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外国人技能実習制度の変革と新制度への移行④一年間だけの滞在となる技能実習生(技能実習1号)の経済的な待遇面の違い


はじめに

外国人の技能実習生の多数の失踪を受け、政府の有識者会議が、技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議が、政府の有識者会議は今の制度を廃止するとした最終報告書をまとめました。

新たな制度は人材の確保と育成を目的とし、名称も「育成就労制度」に変えるとの最終報告で、2023年11月24日発表となりました。

その中で、取り上げられなかった問題点の中のひとつが、

1.一年間だけの滞在となる技能実習生(技能実習1号)の経済的な待遇面の違いです

技能実習が、3年間の滞在期間として、議論されている側面がありますが、今日、私が、取り挙げるのは、3年間ではない場合。

これは、技能実習1号という在留資格が、1年間であり、日本全国では、1年間だけの雇用契約で、日本国内に就労して滞在となる実習生が、毎年、存在し続けています。

そして、実例を挙げると、中国人とベトナム人とで大きく、負担が変わるものです。

ベトナム政府が、声を上げて、自国民のために、日本国内で働く、技能実習生の税負担について、考慮してほしいと主張する理由が、今日、私が指摘する問題の大きさが、存在するからでもあります。

2.所得税法の源泉所得税負担の大きさ

一年間だけの滞在となる技能実習生(技能実習1号)は、所得税法の定義により、非居住者と呼ばれます。

非居住者に対する給与所得への一律20.42%(所得税15.315% + 復興特別所得税0.315% + 住民税5%)の課税は、日本の税法に基づいています。

この税率を設定する根拠は、次の複数の理由によるものです。

3.日本の税法と非居住者の定義

①非居住者の所得税

日本の税法では、非居住者とは「日本国内に住所を有しない者、または過去1年間において日本国内に住所を有しなかった期間が合計で1年以上ある者」と定義されています。

非居住者には、日本国内で発生した所得に対してのみ税金が課されます。

②所得税率

非居住者の給与所得に対する所得税率は、日本国内での活動から得られる所得に対する直接的な課税を意図しています。

この税率は、非居住者が、日本で短期間のみ働くことが多い、という事実を踏まえ、公平性と効率性を確保するために設定されています。

4.公平性と国際標準

①公平性の確保

非居住者にも所得税を課すことで、日本で働くすべての人が所得に応じて税金を支払うという原則のもと、公平性を確保しています。

②国際標準の遵守

設定された税率は、国際的な租税条約や標準に準じており、他国の非居住者に対する課税方法とも一致しています。これにより、国際間での税務の透明性と予測可能性を高めています。

5.復興特別所得税の導入

2011年の東日本大震災の復興支援のために導入されたこの税は、全ての所得税納税者に一律で課されています。

これは、復興費用を国民全体で支えるという目的のもと設定されたものです。

これは、日本で働く技能実習生についても負担を求めるものです。

6.税収の確保

非居住者からの税収は、日本の公共サービスやインフラの維持、改善に貢献しています。

特に、短期間で高収入を得る非居住者に対して、所得に応じた税金を徴収することで、税収の公平な分配を図っている趣旨となっています。

以上のように、非居住者に対する給与所得への一律20.42%の課税は、日本の税法に基づき、公平性、効率性、国際標準の遵守、復興支援、税収の確保など複数の考慮事項に基づいて設定されています。

7.租税条約の特殊性

日本と他国、特に中国とベトナムとの租税条約における※事業修習者(business apprentices)と事業習得者(trainees)に関する免税の観点からの違いを理解するには、各条約の具体的な条文と日本の所得税法の規定を詳しく見る必要がありますが、今日は、長くなるので省略します。

概略で、租税条約は、二国間で課税権を調整し、二重課税を避けることを目的としています。事業修習者や事業習得者に関する規定も、この目的の一環として設けられています。免税の適用条件や対象となる収入の種類は、条約によって異なります。

8.日本と中国、ベトナムとの租税条約の違い

①中国との租税条約

日本と中国の租税条約では、一般的に、教育や訓練のために中国から日本に来る学生や研修生に対して、一定の条件下で免税の適用が認められています。

これには、日本での収入が特定の限度額を超えない場合や、収入が教育・訓練目的に直接関連している場合が含まれます。他国との違いは、技能実習生についても免税を、日本政府は認めています。

②ベトナムとの租税条約

日本とベトナム間の租税条約も、学生や研修生に対する免税措置を提供していますが、具体的な条件や対象となる収入の範囲は、日本と中国との租税条約とは、大きく異なっている実態があることを、知ってほしいと思います。

9.短期滞在の技能実習生に関する税率や税額、及び不合理性

短期滞在の技能実習生が非居住者として扱われる場合、日本での源泉所得税の徴収は、非居住者に適用される税率に従います。

非居住者の税率は、居住者に適用される税率と比較して高い場合が多く、また、所得に応じて段階的に増加する累進課税ではなく、一律の税率が適用されます。

また、年末調整で、還付を受けることもできないです。

このような税制は、短期滞在の実習生にとって、不合理な負担となったいることが、大きな問題点だと、私は、考えています。

可能性があります。特に、彼らが受け取る給与が低い場合や、日本での生活費が高い場合には、手取り収入が大幅に減少することになります。

非居住者であるために、所得税の還付手続きができない点も、彼らにとって不利な条件となります。

これらの問題に対処するためには、租税条約の見直しや、非居住者に適用される税制の見直しが、要望されると思います。

また、技能実習生や留学生などの外国人が、日本で公平に扱われ、適切な支援を受けられるようにするための政策的な取り組みも重要です。

ベトナム人などの短期滞在、一年間だけの滞在となる技能実習生(技能実習1号)が、失踪してしまう理由の大きな原因が、この経済的な理由に隠されていると思います。

10.中国人とベトナム人の短期滞在、一年間だけの滞在となる技能実習生(技能実習1号)の月給の実例による比較

一年間滞在の非居住者扱いとなる中国人実習生の給料実例

月額給与(早出時外割増を含む)177,630円
健康保険・厚生年金・雇用保険   14,764円
源泉所得税              0円(※租税条約による免税)
寮家賃光熱費           18,651円
差引支給額                             144,215円

一年間滞在の非居住者扱いとなるベトナム人実習生の給料実例

月額給与(早出時外割増を含む)179,573円
健康保険・厚生年金・雇用保険  19,821円
源泉所得税                            36,669円
寮家賃光熱費                            15,837円
差引支給額                            107,246円

※これだけの違いが出てしまいます。

日本は、将来の日本の社会のために、
より良いしくみを構築できるはずです。


アイアジア国際研修施センターでの節分は「鬼は外!」ばかりになってしまいました。


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