ふつうは人力でやらないほどもっともたくさんの数の種子を蒔いた日のことを思い返してみる
(2024.3.25加筆)
はじめに
6年ほどはたけをつかいやさいづくりをした経験のなかからもっともたくさんやったことのいくつかが思いうかぶ。そのうちのひとつについて。
おそらくお読みいただくとあきれられると思う。もちろんひろいはたけをお持ちのかたにはおすすめしない方法。
きょうはそんな話。
(タイトル写真はその当時の麦秋のようす)
麦まきのはたけ
地理で習った方もおいでだろう。せかいをながめると冬に麦がつくれる比較的温暖な土地と、春あたたかくならないとつくれないところがある。
わたしの住む西日本は前者。小麦だけでなく大麦、わたしのそだてるはだか麦とてそんなにちがいはない。11月末の風につめたさがかんじられるころに種子を蒔く。
堆肥をおぎない真っ平らにたがやしたはたけに細竹でいくすじもの溝をひいていく。まっすぐにひけるようにはたけのむこうの梅の木の1点をみつめつつ、手の後ろにひくようにみぞをひいていく。もしくはタコ糸をピンとはってガイドにしてもいい。これでけっこうしっかりまっすぐの2条の浅い溝ができていく。
麦まきのようす
たいてい種まきは昼間の仕事を終えた夕方が多かった。この時間帯のほうが種まきしたあと土が落ち着く感じがする。水やりしたあとの土の湿りを維持しやすい。
ふつうはすじまき。ぽとぽと連続的におとしていく。ところがわたしの入手した新しい品種のはだか麦はまだ高価。発芽率がよいのですじまきしたあと間引くのはもったいない。そこで2,3日かけてひとつぶひとつぶはたけに直播きした。ぜったいにまねしないでいただきたい(常識的にはなさらないとは思うが…)。
麦の種子
はだか麦ののぎ(芒、ぼう)をとりのぞいた原麦をもみのまま蒔く。けっこう大きなふくろにたんまりとはいっている。いっぺんには蒔ききれないので、小分けしたうちのひとふくろをはたけに持ちこんだ。
きょうのノルマは3分の1。これをひとつぶずつ土のなかにおいていく。はたしてどのくらいかかるだろう。つぶが大きく蒔きやすい。日暮れまでにまきおわるかどうか。
ようやく終わったのは予想どおり夕暮れ間近。西に山が迫る土地。すとんと日が暮れる。どうにか1,400つぶほどを何本かの畝に蒔き終えた。
のこりの3分の2を2日間かけて蒔き終えた。ちょうどそのあとおだやかな雨ふり。じつにいいタイミング。
たのしくて
わたしはこうした作業のなかで種まきが無性にすきでまったく苦にならない。はたから見るとどうみえるだろう。ちょっとどころか相当変わっているかもしれない。
無心になれるし、のちの生長を想像しながらリズムよくひとつぶひとつぶ「育てよ。」と声をかけつつ土をかけてぽんぽんと地面をてのひらでおさえる。
おわりに
こうして概算で4,000つぶを蒔き終えた。たくさん種子をまいたのはこのときがいちばん。発芽は壮観だったし、そののちの出穂はほんとうに感無量。麦秋のようすはまぶたの裏にやきついて離れない。
そののちの麦のようす
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