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自分のなかの「定番」を観る


「好きな映画って何?」と尋ねられたら、いつも言う作品が、いくつかある。


自分の中で、「これ観とけば間違いなく楽しい時間を過ごせる、満足できる」と確定させている映画。
今回は、三本立てで視聴した。
第3回「ひとり鑑賞会」の開催である。


・英国王のスピーチ


これすっごく好きな作品。
初めて観たのは、たしか学生の時だったが、今でも「うわあ、いいもの観たなあ」と余韻に浸ったのを覚えている。

「パイレーツ・オブ・カリビアン」でバルボッサを演じたジェフリー・ラッシュとか、「ハリー・ポッター」シリーズの敵の魔女ベラトリックス・レストレンジを演じたヘレナ・ボナム・カーターとか。

有名作で悪役を演じていた役者さんが、この映画では良い人を演じているもんだから、そのギャップに魅了されてしまった。


吃音症のジョージ6世(コリン・ファース)と、それを矯正する専門家ライオネル(ジェフリー・ラッシュ)が、徐々に距離を縮め、友人となっていくのをそっと見守っていくかのような映画。

はじめは、ライオネルのことを全く信頼していなかったジョージ6世が、心を開いていくためには、妻エリザベス(ヘレナ・ボナム・カーター)も、なくてはならない存在だっただろう。


好きなシーンは、ライオネルが提案する、一見くだらなそうな口の体操や発声を、ジョージ6世が半信半疑で一緒になって取り組むところ。

ライオネルは、たとえ相手が王族であっても、あくまで対等な関係を求めて接する。
その「友」としての心構えやふるまいを観ていると、こちらもなんだか心を開いて、すべてを受け入れようという、すがすがしい気持ちにさせられる。


映画の最後に行われる一大スピーチ。
放送室で、ジョージ6世の前に立ち、言葉を発せず、なめらかに合図を送るライオネルの一連の動作が、なぜかとても印象に残っている。

その合図によるスピーチが成功に終わって、皆が拍手を送る中を堂々と歩くシーンは、誇らしさや達成感に身が包まれる。

大号泣の感動、ではない。
何かをやり遂げたときの、小さくも確かな喜びをかみしめるかんじ。
あの湧き上がる感動を味わいたくて、私は何度もこの「英国王のスピーチ」を視聴してしまうのだ。



・ショーシャンクの空に

好きな映画のど定番みたいな映画「ショーシャンクの空に」は、以前記事に書いた「フォレスト・ガンプ」を私に勧めてくれた、友人のおすすめの一作だ。

初めてみたときは、「こんなにおもしろいと思わなかった」というのが、シンプルな感想だった。
少し古い映画だ。
でも、おもしろかった。 

無実の罪で終身刑となった元銀行員アンディは、劣悪な環境の刑務所に入れられ、過酷な生活を強いられる。
簡単に簡単にまとめると、そこから20年かけて、最終的に脱獄をするまでの話なのだが、その過程が、本当に信じられない出来事の連続なのだ。

映画の語りは、モーガン・フリーマンが演じる囚人仲間のレッド。
彼がいい。私は彼がとても好き。

刑務所の環境に飲み込まれないアンディを気にかけ、仲間にする。
アンディの人間性に惹かれたレッドは、調達屋として時に彼に力を貸し、おもしろい話を一緒にして盛り上がり、慰めあい、語り合う仲に。

好きなシーンは、アンディが刑務所内の図書室を改革するところ。
あと、放送器具を乗っ取って、『フィガロの結婚』を爆音で流すところ。
図書室でも、音楽の話からも、アンディは「心の豊かさ」を大切にしていた。

あの環境下で、そんなことができるのか。
もちろん私に、刑務所の生活を想像するなんて到底できないし、映画でもかなり絶望的な場面が多数ある。
それでも、アンディが正気を保っていられたのは、脱獄への「希望」があったからかもしれない。


アンディの計算しつくされた脱走劇は、何度も観て、結末を知っていても、いまだにハラハラする。
あの嵐の中、レッドがアンディを思うのと同じように、観ている私も、アンディが無事に逃げられるよう、ぎゅっと息を殺してしまう。


