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【本一部】世界の哲学者に人生相談


2022/1/26

実存は本質に先立つ

ペーパーナイフの場合
ペーパーナイフは「 紙を切る 」という役割のために作られたものだ。

まず「 役割 」があり、あとから「 存在 」がついてきた。
同じように、電話・椅子・橋・車などすべてのものは、まず役割があって存在する。
しかし「 人間だけは違う 」とサルトルは唱える。

人間はまず、赤ちゃんとして空っぽの状態でこの世に生まれる。
これは先に「 存在 」するということ。
そして、生きていくなかで自分自身の「 役割 」を形作っていく。
人間だけは、最初から役割が定められているのではなく、自分で自由に選択し、役割を見つけていく。
「 実存は本質に先立つ 」

「 自由に生きること 」に対するサルトルの思想である。

本当の自由とは?

「 何をしてもいい 」と言われると、人は困ってしまう。でも、人間の人生は、選択の連続なのだ。サルトルはそのことを「 実存は本質に先立つ 」という言葉で表現した。この世に誕生した瞬間から役割の決まっているモノとは対照的に、人間の場合は常に成長していく。それは自分が選択をしていった結果だ。

何を食べるか、何を勉強するかということから始まり、どんな仕事をするか、誰と生きるか、どこに住むか等々、すべて私たちは選んでいかなければならない。その選択の過程では悩むこともある。でも、その悩みが私たちを成長させる。

誰かに人生を決められているように思えるときでさえ、実は「 自分でそれに従う 」ということを決めている。もちろん、どうしても自分の意志だけでは変えられないこともある。

サルトルもそのことは承知している。彼自身、戦争に駆り出され、自由にしたくてもできないことがあった。

だから、実際には、人間は与えられた環境の中で、最大限あがくよりほかない。ただ、それでも諦めてしまうのと、あがき続けようとするのとでは大きな違いがある。サルトルは「 アンガージュマン 」という言葉を使って、そのあがきについて論じている。この言葉は、積極的参加といったような意味である。

社会はそう簡単に変わらないが、サルトルが果敢にデモに参加し、声を上げ続けたのは、アンガージュマンの実践だった。

自由には責任が伴う。その覚悟が必要である。


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湯浅淳一
あなたの琴線に触れる文字を綴りたい。

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