浮沈は世の常
筋書きどおりに運ばないのが人生である。思いもよらぬ天災、人災でたちまち暗転することもあるからである。時代の犠牲者として沈んでいく場合もあり、「盛衰は天然の事」であって、その人の行いが良くなかったために下った天罰として全てを結論づけてしまっては、あまりにも短絡的に過ぎるといえよう。特に幼い者に対して結果だけを取り上げて、それを人の善悪の行為によってもたらされた報いだと「教訓の為に」教えることは、人の評価の尺度を狂わせることにもなりかねない。
時として人の心は気まぐれであり、そして複雑である。羨望が高じて嫉妬心に転ずることもあるだけに、衰退していく人を悪業の所為にするのも、そんな気持ちが働いている場合もあるかも知れないからである。