この子の目には今日も私が映っている【子育てエッセイ】
子どもたちの保育園の連絡帳を書きながら、3歳の娘が1歳の弟に一生懸命になにか話しかけている姿を視界の端っこにとらえた。
いつもと変わらない朝。いつも変わらない日常。
毎日、毎時間、喧嘩の絶えない姉弟だけど、仲良しの時間は本当にずっと見ていたいくらい微笑ましい。かわいい。愛おしい。
どうやら、弟がお歌が聞きたいと姉にお願いしていた様子だった。
大人のスマホ画面は子どもの顔認証では開かない。CDプレーヤーには手が届いても操作はわからない。音が出る絵本ならお歌が聞けるな~なんて大人の頭で正解を導き出して、子どもたちがその正解にたどり着けるのかを遠くから観察していた。
姉は何かひらめいた顔をすると絵本棚に向かうのではなく、弟に一言告げて走り出した。
「ちょっとまっててね!!!」
キッチンへ猛スピードで駆けてきて、光の速さで踏み台を手に取り、また弟がいる子ども部屋へ走っていく。
見守っているギャラリーの大人の頭には大量の「?」マークが浮かんだ。
踏み台で歌は聞けないけど???
これから何するつもり???
何かひらめいた風の様子を大人はそっと見守る。
すると、姉は踏み台を使っておもちゃ棚の上に置いてあるCDプレーヤーを操作していたのだ。
母も使い方を教えていなければ、父も教えていない。完全に見よう見まね。それでも、電源をオンにすることに成功。スイッチを押したその指には迷いがなくて、大人が使う様子を何回も見て覚えていたことを感じた。
電源が入ったことをプレーヤーが光ったことで確認すると、再生ボタンを探す。すぐに見つけて、無事に押すことができた。よく聞いているいつものメロディーが流れてくる。
弟は大満足のお顔。姉も弟のお顔を見て、とっても嬉しそう。それから、くるりと大人がいる方向を振り返り、にこっと笑った。
子どもの観察力に恐れおののいた。
特に教えてもらわなくたって、見て、真似して、どんどんできることを増やしているんだなぁ。今も、これからも。
今日も昨日も明日も、子どもの目には私が映っている。
下手なこと
不誠実なこと
ずるいこと
悪いこと。
していないつもりだけど、改めて、子どもたちが誇れる母であるかどうかを考えさせられた。
願わくば、私と旦那さんのいいところをいっぱいいっぱい見て真似して自分のものにしてもらいたいな。
私と旦那さんだけじゃない。周りの人のいいところをたくさん吸収してもらいたい。
明日もいい1日になりますように。