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#ショートストーリー
公園の中の笑顔たち(HANAちゃんストーリー第9話)
公園で寝ていると、中学1年生の美雪ちゃんが声をかけてきた。
彼女とは週に2回、ここで行き会う。
私は眠い目をこすりながら返事をした。
「なふぃ~?どうしたの?」
横に座る彼女を見ると、俯いて涙ぐんでいた。
「何かあったの?」
彼女はコクンと頷き、話し始めた。
「あのね、HANAちゃん。今日、学校でテストが返されたの。たくさん勉強したのに、ひどい点数だった。塾にも通っているのにどうして
迷子の花火大会(HANAちゃんストーリー第2話)
毎年夏になると、田舎のおじいちゃんの家に遊びに行く。
小学2年生になった僕は、はじめて1人でおじいちゃんちに泊まることになった。
おじいちゃんちに行くこの時期は決まって、花火大会が開催される。
デパートもゲーセンも近くにないおじいちゃんちはとても退屈だった。だからと言って、都心にある自宅に帰りたいわけでもなかった。
両親は共働きで、お母さんも帰りが毎日遅かった。なので僕は、1人でコンビニ弁当
ご褒美のあめ玉(HANAちゃんストーリー第3話)
梅雨が明けたばかりの良く晴れた休日の昼過ぎ。
「あ~もう!」
肩に掛けたエコバッグから首をくすぐるネギに声を荒げる。
駅前のドラッグストアでトイレットペーパーを、スーパーで夕飯の材料を買った。久しぶりの休みだというのに、旦那は休日出勤。重い荷物を無理やり持ち直す。
自宅までの帰り道をショートカットするために公園の中へ入って行く。
ふと、すぐ近くのシーソーに目をやると、子供たちが順番の取り合