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4. 教育カリキュラムの標準化
『現行技能実習制度から『育成就労制度』への転換』について、今日は育成就労制度の教育カリキュラムの標準化の内容についてまとめから、改めて見ていきたいと思います。
【3,916字】
―計画的技能習得とキャリア形成による新たな人材育成システムの展望―
1. 導入
現行の技能実習制度の概要
◯外国人労働者の受け入れ制度として運用。
◯目的は技能移転による国際貢献。
◯しかし、労働力不足解消の側面が強い。
主な課題
◯賃金未払い・最低賃金以下の労働。
◯時間外労働未払い・不適切な労働環境。
◯暴行や暴言の事例。
◯実習計画に基づかない労働。
2. 制度の課題と背景
主な課題
◯労働基準法違反の横行。
◯監督・指導体制の不十分さ。
◯企業による労働搾取。
背景
◯日本の深刻な人手不足。
◯国際的な人権問題への対応。
◯持続可能な外国人労働者育成の必要性。
3. 育成就労制度とは
①新制度の目的
◯計画的な技能習得とキャリア形成
◯特定技能1号への移行支援
◯外国人労働者の適正な保護
②導入スケジュール
◯令和6年以降、段階的に移行
◯令和9年6月20日までに完全実施
4. 教育カリキュラムの標準化
育成就労制度の運用にあたり、外国人労働者が日本で確かな技能を習得し、将来的なキャリア形成を実現するためには、業種・職種ごとに統一された教育カリキュラムの策定が、不可欠だとされます。
本制度における教育カリキュラムは、単に現場で必要な技能の習得を目的とするだけでなく、実務と並行して日本語教育を組み込むことにより、外国人労働者が日本の職場や社会に円滑に適応できるよう支援することを狙いとする目的に変革を目指すものです。
ここでは、外国人が適切な日本語教育を継続的に受けるための共通基盤として策定された「日本語教育の参照枠」を軸に、その内容や方法、評価基準について詳しく整理いたします。
◯業種・職種ごとの教育プログラム策定。
育成就労制度では、従来の技能実習制度でのばらつきを解消するため、各業種や職種ごとに必要な技能や知識を体系的に習得できるよう、教育プログラムの標準化が図られる見込みです。
企業や関係機関が連携し、各分野において求められる実務内容や技能評価基準を明確化することにより、実習生がどの受入れ機関に所属していても、一定の水準で研修が実施される環境が整備されます。
実習生は自らの成長度合いを客観的に把握でき、また企業側も育成状況を正確に評価し、適切な指導やキャリアアップの支援が行えるようになると考えられます。
◯実務だけでなく、日本語教育も組み込み。
教育カリキュラムは、単に業務上の技能習得に留まらず、実務に必要な日本語能力の向上も重要な柱として位置付けられています。
就労開始前の段階で一定の日本語能力(例えば、A1相当)の確認を行い、その後も継続的な日本語講習を実施することで、現場でのコミュニケーション能力の向上を図ります。
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【日本語教育の参照枠とその目的】
「日本語教育の参照枠」は、CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)を参考に、日本語の習得段階ごとに求められる教育内容や教授方法、評価方法を体系的に示した枠組みとなります。
この枠組みは、日本語学習、教授、評価に関わるすべての者が参照できる共通の基盤として設けられ、聞く、読む、話す、書くという四つの言語活動別に、実生活における「できること」(Can do)の記述文を提示しています。
その上で、教育現場では受講者の現状の能力を客観的に把握し、必要な指導内容を明確にすることが可能となることを目指しています。
実習生の日本語能力を明確にして、その能力の育成に責任を持つという制度です。
就労開始前にA1相当(N5相当)の日本語能力試験に合格していない実習生の救済のために、認定日本語教育機関や登録日本語教員による講習を、最低100時間以上のカリキュラムとして提供するなど、業務に直結する日本語力の習得を支援し、実習生がより円滑に日本の職場環境に適応できるよう努める仕組みが導入されます。
【6段階のレベル尺度】
参照枠では、日本語能力の熟達度を6段階に分け、最も高度なレベルから初級レベルまでを示しております。
例えば、最高レベルのC2では、聞いたり読んだりしたほぼ全ての内容を容易に理解し、非常に複雑な状況下でも細かいニュアンスを正確に把握し、流暢かつ正確に自己表現ができる能力が求められます。
一段下のC1(または熱達した言語使用者)は、長く高度なテキストを理解し、含意を把握できる柔軟かつ効果的な言葉遣いができることを特徴としています。
さらに、I級(自立した言語使用者)やB2レベルは、日常的な会話や専門的な話題に対応できる能力があり、仕事や学業、娯楽などでのコミュニケーションに支障がないと評価されます。
