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まり教室の先生

30代の頃、大叔母の影響で、柳川の『さげもん』を作っていたのですが、下げる物の中に、糸まりがあり、自己流で本を見ながら作っていました。
しかし、基礎を勉強したくて、探していたところ、街の施設で、週に1日「まり教室」をしているのを見つけました。
行ってみると、おばあちゃん達ばかり、20人程集まって、楽しくおしゃべりしながら「まり」を刺していました。
ちょっと様子見だけだったのですが、先生がやってきて、
「やってみませんか?」と、大きな「まり(直径20cm程)」と糸と針を持ってきて、刺し方を教えてくれたのです。
会費を聞くと、「まり」や針、糸代を払えば月に200円のエアコン代だけだと聞いて、楽に始める事ができました。

最初は先生の言う通りに刺していたのですが、
これがなかなか難しく、「まり」も大きい為に、家でも刺して行くのですが、最初の「まり」は一月程かかってしまいました。

鶴 見える⁉️

この教室では、自分が刺したい「まり」を先生が持ってきた見本から選んで、その見本通りに刺していくのです。
解らないところは先生にその都度聞いて刺していきます。
生徒さんの中にはもう何十年もしている方もいて、凄く難しいまりも刺していました。
先生は、初心者から、ベテランまで指導しているのですが、まりを見ていると、どう刺せば良いのかわかるそうでした。
お年寄りばかりで、30代の者は私一人。
一番若い生徒でした。
私としても、歳を取ってもできる趣味として、この「糸まり」を選んだので、目が悪くなっても、慣れていればできるこの趣味は良いと思ったのです。
それに、手を使うことは“認知症”予防にも役立つと踏んでいました。

先生の息子さんは、偶然、中学の頃の同級生で、先生は母親と同じくらいの年齢だったので、親しみもありました。

お年寄りばかりで、会話はお年寄りならではの
「年金」の話だったり、「孫」の話だったりなのですが、この教室では先生がとても褒める方だったので、みんなの悪口はあまり聞かれませんでした。
ですからとても居心地の良い場所でした。

20年程、たった頃、少し先生の様子がおかしくなってきました。
教えてもらいに先生のところに行っても、違う事を教えたり、刺し方を忘れたり、前回の時約束していた事を忘れていたりするようになってきました。

ある時息子さん(同級生のお兄さん)が教室にやって来て、「病院に行って『認知症』と診断がついて、生活にも支障がくるようになったので教室を辞めたい」となり、教室が解散になりました。
その後、有志が残って、教え合いながらやっていたのですが、私も忙しくなり(へバーデン結節にもなってしまい)また、メンバーも高齢化していまい、現在は教室はなくなったようです。

それにしても、歳を取ってもできて、“認知症”予防のためと始めた「糸まり」ですが、この話を子供達にしたら、
「“認知症”予防にならないのと違う❓」
と言われ、そうかも、、、と少し複雑な気分になりました。

頭を使って、指を使って、のんびり刺す。
これが良いんだと思って“認知症”予防に努める事にしましょう❗️

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