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酒井透

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(さかい・とおる) 東京都生まれ。写真家・近未来探険家。 小学校高学年の頃より趣味として始めた鉄道写真をきっかけとして、カメラと写真の世界にのめり込む。大学卒業後は、ザイールやパ…
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記事一覧

【写真家・近未来探険家 酒井透のニッポン秘境探訪】沖縄県の神秘に包まれた島に存在する『ウガンジュ(拝所)』

 沖縄県平良市・宮古島から北へ約4キロの海上に浮かぶ大神島は、神秘のベールに包まれた島だ。  今から30年くらい前、将来の発展を願って島を一周する道路が計画された。業者は、何台もの大型重機を運び込んで工事を始めたが、3分の1くらい進んだところで工事はストップしてしまった。計画ルートをふさいでいた大きな岩を重機で割ろうとすると、重機の「ツメ」が壊れてしまったのだ。

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【写真家・近未来探険家 酒井透のニッポン秘境探訪】岐阜県加茂郡川辺町・下麻生縣神社の『〝こじき祭り〟』

 ボロボロの服をまとい、ボサボサ頭をした〝乞食〟が、湯飲みにつがれた酒をグビグビと飲んでいる。かと思いきや、弁当が差し出されると、それをガツガツと食べ始める。  で、おなかが一杯になったら大イビキをかいて寝る(!!)。それなのに、小銭を握った人が近づいて来ると「パッ」と起き上がり、金属製の鍋を差し出す(!!)(!!)。  まるでB級映画に出てくるようなシーンをクソ真面目にやっている祭りがある。  毎年、4月1日に岐阜県加茂郡川辺町の下麻生縣神社で行われている「桶川まつり

【写真家・近未来探険家 酒井透のニッポン秘境探訪】ラブドール魔白さんと暮らす女の子『ひつじちゃん』

 たくさんの人形のなかに、ひときわ存在感のあるラブドールが一体。『魔白さん』と名づけられたドールと暮らしている女性がいる。自称〝奇形まんこ処女で永遠の13歳〟でアングラドルのひつじちゃんだ。 「魔白さんをお迎えしたのは2015年ごろ。ずっと引きこもってネットばかりしていたんですけど、そのときたまたま見つけたのがラブドールさんだったんです。『何だこれはっ!!』って思いました。  ネットで色んなユーザーさんのコメントを見てるとみんなラブドールさんとお話してるんですよね。私も『声

【写真家・近未来探険家 酒井透のニッポン秘境探訪】東京都・JRお茶の水駅前の『お茶の水橋』

 2020年10月、鉄道マニアや廃線マニアから、お爺さんまでが「おおお!!!」と唸ってしまうような鉄道遺産が出現した。場所は、JRお茶の水駅前にかかる「お茶の水橋」(東京都千代田区・文京区/神田川)。当時、現場では橋梁補修補強工事が行われており、都電(旧・東京市電)のレールが”出土”した。  このとき”出土”したのは、昭和6(1931)年に完成した2代目となる「お茶の水橋」(1代目となるお茶の水橋は、明治38(1905)年に完成)に敷かれた東京市電外濠線(通称:錦町線/※)

【写真家・近未来探険家 酒井透のニッポン秘境探訪】岡山県津山市の脳味噌のある博物館『つやま自然のふしぎ館』

 岡山県津山市内にある「つやま自然のふしぎ館」に、来館者の目を引きつけている展示物がある。ショーケースの中に展示されているのは、ホルマリン液に浸された実物の臓器だ。  『脳』、『肺』、『心臓』、『肝臓』、『腎臓』、これらはすべて1人の人間の体内から取り出されたものだ。  そのすぐ上に『遺言書』の写しが貼られている。 ーーーーーー  遺言書  法律の許す範囲に於いて自分の死体を医者に付しその中に、尚次の内蔵諸器管(原文ママ)を生理学標本として教育科学館の博物館に寄付した

【写真家・近未来探険家 酒井透のニッポン秘境探訪】福島県南相馬市の〝見たら死ぬ〟『幽霊画』

悪徳代官を呪い殺すため 動物の血で描かれた  福島県南相馬市にある金性寺に、今から2~300年前に描かれたとされる「幽霊画」が奉納されている。この「幽霊画」は、毎年夏に行われていた『幽霊画、極楽・地獄絵ご開帳』で一般に公開されていたものだ。  2011年に起きた東日本大震災以降、公開されることはなくなったが、幾服もの「幽霊画」からは、無念や恨み、心残りといったものが伝わってくる。  子どもが見たら、その日の夜に夢に出てくるようなものばかりだ。金性寺の住職である原啓寿さん

【写真家・近未来探険家 酒井透のニッポン秘境探訪】新潟県胎内市の『童女石』

亡くなった少女の霊が石に……  新潟県胎内市にある胎内観音に“不思議な石”が祀られている。『童女石』と呼ばれるこの石の表面には、うっすらと童女の顔のようなものが浮かび上がっている。顔の大きさは3×4センチあまり。  胎内観音に伝わる逸話によると、昭和42年に羽越大水害があり、この近辺でも多数の犠牲者が出た。  『童女石』は、新潟市に住む男性がその2年後の昭和46年に胎内観音の境内で拾ったもので、家に持って帰って土を落とすと童女の顔のようなものが浮かび上がったという。

