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仏、天、平等、歴史、成長…どんな時代にも象徴的パワーワードがあった

「いつの時代にも、
その思想界を宰領し、
思想界から偶像視されている
言葉がある様です。 
 仏という言葉だった事もあるし、
神という言葉だった事もある。 
徳川時代では天という言葉が 
そうだったし、フランスの  
18世紀では理性という  
言葉がそうだった。
 現代にそういう言葉を求める
と、それは歴史という言葉だろう
と思われます」

これは小林秀雄の文章(元は講演)、
『歴史と文学』の冒頭です。

なるほど、小林秀雄は
いつも上手いことを言う。
どんな時代にも、
象徴的なパワーワードがあるみたい。
奈良時代は、 
大陸から渡来した仏教が
思想の中心でしたし、
江戸時代は天という言葉が
正義だったという。なるほど。

ちなみに、
当時ののパワーワードは、
「歴史」という言葉がそうだった。

ちなみに、この文章が
書かれたのは昭和16年でした。
日本は、日中戦争が泥沼化し、
その膠着を打開するため、 
アメリカやイギリスに対して
戦争を起こした年、
真珠湾攻撃の年でした。

日本は自国を無理やり、
神の国と称してた。
拠り所は自国の歴史にあると
無理矢理言い聞かせていた時代。
そんな時代だから「歴史」という言葉が
正義の言葉になってたのでしょう。

どんな時代にも、
パワーワードはありました。
1950年代は、デモクラシーが、
1960年代ならマルクス主義が、
1970〜80年代は経済成長が
そうした、時代を象徴する
言葉だったのでしょう。

ならば、令和6年の現在は
どんな言葉でしょうか?

やはり、ジェンダーか?
女性の権利か?
または、LGBTQ?でしょうか。
それとも、多様性?
ダイバーシティでしょうか?

でも、ダイバーシティ、
多様性という言葉は、
10年後には、 
日常に定着しているかしら?
あるいは、色褪せて、
死語になってる気がしませんか?

奈良時代の「仏」も、
江戸時代の「天」も、
戦争時代の「歴史」も、
1960年代の「マルクス主義」も、
今ではその時代を理解する上では
とても肝要なワードですね。
時代を象徴しているから。

ただ、マルクス主義みたいに
旬を過ぎたせいか、
古びてしまう場合もありますね?

多様性とか、
ジェンダー問題、
女性の権利などの言葉は
日常生活の奥深くには、
定着しているとは呼べないように
感じられますが、
いつか必ず日常ワードに
昇華して欲しいものです。

10 年後には、どうなってるかな?
10年後には、
また、どんな新しいパワーワードが
象徴的になっているかなあ?
色々と目を見開き、
耳をしっかり澄ませておかなくては。





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