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『感謝のチカラ』緊張か?リラックスか?調べてみた。

緊張した方がいいのか?リラックスした方がいいのか?
私自身は、緊張しない方がパフォーマンスが上がると思っている。
いや、緊張し過ぎないようにコントロールすると良いと思っている。
学生の頃は陸上競技の長距離種目をやっていた。
レース前は緊張し過ぎたり、眠れなくなったりしてパフォーマンスが下がってしまう事が多かったので、緊張しないようにしていた。
レース前に自分自身をコントロールする為に言い聞かせていた言葉がある。
「帰りたい」「眠い」「面倒くさい」等、アスリートには不適切な言葉で気持ちが上がり過ぎないようにしていた。
レース直前に『さぁいこうか!』と集中すると、結果がついてくるようになった。
それでいいのか?という疑問もあった。
一方で、緊張した方が良い、緊張しないとパフォーマンスが上がらないとする考え方もある。
どちらがいいんだろう?

知り合いの高校は全国でもトップクラスの成績の強豪校。
そこの選手は、緊張した方が結果が良いと言う。
だから緊張しなきゃいけないんだと言う。

緊張しない方がいいと思っている私自身の能力は低い。
全国レベルには遠く及ばない。
そんな私が苦しんだのは、試合で普段のチカラ以下になってしまうこと。
前日は興奮してしまって、眠れなくなってしまうこと。
前日が満足に眠れていないまま当日を迎え、レースまで緊張しているので肝心のレースでは疲れ切ってしまっていた。
前日から、ひどい時は数日前からレースしているような感じ。

一流とそうでないものが、緊張すべきか否かの境界線なのかと思うようにしていた。
でもその一流って何だ?
何がそれを分ける?
全国クラスといってもピンキリだ。
では世界クラス?
世界クラスでもピンキリだろう。
その境界は曖昧で、説明がつかない。
緊張状態も長く続けば、それはただのストレスになってしまうだろう。

これを調べてみようと思ったきっかけは、アスリートに接する機会が多くなったから。
試合前に送り出す時、試合前日や試合当日になんて声を掛ければいいのか。
個人に合った適切な言葉を選んだり、精神状態になるようにサポートしてあげたい。
そう思っていたが、実際には迷いながら声をかけている状態だった。
このままではいけない。

脳波とは

まずは緊張とリラックスってなんだろう?ということから調べてみた。
「脳波」によって分類できることが分かった。

脳波の種類

脳波を見てみると、緊張は「ベータ波」であることがわかった。
その緊張状態である「ベータ波」は自律神経の『交感神経』優位の状態でもある。
リラックスは坐禅や瞑想でも出るという「アルファ波」だ。
「アルファ波」は同じく『副交感神経』優位の状態だ。

「ゾーン」はどこになるんだろう?

覚醒レベルによるパフォーマンス

パフォーマンスが高い脳波は「ゾーン」状態。
「ゾーン」という言葉は誰もが一度は聞いたことがあるだろう。
大記録を出した、世界一になった、そんなハイパフォーマンス状態の時に
『ゾーンに入っていた』
という状態になるらしい。
残念ながら『ゾーン』に入ったことがないので分からないが。

『ゾーン』は脳波の中間にある。
リラックスと集中の間か、同時になっている状態だろう。
その中間の脳波になるように『交感神経と副交感神経』をコントロールすれば、誰でも『ゾーン』状態に近づくことができるのではないか?

脳波には「低覚醒」タイプと「高覚醒」タイプがいるようだ。

これが曖昧だった境界に違いない。
緊張しない方がいいと思った私は「高覚醒」タイプで、勝手に緊張していってしまうタイプ。
緊張した方がいいと言った選手は「低覚醒」タイプで、自分で緊張状態にもっていかなければならないタイプ。
どちらも合っていたということ?
ということは・・

覚醒タイプ別のアプローチ

「低覚醒」ならば、覚醒を上げればいい。
「高覚醒」ならば、覚醒を下げればいい。
この覚醒の上げ下げは、自律神経と関係がありそうだ。
交感神経は覚醒を上げ、副交感神経は覚醒を下げる。
交感神経を刺激するには、心拍数を上げれば覚醒も上がる。
アスリートであればアップ(準備運動)をすれば勝手に上がる。
問題は「高覚醒」タイプだろう。
勝手に興奮して覚醒を上げ過ぎてしまうのだから、意識して覚醒を下げなければならない。

それぞれのタイプ別に対処法はこうです。
覚醒を上げるには、交感神経を刺激する。

交感神経を刺激して覚醒を上げる

覚醒が上がり過ぎてしまう場合には、副交感神経を刺激する必要がある。

副交感神経を刺激して覚醒を下げる

この覚醒の問題は「睡眠」にも関わる。
自分自身も勘違いしていたが、たとえば夜寝る前に「試合でハイパフォーマンスの自分」を想像したとしよう。
これをすると自分は眠れなくなってしまっていた。
特に試合が近づくと眠れない。
気づくといつも同じようなイメージをしているから。
試合の前日、横になってからレースを想像して眠れるわけがない。
眠る時は「副交感神経」が優位でなければならない。
それなのに頭の中でレースをしてしまったら「交感神経」が優位になってしまう。
「交感神経」とは戦闘モードだ。
試合は競争で戦いだ。
スムーズに眠れるようになる為「副交感神経」を優位にしたい。
パフォーマンスが発揮できないという選手に話を聞くと、同じように横になってから頭の中でレースを想像してしまって、眠れないというパターンが多かった。

