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育成就労制度はどういう課題が考えられますか?

今日は、現行の技能実習制度の深刻な問題点と、それを補うために導入された特定技能制度および育成就労制度の背景、そしてその運用上の課題について、私見を具体的に明確に書いていきたいと思います。【4039字】


1. 現行技能実習制度の深刻な問題点

1.1 労働環境の悪化と人権侵害

 現行の技能実習制度は、そもそも「研修生」として扱われてきた歴史があり、実習生は原則として転職が認められず、不当な労働環境に晒されるケースが後を絶たずに来ました。私たちは、例外として、そのようなケースでは、半年とか1年以内の場合でも、転籍を承諾して適正に対処できるようにしてきました。しかし、低賃金、長時間労働、過酷な労働条件は、実習生の健康や人権を著しく侵害するものであり、制度自体がその深刻さを内包しています。

 このような環境下では、実習生は不当に働かされるだけでなく、生活の質も低下し、結果として能力の向上どころか、心身の疲弊が進む現実が存在します。対人関係も悪化して、騙されて誘いの乗り、失踪していまうのは真実だと思います。

1.2 ブローカーによる搾取と過剰な負担

 多くの実習生は、自国の送り出し機関(ブローカー)を経由して来日しますが、違法な高額手数料の徴収により、実習生が多額の借金を負わされる事態が頻発しています。

 この仕組みは、既存の受け入れ企業や送り出し機関の権益を守るために、制度全体の不透明さや不公正が温存されている一例であり、実習生が真に技能を修得する環境から遠ざけられているという厳しい現実を反映しています。

 あくまでも、母国でのビジネスが成り立っていることが真実であり、口出しをしてくれるのは、特定の正義感の強い日本の政治家が存在してくれていることは注目すべきところだと考えています。

1.3 監督体制の不備と法令違反の横行

 また、現行制度においては、監督機関による実効性のある監査や処分が十分に行われず、法令違反が発覚しても実効的な制裁措置が取られないケースが散見されていると思います。受け入れ企業は、劣悪な労働条件を改善する本気さと危機感がなく、結果として制度の形骸化が進んでいるという問題も深刻です。


2. 新たな制度の導入背景と目的

2.1 労働人口減少と人手不足への対応

 日本の少子高齢化に伴う労働人口の減少と、特に建設、介護、農業、宿泊業などでの深刻な人手不足は、国の経済基盤に直結する問題です。

 こうした背景から、政府は外国人労働者の受け入れを積極的に進める必要性に迫られ、従来の技能実習制度を改め、既存の特定技能制度へつながる改正新設の『育成就労制度』を新たに設ける運びとなりました。

 しかし、この新制度も、現行制度の深刻な問題点を完全に解消できるものではなく、穴だらけの運用上の問題が本当に改善できるのか?指摘されているのが現実です。

2.2 既存の権益保護の側面

 また、育成就労制度は、表向きは労働力不足に対応するための人材育成と確保を目的としているとされる一方で、実際には既存の受け入れ企業や送り出し機関、監督機関といった既存権益を守るための制度設計がなされているとの批判も根強いです。

 たとえば、転籍の自由度の向上や育成就労計画の認定制度は、実際の現場での柔軟性を与えるための措置として導入されましたが、これらの運用基準が不十分なままでは、既存の構造的な問題を覆い隠すだけで、実効性のある改革には至らない可能性があります。

 制度の根本にある問題―低賃金、長時間労働、不正な仲介、そして監督体制の不備―が解決されなければ、新たな制度が真に外国人労働者の育成や権利保護に寄与することは難しいという現実があると思います。


3. 育成就労制度と特定技能制度の具体的な違い

3.1 受け入れ対象者の違い

 特定技能制度では、入国時点で一定の専門性や技能を持つ「即戦力」となる外国人労働者を対象としています。

 これに対して、育成就労制度は、入国時点ではそれほど高度な技能を求めず、3年間の就労期間を通じて段階的に技能や日本語能力を向上させ、将来的に特定技能1号などに移行させることを目指しています。

 つまり、特定技能制度は即戦力を前提とするのに対し、育成就労制度は長期的な人材育成プロセスに重きを置いている点が大きな違いとなります。

私は、ここに特定技能制度が即戦力を前提としているということに、実務上の現場を見てきた経験から、即戦力とはとても言えないケースが多々あることをもっと議論すべきだと思います。

 民間の中小企業の労働力不足である突破口として、画期的に創設された『特定技能制度』であったと思います。

 しかし、教育する、育成するという仕組みがなかったために、特定技能1号から特定技能2号に移行するハードルの高さが大きく影響している真実について、もっと議論すべきであると思います。

3.2 在留期間の違い

 在留期間においても、特定技能1号は原則として最長5年が上限となっているのに対し、育成就労制度は原則3年間の就労期間が基本となります。

 さらに、育成就労制度では、評価結果に応じた在留期間延長(最長1年)が認められる仕組みが導入される予定ですが、これもまた段階的な技能向上を前提としたものであり、特定技能制度とは異なる運用が求められます。

3.3 育成就労計画と評価制度の違い

 育成就労制度においては、各実習生ごとに個別の育成就労計画が策定され、外国人育成就労機構等によってその計画が認定される仕組みが設けられています。

 実習生の業務内容、必要な技能、日本語能力、さらには安全衛生対策など、各種項目について明確な目標が設定され、定期的な評価を通じて育成状況が管理されます。

 一方、特定技能制度は、即戦力の確保が主眼であるため、入国時点での一定の技能水準が求められ、その評価基準も異なる運用がなされるため、両者の育成方法と評価システムは大きく異なります。

