を混ぜます。


8・5の方の中のゼラチンが固まったら、パセリ>鶏肉>ゼラチン液>パセリ>鶏肉>ゼラチン液と層ににするような気持ちで型に材料を入れていきます。

9・7を冷蔵庫に入れ2、3時間固めます。

10・型から外し大皿に盛ります。

*手間を簡略化したい場合は6の工程を省略しても味は変わりませんし、見た目もさほど悪くはなりません。


出来上がり写真

これはフランス風のベーシックなものですが、イタリアでは味や見た目の好みで茹でたニンジンやグリンピース、ペペロニなどを加える事が多い。

ちなみに、完成写真に使用している大皿はフレンチアンティークのアスパラガス用の大皿。20世紀初頭のもの。小花柄だけでなく賑々しいアスパラガスのレリーフまであって、飾りのサラダなど添えなくても淋しい感じがしないので、アスパラガス用としてだけでなく色々な用途に便利です。
セットで銘々皿もあり。

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「チキンゼリーとフランス人の衛生感覚」

小学校時代の親友は成績は常にクラスでトップだったが、エキセントリックで優等生というよりは反逆児。先生を小馬鹿にしていた。そして彼女が問題を起こすと、担任の先生に私も共犯扱いされた。

私は絵が上手いだけのぼーっとした子供だったので、彼女と一緒にいると自分まで頭脳明晰になったようで得な気分だった。
彼女の方で私と一緒にいて何が面白かったのかは長年謎だったが、2年前にビデオコールした際に、当時の私はおっとりしていたので気が和んだのだと言っていた。

パリ郊外の惣菜屋でチキンゼリーを買ったのは2022年の2月。
まだ新型コロナが猛威を振るっている頃だった。

新型コロナのロックダウン中にその元親友がパリに単身赴任していることを知り、仕事でパリに行く際に連絡してみた。が、「外食した人は決まってコロナに感染してるから、会食は絶対ダメ。」とけんもほろろ。
一人でもレストランには行かない方がいいとまで言う。

残念だけれど、確かに彼女の言う事が正しい。
私も地元ミラノでは外食など全くしていなかった時期だ。
パリに行く機会はこの先にもまたあるだろう。

というわけで、一泊のパリ郊外の滞在は惣菜を買ってホテルで食べる、という事にした。
出発の日に近くのマーケット(地元の小さな店舗が多数入った常設メルシェ)にランチと夕食を買い出しに。

惣菜屋に並んだゼリー類は断面がまるで大胆な模様の大理石のようで綺麗だったのでチキンゼリーを注文。

ところが!お店の女性はなんと、素手でチキンゼリーをガシッと掴んで切っている。
切ったゼリーを包み終わったらそのゼリーを掴んだ手でキャッシュを受け取り、お釣りの小銭をくれて、にっこり微笑む。

絶句だった。

私の住んでいる北イタリアではそんなことは絶対に許されない。
人が火を通さずに口に入れるもの、洗わないで食べるものをお金を触った手で触るなんてありえない。

ゼリーの惣菜屋の人は例外だったと信じたいと思いながら、パリ、リヨン駅から電車に乗る前に駅前のパン屋でバゲットを買う。
長かったので、半分に切って欲しいと言うと、またまたその有名なパン屋チェーンのお姉さんはバゲットを素手でガシッと掴み、切ったその手で代金を受け取り、お釣りをくれた。

ああ、この衛生感覚わからない。それもパンデミックの真っ最中にだ。
何のために旧友にも会えず、レストランも避けたのかわからない。

一見暑苦しい顔をした人が多いせいか、イタリア人はフランス人より不潔だと先入観を持っている日本人は少なくないと思う。が、実際はその逆。
イタリアの主婦は大抵、家中、床も含めて舐めても良いほど綺麗に掃除している。キッチンだっでまるで使ってないのではと思うほどピカピカなのが普通。もちろんすごく使い込んでいる人でも。一方、フランスでは掃除も行き届いていない家が多い。

帰りの電車の中で色々な悪い想像をしながらも味への好奇心で恐る恐る食べたチキンゼリー、味は良かった。

これは使える。
レモンではなくワインビネガーが入っていた。それもまた良し。

もちろん私がお客様に出すときは素手で触ったりはしません。


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