初級側では、準1〜2級(A2相当、N4レベル)やAl(N5相当)のレベルに位置付けられ、基本的な個人情報や日常的な表現の理解・使用が可能であることが求められ、実務においては、指示に従いながら単純な作業をこなすための最低限の日本語能力として位置付けられています。
【教育内容と教授方法の具体的な実施】
育成就労制度では、受入れ前の段階から実務研修と並行して日本語教育を実施します。たとえば、就労開始前にA1相当(N5相当)の日本語能力試験に合格していない場合、認定日本語教育機関または登録日本語教員による最低100時間以上の講習を受講し、基礎的なコミュニケーション能力の習得を図ります。
就労開始後も、現場で必要な専門用語や業務上のやりとり、指示の理解を目的とした日本語講習が定期的に提供され、A2相当以上の能力向上を目標としたプログラムが組み込まれます。
これにより、外国人労働者は現場での実務に加え、業務内容に即した日本語の習得を進め、より高度なコミュニケーション能力の向上を図ることができます。
【評価とフィードバックの仕組み】
また、日本語教育の進捗は、定期的な評価を通じて管理されます。
受講者の「聞く」「読む」「話す」「書く」の各技能が、参照枠に基づいたCan do記述文に沿って評価され、具体的なフィードバックが提供される仕組みが整えられています。
この評価により、実習生は自らの日本語能力の現状を把握し、今後の学習の方向性を明確にするとともに、受入れ企業や指導者も適切な指導計画を策定することが可能となります。
【日本語能力育成のまとめ】
このように、育成就労制度における日本語教育の組み込みは、単なる実務研修に留まらないことを目指しています。
外国人労働者が日本社会で効果的にコミュニケーションを図り、業務遂行に必要な日本語能力を体系的に向上させるための包括的な教育プログラムとして位置付けられている育成過程の根幹となっています。
共通の参照枠に基づく6段階のレベル尺度と、具体的な教授・評価方法の導入により、実習生は確かな日本語力を身につけ、企業内での円滑なコミュニケーションと業務遂行、さらには将来的なキャリアアップへの道を確実に歩むことが期待されることとなります。
◯具体例(製造業)
今日は、日本語教育の分野テーマで、長くなりましたので、概略をお話しします。後日、もっと細部にわたる具体例のお話しをしていきたいと思います。
製造業を具体例として考えた場合、教育プログラムは初級研修、中級研修、上級研修の3段階に分かれます。
◯初級研修: 安全教育・基礎作業。
初級研修では、安全教育や基礎作業の習得を中心とし、作業環境での基本的なルールや安全対策、工具や機械の基本操作を徹底的に学習します。
安全第一の社風を初期段階から再度、学ぶことで、実習生は現場における基礎力を固め、事故防止や効率的な作業の基盤を形成いたします。
◯中級研修: 品質管理・生産工程改善。
中級研修においては、初級で習得した基礎力をもとに、品質管理や生産工程の改善に焦点を当てた内容が盛り込まれます。
実際の製造現場において、製品の品質を維持するための検査方法や、工程の中で発生する不具合の原因分析、さらには改善策の提案と実施について、座学と実地研修の両面から実践的に学びます。
中級研修を実務現場に導入することにより、実習生は単なる作業者としてではなく、工程改善に寄与できる技能者としての意識が芽生え、組織全体の生産性向上に貢献することが期待されます。
◯上級研修: 設備保全
上級研修では、これまでの研修内容を踏まえ、さらに高度な技能の習得に挑むフェーズとなります。
具体的には、設備保全やメンテナンス、さらには新たな技術導入時のトラブルシューティングや、設備の稼働効率を高めるための改善策の策定など、高度な実務能力を求められる研修が実施されます。
この段階での習得は、将来的に企業の中核を担う技術者や管理職への昇進を目指すための重要なステップとなり、実習生個々のキャリアパスに大きな影響を与えることとなります。
以上のように、育成就労制度における教育カリキュラムの標準化は、業種・職種ごとに求められる技能と知識の体系的な習得を促し、実務能力と日本語能力の両面から実習生の成長を支援することを目的としています。
育成就労制度における教育カリキュラムの標準化により、実習生は確かな技能を身につけ、企業にとっても戦略的な人材育成が実現されるとともに、持続可能な国際的な労働市場の構築により実践的な役割りを果たすことが望まれます。
【次回に続きます】
最後までお読みいただき本当にありがとうございます。
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『良い人良い思い出を心に残そう』🙋🏼
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