【写真家・近未来探険家 酒井透のニッポン秘境探訪】長崎県長崎市の奇祭『もっとも爺』

 新型コロナの影響によって中止されていた時期を除いて、毎年、2月2日から3日にかけて長崎県長崎市の手熊町と柿泊町で行われている節分行事『もっとも爺』は、驚くほど知られていない〝奇祭〟だ。  『もっとも爺』は、「年男」、「福娘」、「もっとも爺」の3人一組で構成されている。  先頭に立って歩く「年男」は、「鬼は~ソト~」と言いながら豆を撒き、その後に続く「福娘」は、「福は~ウチ~」と唱えながら歩いていく。  そして、最後にいるのが子どもたちに恐れられている「もっとも爺」だ。

【写真家・近未来探険家 酒井透のニッポン秘境探訪】鹿児島県・諏訪瀬島の『幻の滑走路』

 鹿児島県の鹿児島港から南下すること約250キロ。人口70人あまり、世帯数30ほどの諏訪瀬島にリゾートホテルの廃墟と滑走路が残されている。  諏訪瀬島にリゾートホテルの廃墟と滑走路があることを知ったのは、20年以上も前になる2001年1月のことだ。  九州・鹿児島で取材をしていると、当時、駆け出しのライターをやっていたN君から連絡が入り、「島内にはヤマハリゾートが使っていたリゾートホテルの廃墟や滑走路跡がそのまま残されているんだ!!」と言った。  また、1960年代後半

【写真家・近未来探険家 酒井透のニッポン秘境探訪】東京・国立市の”首吊りパフォーマー”『首くくり栲象』

 2018年3月31午後2時、長きに渡って自宅の庭で毎日のように首を吊り続けてきた、パフォーマーの首くくり栲象(古澤栲/本名・守)さん(70)が、築地の聖路加病院で息を引き取った。肺がんだった。  2016年、記録映画『首くくり栲象の庭』が公開され、ドキュメンタリードラマ『山田孝之のカンヌ映画祭』(テレビ東京)では、芦田愛菜との共演も果たすなど注目を集めていただけに、この知らせを聞いた関係者やファンの人たちは、悲しみに包まれた。  栲象さんは、東京・国立にある自宅の庭で月

【写真家・近未来探険家 酒井透のニッポン秘境探訪】東京品川駅近くの〝提灯殺しのガード〟『高輪橋架道橋』

 東京都内にある珍スポットがとても残念な状態になっていたことが分かった。タクシーの『提灯殺しのガード』として知られていた「高輪橋架道橋」に再開発のメスが入っていたのだ。  問題の「高輪橋架道橋」は、JR山手・京浜東北線の高輪ゲートウェイ駅と品川駅の間にある。その長さは約250メートル。元々、南北に走る片側1車線の道路で、その制限高は1・5メートルほどのものだった。  そのためトラックやワゴン車が通ることは不可能で、セダンタイプのタクシーは通ることができたが、屋根に掲げられ

【写真家・近未来探険家 酒井透のニッポン秘境探訪】兵庫県淡路島の〝首折れ観音〟『世界平和大観音像』

 廃墟マニアや巨大物マニアなどの間で「首折れ観音」という名で知られていた「世界平和大観音像」(兵庫県淡路市)が解体されてしまった。巨大物マニアはもちろんのこと、探検マニアやからも落胆の声が上がっている。  淡路島に住んでいる人なら知らない人はいない「世界平和大観音像」が建設されたのは、1982年のことになる。地上高さ約100mを誇るこの像は、当時、“世界一の高さを誇る観音像”として人気の観光スポットになっていた。ところが次第に物珍しさがなくなっていくと来場客は激減。2006

【写真家・近未来探険家 酒井透のニッポン秘境探訪】ダウンタウンも認めた〝日本一まずいラーメン屋〟『彦龍ラーメン』

 2015年12月1日、「日本一まずいラーメン屋」として知られる彦龍ラーメンの店主 〝彦龍さん〟こと原憲彦さんが逝去した。68歳だった。発見されたのは、12月3日のことで、彦龍さんの公認ツイッターなどのSNSを管理する男性が自宅を訪問したときには、亡くなっていたという。老衰とみられる。  ごく普通のラーメン屋だった彦龍ラーメンが大ブレイクしたのは、1993年のことになる。フジ系列のテレビ番組『ダウンタウンのごっつええ感じ』で「日本一まずいラーメン屋」として紹介されたのがきっ

【写真家・近未来探険家 酒井透のニッポン秘境探訪】京都市下京区の西本願寺の『親鸞聖人の〝骨仏〟』

 毎年、正月やお盆になると数多くの参詣者を集めている京都市下京区の西本願寺に『骨仏』が奉安されている。  この『骨仏』は、親鸞聖人の木像で、国の重要文化財となっている御影堂(重要文化財指定名称は「大師堂」)の中にある。親鸞聖人の往生後(1262年没)に荼毘に付された聖人の灰を漆に混ぜて木像に塗り込めたとされていることから、「骨肉の御影」という名がつけられている。  朝早くから参詣をする人たちで賑わっている御影堂。しかし、親鸞聖人の木像が『骨仏』であることはあまり知られてい