新しい一歩を踏み出したい人へ贈る、絵本『きみの行く道』のご紹介
「新しい道に進みたい」という望みがあるのに、いろいろなことが不安になってしまったり、どういう風に進めば良いのかわからなくなったりしてしまう。
あなたには、そんな経験はありませんか?
もしくは、今まさに、人生について悩み苦しんでいるところではないでしょうか?
わたしも「人生を変えたい!」と思っても、最初の一歩目が踏み出せなかったり、何かを始めたとしてもなかなか継続出来なかったりと、まごついた日々を送っていました。
今回紹介する絵本『きみの行く道』は、帯に「子どもから大人まで、年齢を問わず新しい一歩を踏み出そうとするすべての人へ」と書かれているように、何か新しい一歩を踏み出す人に向けた作品です。
人生を変えたいと思っても、なかなか変えることが出来ずに苦しんでいる方にオススメしています。
全米でも大ヒット 絵本『きみの行く道』とは
本書は1990年に発行された絵本ですが、ニューヨークタイムズのベストセラーに2年以上登場し、全世界で1,000万冊以上も売れている大ヒット作です。
アメリカやカナダでは高校・大学を卒業する学生への贈りものとして人気があり、『全米教育協会(NEA)』はこの本を「教師が選ぶ子供のための本トップ100」の1冊に選ぶほどです。
また、作者である『ドクター・スース』は「現代のマザーグース」と称されるほど卓越した絵本作家で、『ローラ・インガルス・ワイルダー賞』や『ピューリッツァー賞』を受賞しています。
『ドクター・スース』の遺作となった本書は、人生という道の歩み方や、時には上手くいかないこともあるということを、実にシンプルで分かりやすく表現しています。
独創的でユーモアがある絵も、新しい道に進んだ時のワクワク感や不安を端的に表していて、飽きること無く読み進めることが出来ます。
「読者が主人公」となり、ページをめくることで「道が進む」
本書の特徴として、主人公は「きみ」、つまり読者として捉えていて、ページをめくるごとに読者は「自分が主人公の物語」を疑似体験することが出来ます。
物語の中では、自分の街を飛び出して、だだっ広い世界の中で好きな道を歩き、良いこともあれば悪いことにも出会います。
それでも、きみはすすむ。
物語の中では、とにかく主人公が止まることはありません。
どんな出来事が起きても「きみはすすむ。」と断定し、「ページをめくる」という行為によって、どんどん新しい景色に出会っていきます。
そうして人生という道を進んでいくうちに、主人公はある場所にたどり着きます。
なんとまあ、とんでもなくろくでもない場所にたどりつく。
「待つところ」です……。
この『待つところ』では、様々な人が様々なものを待っています。
電車やバス、手紙や電話、イエスかノーか、運がむいてくるのを、またのチャンスを、みんながただただ、何かを待っている場所にたどり着いてしまいます。
しかし、この本は「進み続ける」物語で、「新しい一歩を踏み出したい」人のために書かれています。
「ちがう。そこは、きみの行く道じゃない。」と次のページで作者が明確に否定しているとおり、待つだけの人生ではなく、自分の道を歩みたい人は「待つところ」に留まっているわけにはいきません。
主人公は再び歩み始め、またいろいろな出来事や失敗にも出会い、最後には「主人公が山を動かしている絵」の景色にたどり着きます。
きみなら、山だって、動かせるんです!
ここまで作者は、絵本の中の主人公の背中を押し続けて来ましたが、ここで初めて「読者」に向けたエールが書かれています。
きみの山が、待っていますよ。さあ、出発しなさい。きみの道をね。
本を読み終わると同時に、「新しい一歩を踏み出した物語」が終わり、読者本来の人生に戻ってきます。
物語から現実の世界へ戻ってきて
自分の人生に戻ってきた後、わたしはすっと心のなかに爽やかな風が吹いたような気持ちになりました。
物語の中での体験を通して、「新しい道を進み続ければ、もちろんいろいろあるけれども、何だって出来るんだ」と、なんだか不安や悩みが解消されたような気がしたのです。
ぱっと気が晴れるような、「こういうことばを求めていたんだ!」と思える文章が書かれている本書は、わたしの中では「背中を押してくれる本」となりました。
初版から30年経った今でも、世界中で愛され続けている理由が分かったような気がします。
人生が苦しいと感じていたり、なかなか最初の一歩が踏み出せない方は、ぜひこの本を読んでみてください。
絵本ですので、読書が苦手という人でも安心して読み進められます。勿論日本語版もあります。
もちろん大人だけではなく、子どもに対してもオススメ出来る本なので、一冊買っておいて損はしないですね。
以上です。
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