3.4 外国人労働者の権利保護と運用体制の違い

 育成就労制度では、外国人労働者の権利保護を強化するため、監理支援機関の厳格な許可制度や、送出機関への手数料上限規制、転籍の自由度向上などが導入される予定です。

 実習生が不当な労働条件や過剰な搾取に晒されることなく、安心して技能を修得できる環境が整えられるとともに、企業に対しても適正な管理と運用を求める仕組みが強化されます。

 特定技能制度は、受け入れ企業に対して支援義務が課され、即戦力としての業務遂行に直結するため、企業の対応がより迅速かつ厳格に求められますが、育成就労制度は長期的な育成プロセスを重視するため、運用上の柔軟性がある一方で、具体的な運用基準の整備が十分でなければ、現場における混乱が生じるリスクも内包していると思います。


4. 今後の課題と具体的な論点

4.1 転籍の自由度とその運用基準

 育成就労制度では、実習生が不当な労働環境から脱却するために、本人の意向による転籍が認められる仕組みが導入される予定です。

 しかし、転籍の具体的な条件や基準(勤続期間、技能評価の水準、受入れ企業の基準など)が明確に定められていない現状があり、これが制度の運用上の大きな課題となっています。

 今後、転籍の自由度を保障しつつも、企業や実習生双方のリスクを回避するために、具体的な運用ルールを国民的コンセンサスをもとに決定する必要があります。

4.2 受入れ企業の管理体制の強化と負担軽減策

 育成就労制度の運用にあたり、企業側は、従来以上の教育体制、労務管理、安全衛生管理、さらには生活支援など、多岐にわたる対応を求められます。

 特に中小企業や零細企業にとっては、これらの追加業務が大きな負担となる恐れがあるため、政府や業界団体が補助金、税制優遇、または専用システムの提供など、具体的な負担軽減策を講じることが必要です。さらに、企業内の人事部や総務部にかかる業務量の増加をどう効率的に管理するかが、今後の重要な論点となります。

 このように現行制度から、厳格化する育成就労制度を選択する企業は、少なくなり、特定技能や高度人材の雇用が拡大する時流になっていくのではないでしょうか?

4.3 技能評価と日本語能力試験の運用基準

 育成就労制度においては、技能評価試験および日本語能力試験が、実習生の技能向上を測る重要な指標となります。これらの試験の作成、運用方法、評価基準について、各産業分野ごとに現実の業務実態と照らし合わせた厳格な基準を設ける必要があります。

 評価結果に応じた在留期間延長の運用、さらには育成就労計画との連動性についても、今後詳細な検証と改善が求められる論点でございます。

4.4 送出機関と監理支援体制の徹底

 外国人労働者が来日する際に、送り出し機関(ブローカー)による不当な搾取が根深い問題となっております。

 送出機関の手数料の上限規制、透明性の向上、そして不正行為に対する厳正な取り締まりが、今後の制度運用における必須の論点です。また、監理支援機関の役割を明確化し、企業および実習生に対する定期監査や第三者機関による評価の仕組みを強化することが、制度全体の信頼性向上に不可欠だと思います。

4.5 分野別運用方針の具体化と地域バランスの確保

 育成就労制度では、介護、建設、農業、製造業、外食業など、各産業分野ごとに分野別運用方針が策定される予定です。これらの方針は、各分野の特性に合わせた具体的な受入れ基準、試験内容、技能評価の水準などを定めるとともに、地方と都市部との人材受入れの偏りを防ぐため、地域ごとの客観的な指標(有効求人倍率、就業者数など)に基づいた基準設定が求められます。

 現場の実情を正確に把握し、各地域の企業や行政機関が連携して対応策を講じることが、今後の運用上の大きな鍵となるでしょう。


5. 結論

今日は、育成就労制度と特定技能制度の違いを中心に、現行の技能実習制度が抱える深刻な問題点が、今回の新制度導入の根本原因であると同時に、制度運用における多くの課題が山積している現実を考えて焦点を当ててみました。

 新制度は、表向きは国内人手不足の解消および長期的な人材育成を目指すものである一方、実際の運用では、転籍の自由度、企業の管理体制、評価試験の公正性、送出機関の透明性、地域別の受入れ基準など、具体的な運用ルールの策定が十分でないまま現場に導入される危険性があると考えています。

 これらの課題に対して、政府および関係機関、業界団体は、現場の実情を正確に把握し、真摯な議論を重ねた上で、具体的な運用基準と負担軽減策を講じる必要があります。特に、育成就労制度は、既存の権益を守るための制度として立ち上げられたという側面もあり、本来の目的である外国人労働者の権利保護と技能向上が十分に果たされるかどうか、厳しく検証される必要があります。

 最終的には、これらの具体的論点が明確化され、実効性のある運用が進むことにより、企業と外国人労働者双方にとって、実際の現場で真に役立つ制度となることが期待されます。今後の有識者懇談会や関係省庁との連携、また各産業分野での試行錯誤を通じて、育成就労制度が日本の労働市場の持続可能な発展に寄与するための礎となるように、私たちは、十分に準備して育てる必要があると思います。

最後までお読みいただき本当にありがとうございます。


厚生労働省/育成就労制度の概要
https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/001301676.pdf
厚生労働省/特定技能制度及び育成就労制度の円滑な施行及び運用に向けた有識者懇談会

厚生労働省/第2回特定技能制度及び育成就労制度の円滑な施行及び運用に向けた有識者懇談会

法務省/育成就労制度・特定技能制度Q&A



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