【文学マンガ】漫画には「ブンガク」がいっぱいある?
漫画家には文学好き、
または小説や小説家好きな
人たちがいます。
どうしても、
バトル系やエロ系漫画の陰に
かくれがちですが、
名作マンガがいっぱい。
今日はそんなブンガク系漫画を
ご紹介します。
〔1〕
『えへん、龍之介。』
松田奈緒子、講談社。
若き日の芥川龍之介。
次々あふれる創作意欲に
身悶えしながらも、
思うように書けない時や
友人の作家たちと激論する時、
創作が見事に結実した時や。
様々なリアル龍之介が
描かれています。
作家とはこんなにも
狂おしく身悶えする生き物なのかあ、
とこちらまで興奮する名作漫画。
〔2〕
『坊っちゃんの時代』全5巻
原作・関川夏央/作画・谷口ジロー
双葉社
近代国家・明治という背景を
自分らしい生き方で、
ヨロヨロ?うかうか?
生きていった文豪たちの物語
第1部/夏目漱石と弟子たち
第2部/森鴎外と舞姫
第3部/石川啄木と放蕩の日々
第4部/幸徳秋水と大逆時代
第5部/夏目漱石の最期
この本、いや漫画を読んで、
石川啄木が実は大の借金魔で、
放蕩癖だったと知り、しかも
毎回、それを同郷の親友で
国語学者・金田一春彦にお金を借り、
たすけてもらっていました。
人としてはサイテー(笑)。
朝日新聞の職も人から
紹介してもらうも、
ズル休みをするなど、
人でなしであることを知り、
愉快になりました。
漱石のおおらかさ、
鴎外のピリピリしたところも
人物研究として素晴らしい。
〔3〕
『月に吠えらんねえ』全11巻
清家雪子、講談社。
萩原朔太郎、北原白秋、中原中也、
正岡子規、斎藤茂吉、与謝野晶子ら
実在した詩人、俳人らを
擬人化した人物が主要人物。
そんな豪華な天才らが出会い、
議論し、作品を生む
クリエイターの生きざまが
たくましく切ないなタッチで
描かれています。
文学好きな漫画読みの間では
熱狂を巻き起こしました。
〔4〕
『猫楠・南方熊楠の生涯』
水木しげる、角川ソフィア文庫
粘菌研究や民俗学、
海外での革命活動、
大英博物館の仕事など
色々なことを成した男、南方熊楠。
幅広すぎて、とっかかりにくい
熊楠の一生を、丹念に
水木先生らしいタッチで描きました。
すぐに読めてしかも何度も
読みたくなる名作に
仕上がっています。
水木しげる先生が次世代に
残してくれた最高の漫画かも。
〔5-1〕
『桜の森のの満開の下』
原作/坂口安吾
マンガ/近藤ようこ
岩波書店、岩波現代文庫
日本中世に魅せられた、
安吾と近藤ようこの
強力なタッグで実現した名作。
安吾の小説にどこまでも
忠実にあろうとした
近藤先生の安吾愛が開花している。
〔5-2〕
『戦争と一人の女』
原作/坂口安吾
マンガ/近藤ようこ
坂口安吾が書いた戦中の3作品
「戦争と一人の女」「続戦争と女」
「私は海を抱きしめていたい」を
近藤先生が一つの作品世界に
作り上げたニヒリズムな漫画に
なっています。