刑務所が舞台の過激な映画なのに、視聴後は、なんとなく爽やかな気分になれる。
海のシーンで終わるからだろうか。
自死に追い込まれそうだったレッドが、海辺でアンディと再会するシーンをみると、とてつもなく晴れやかな気持ちになれる。 

これもまた、「英国王のスピーチ」同様、何度も観てしまう私のお気に入りの一つだ。


・インセプション

「インセプション」は、初めて観た日以降、「一番好きな映画は?」と尋ねられるたびに、答えてきた作品だ。

何回観てもいい。
めちゃくちゃ、かっこいい。しびれる。
最高。みんなかっこいい。

まず、世界観がすごく好きだ。
題材が「夢」というのもいい。

実は昔、宮部みゆきさんの著書『ドリームバスター』という作品にドハマりしていた時期があった。
「夢の中に入る」という「インセプション」の内容を観るたびに、それを思い出す。
私が初めて、食い入るように読んだ小説のひとつだった。

映画「インセプション」も、夢に入るという点は『ドリームバスター』と一緒だ。
ただ、「インセプション」で扱われる「夢」は、より緻密で複雑な設定があって面白い。

『ドリームバスター』はファンタジーっぽいのだが、「インセプション」は夢の中でアイディアを抜き取ったり植え付けたりするので、繊細さが求められる。
この繊細な作戦を実行するために、仲間を集め、試行錯誤し、作戦を立てるまでの過程が、私はとても好きだ。

というか、どの映画や作品でも作戦会議のシーンとかが好きなのだけど。

映画全体に漂うスタイリッシュな雰囲気も、私の心を掴んでくる。
どの登場人物もすてきだが、その中でもダントツで、トム・ハーディが演じる「イームス」がめっちゃくちゃ好き!
カッコ良すぎるって!!

そもそも私はなんでも、主人公ではなく、主人公を支える二番手、三番手あたりの頭脳派系のキャラクターが大好き!

「イームス」というキャラクターは、私のストライクゾーンど真ん中だった!
彼は「偽装師」として登場し、夢の中で変装するのが得意な男だが、それだけではなく、作戦会議では頭脳派として活躍し、戦闘シーンでは大立ち回り。

雪山のシーンとか、仕事量多すぎるやろ。
てか、この映画、夢の中で登場人物一人分の仕事量がエグい。
渡辺謙が演じるサイトウさんも、死に際まで手榴弾で応戦させられて。大変すぎるって。

興奮しすぎて、話が逸れた。
でも、とにかく戦闘シーンは抜群にかっこいいし、夢の中だからこそできる世界観やアクションシーンがとってもいいのだ。

あと、やはり主人公コブと妻のモルの関係は、結婚し、子どもが出来てから観ると、深い愛を理解できてしまって、ものすごく悲しくなる。
なんでふたりで幸せになれなかったんだ、と悔やまれる。涙が出る。

いやあ、もう10回近く観ているけど、何度観ても好きだなあ。
私は自分が好きな世界観やキャラクターを見つけると、ひたすらそれを見続けるところがあるので、きっとこれからの人生でも、この「インセプション」を見続けることになるのだろう。


・定番があるって、ありがたい

元気が出ない時はこれを観れば間違いなし。
そんな、自分の中での「定番」があるって、ありがたい。

せっかく観たのに、よけいに心を乱されるなんてことになりたくない。
冒険したいときもあるけど、やっぱり必ずおもしろいと分かっている作品を観ると、安心する。

今回の「英国王のスピーチ」、「ショーシャンクの空に」、「インセプション」は、どれも私の好きな映画定番シリーズ。
きっと、これからの長い人生で、何度もくりかえしお世話になる映画となるだろう。


自分の中でこれは間違いないやつシリーズはまだある。
第4回「ひとり映画鑑賞会」を開催したときには、またそれを観て、感想をnoteにまとめたい。

なんだか、好きな映画の記録みたいで、こういうのって楽しいなあ。

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