マガジンのカバー画像

HANAちゃんストーリ

19
運営しているクリエイター

#犬

公園の中の笑顔たち(HANAちゃんストーリー第9話)

公園の中の笑顔たち(HANAちゃんストーリー第9話)

公園で寝ていると、中学1年生の美雪ちゃんが声をかけてきた。

彼女とは週に2回、ここで行き会う。

私は眠い目をこすりながら返事をした。

「なふぃ~?どうしたの?」

横に座る彼女を見ると、俯いて涙ぐんでいた。

「何かあったの?」

彼女はコクンと頷き、話し始めた。

「あのね、HANAちゃん。今日、学校でテストが返されたの。たくさん勉強したのに、ひどい点数だった。塾にも通っているのにどうして

もっとみる
迷子の花火大会(HANAちゃんストーリー第2話)

迷子の花火大会(HANAちゃんストーリー第2話)

毎年夏になると、田舎のおじいちゃんの家に遊びに行く。

小学2年生になった僕は、はじめて1人でおじいちゃんちに泊まることになった。

おじいちゃんちに行くこの時期は決まって、花火大会が開催される。
デパートもゲーセンも近くにないおじいちゃんちはとても退屈だった。だからと言って、都心にある自宅に帰りたいわけでもなかった。

両親は共働きで、お母さんも帰りが毎日遅かった。なので僕は、1人でコンビニ弁当

もっとみる
ご褒美のあめ玉(HANAちゃんストーリー第3話)

ご褒美のあめ玉(HANAちゃんストーリー第3話)

梅雨が明けたばかりの良く晴れた休日の昼過ぎ。

「あ~もう!」

肩に掛けたエコバッグから首をくすぐるネギに声を荒げる。
駅前のドラッグストアでトイレットペーパーを、スーパーで夕飯の材料を買った。久しぶりの休みだというのに、旦那は休日出勤。重い荷物を無理やり持ち直す。

自宅までの帰り道をショートカットするために公園の中へ入って行く。

ふと、すぐ近くのシーソーに目をやると、子供たちが順番の取り合

もっとみる
何度も何度も(HANAちゃんストーリー6話)

何度も何度も(HANAちゃんストーリー6話)

「離して!!もう離してよ!!」

玄関先で揉めている咲と母親の洋子。

洋子は咲の腕を掴んだまま必死に引き留めようとしている。

「もう、時間ないんだから、いい加減離して!」

咲はおもいっきり洋子を突き飛ばして外に出て行ってしまった。

「痛い・・・」

床にうなだれながら壁にぶつけた肩をさすっている。

***

次の日、咲の部屋を覗くと咲はベットで眠っていた。

顔にはたくさんの包帯が巻かれ

もっとみる