「緊張」に話を戻そう。
緊張すべきか否かの問題は『ゾーン」に近づけるということでスッキリした。
でもそれだけだろうか?
大舞台で結果を出して緊張から解放されたアスリートが『感謝』を口にする。
偉業を成し遂げた人は必ず『感謝』する。
昔、牧師さんに「当たり前だと思ってはいけない。感謝しなさい。」と言われた事を思い出した。
『感謝』にも意味があるはずだ。

『ゾーン』と「フロー」について

『感謝』について調べつつ『ゾーン』についても調べていた。
『ゾーン』には似たような状態で「フロー」という状態がある。
どちらも周囲が見えなくなる、気にならなくなるほどの超集中状態。
子供の頃、遊びに夢中で気づくと周囲が暗くなってしまい怒られた経験はないだろうか?
片付け物や掃除をしていて、思った以上に時間が経過して驚いた経験はないだろうか?
「フロー」状態とは「自分の能力の範囲内で超集中している状態」だそう。
対して『ゾーン』は「自分の能力以上のことをする」「チャレンジする時」になるそう。
あれ?
同じような状態なら、比較的再現しやすそうな「フロー」を日常に取り入れていったらアスリートの試合で『ゾーン』に入る確率が上がるんじゃないか?

「フロー」は能力の範囲内で行うので、アップの中にいつも行っている動作や得意・好きな動作を入れることで「フロー」状態に入りやすくないか?
ここで試合前のアスリートを送り出す時に、職場の上司がいつも言う言葉を思い出した。
『いつもと同じことをするんだぞ。違うことするなよ。いつも通りだ。』
そう声をかけていた。
いつもと同じは安心する。
いつもと同じは無意識にできるから、集中しやすい。
なるほど。
『いかに集中するか』が大事だ。

こんな話も聞いたことはないだろうか?

ある学校は礼儀に厳しく、掃除や整理整頓をキチっとしている。
だからこの学校はつよい。
よく意味は分からないけど、そうだよなと納得していませんでした?
これって日常生活に「フロー」を取り入れているから強いんじゃないですか?
掃除・準備は練習の前にやる。
それは間違いなく能力の範囲内で出来て、一生懸命やると集中してしまう。
こういう学校は勉強も運動も強かったりする。
学生のうちは、掃除や準備・片付けをサボっているのに競技力が高い子もいる。
一生懸命やっているのに競技力は高くない子もいる。
今は効果が出ていなくても確実に身になっている。
ただの道徳ではなく、自分に返ってくる理屈を伝えてあげたい。
礼儀とセットで『感謝』も道徳的には大事なことだ。

『感謝』は脳波で分類すると、アルファ波に近いそうだ。
アルファ波は坐禅や瞑想で「リラックス」している時に出る脳波らしい。
『感謝』のチカラはそれだけではないと思う。
「低覚醒」と「高覚醒」でそれぞれ『ゾーン』に近づける話をしてきた。
『ゾーン』に近づいても、思考で集中できなくなってしまう時がある。
大舞台、ここでハイパフォーマンスでなければ代表になれない、勝たなければならない。
そういう時のプレッシャーは計り知れない。
これは「低覚醒」でも「高覚醒」でも同じだと思う。
そんな時に良くない選択肢があるイメージは良くないと思っている。
例えば、絶対に勝つ!と思うと、勝てそう・勝てる確率が高い時は大丈夫かも知れない。
本当にギリギリで追い込まれている時にはどうしても負けたらどうしようがチラつくはずだ。
○位になる、この記録を出す!も同様だと思う。
選択肢のない集中ワードが『感謝』ではないかと思う。
『感謝』は落ち着くので、覚醒が上がり過ぎることはないだろう。
「低覚醒」タイプでも『感謝』することで、やる気がなくなることはないだろう。
だって『感謝』はアルファ波に近いんだから。

『感謝』について聞いてみた。


・故障が多く、満足に練習を積めなくても思った以上に結果を出す選手。
『お母さんありがとう。お母さんの為に走る。』
・自己ベスト三回連続で出した選手。
『お世話になったマネージャーさんに恩を返す為、感謝の気持ちで走った。』

それぞれのタイプに合ったやり方で『ゾーン』に近づけるように覚醒をコントロールする。
日常やアップに「フロー」状態になるようなことを取り入れて、ルーティーン化する。
最後は『感謝』の気持ちで『超集中』する。
これが正解なのではないかと思う。

本当に追い込まれた時、自分が自分ではないように感じてしまう時にこそ、この話が誰かのチカラになってくれると嬉しい。
届いて。

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かつお(古谷施術院)
そんな事して頂いたら、跳び上がります。