『入門』とは何なのか
このnoteではクラシックやジャズ、ロック、ヒップホップ、クラブミュージック、ブラックミュージック、ミュージカル、映画音楽などの音楽史について書いてきました(記事一覧はこちら)が、それぞれの分野の参考文献としていわゆる「入門書」もたくさん読んできました。
分野によっては僕のもともとの知識がゼロに近い場合もあり、実際の音楽を聴くにも何から手を付けていいかわからないこともあったので、手始めに入門書から始めようと思うのは至極真っ当な思考ですよね。
しかし、巷の『入門書』を読んでみて、
暗黙に要求される前提知識のハードルが高くね?
と思ってしまいました。
結局、文章の意味が完璧に分からないまま、キーワードを寄せ集め、wikipediaなどを含めて断片知識をつなぎ合わせていきながら音楽を聴いていき、自分の音感と照らし合わせて、なんとか例の音楽史の図表と記事が完成したのですが。
こうやってひとまず音楽を聴く受け皿となる枠組みが体系的に整理できたことで、もう一度、理解できていなかった手持ちの書物を読んでいくと、ようやく文章の意味が分かってきたりしたのでした。
そして、その体験を経て、改めて「入門書のハードル高くね?」と思ってしまったのです。
もしかして、僕って『入門』という言葉の意味を履き違えているのでしょうか?
僕が音楽の入門書を読むときに求めていたものっていうのは、「お品書きと基本情報」であり、知識ゼロからでも概略を知ることのできるものを期待していたんです。しかし、実際の『入門』とタイトルがついている書物の大半が、概略について既に知っている前提で『どう受容すべきか』『どう評価するべきか』みたいなことばっかり書かれている印象でした・・・。
こうなれば、「入門」という語の意味を一度調べてみます。
ん~。入門ということは、今からじっくりその沼にはまろうとしている人を対象にしているため、ハードルがあったり、専門知識を前提としていても良い、ということなんでしょうかね・・・?
だとすると、僕が情報を得ようとしたときに本来欲しかったようなもの、もしくは実際に僕がこのnoteで書いてきたような、別にその音楽を好きになってもらわなくてもよい、知識として「流れ」を知ってもらえればそれでよい、というようなスタンスの紹介は「入門」ではなく何と呼べばよいのでしょうか??
昔の記事↓にも書いたんですが、
好きにならせようとしてくるような、愛に溢れた紹介だったり、『良い音楽』『悪い音楽』を決めつけるようなスタンスの紹介って、本当に疲れるんですよね。せっかく知ろうとしているのに、逆にハードルを与えられる感じがするんです。
ともかく、枠組みと通史がわかったことでようやく、あらゆる音楽ジャンルを聴くハードルが下がってきて、(好きな音楽も、好きになれない音楽も含めて)解像度が一気に上がった感覚になれたのでした。
日々、勉強です。