【映画】遠藤周作『イエスの生涯』がハリウッド映画化
遠藤周作の代表作の一つ、
『イエスの生涯』が映画化される。
ハリウッドのスコセッシ監督が
手掛けるらしい。
マフィア映画や
孤独な青年の狂気などで
定評のスコセッシ監督が?
と一瞬、思ったけれど、
2016 年に、
遠藤周作の代表作『沈黙』を
映画していたから、
その延長線にあるんだろうなあ
という推察がつきました。
でも、今回の『イエスの生涯』は、
『沈黙』とは異なり、
絶対的な神であるイエスを
生身の人間として描く
いわば、ノンフィクション作品です。
遠藤周作すら、
『イエスの生涯』が発売された時は
日本のキリスト教関係者から
非難・批判されたというのに、
アメリカで、
イエスを生身の人間として描いたら
果たして大丈夫だろうか?
昔から、
イエスの一生をリアルに描いた
映画が発表されると、
欧米では、非難や批判が
起こることがありました。
メルギブソン主演
『パッション』が公開された時も、
それはイエスの処刑までを
表現しているように見えましたが、
拷問場面が残酷すぎるといって
世界中で大騒ぎになったのです。
ただの仏教徒である私には
拷問なのだから、
それくらい酷く鞭打つのは
リアリティのためには
当たり前だろうな、と
思ったものでした。
でも、熱心なキリスト教徒には、
イエスが生身の人間として
生き、苦しみ、様々な誤解の中で
もがいた、なんて、
有り得ないことなのでしょう。
全てを支配する神様として
有り得ないってことなんですね?
でも、もうそろそろ、
キリスト教の信者も
イエスの生前については、
等身大の生きる姿を
受けいれている人もいるはずです。
イエスや聖書の歴史学、
キリスト教を歴史的に解読する学問が
欧米で浸透してきたから。
私はそんなイエスの生前の姿を
遠藤周作『イエスの生涯』で
はじめて知ることができました。
イエスは社会を改良しようとした
活動家の一人だったのですね。
社会の格差や
病気による差別、
古代ローマ帝国の圧力などに
必死に挑み、あらがっていった、
熱心な革命活動家の一人だった。
しかも、イエスは死ぬまで、
純粋なユダヤ教徒であったこと。
なぜなら、イエスが殉死した後にこそ、
キリスト教が始まるのですから。
この事実はまだキリスト教徒の方々には
受け入れ難い話かもしれません(汗)。
こうした遠藤周作『イエスの生涯』は
目からウロコの記述に溢れています。
少なくとも、私にはそうでした。
どんな映画世界になるのか?
スコセッシ監督はどこまで
遠藤周作のメッセージを
妥協せずに映画化できるだろう?
それにしても、
ハリウッドの実力者にも
魅力を放つ遠藤周作は、
これからも、日本中、いや世界中で、
まだまだ読まれ続けるでしょう。
スコセッシはきっと
『イエスの生涯』が成功をおさめたら
姉妹作『キリストの誕生』をさえ
映画化するにちがいありません。