顔の終着点
私はいたって平凡な顔だ。ここでは特徴を書くのを控えるが、子供の頃から母親に「勉強をすれば賢く見えてくるし、(顔の)欠点も気にならなくなるわよ」と慰めにもならない言葉を聞いて育った。親として子供に勉強させるための常とう句だろう。
我は強いが、私は、基本的には素直な性格なので、「そうなのかあ」、とその時だけは勉強にも力が入った(継続しなかったけど)。
若いころは、見た目を気にし、「どうすれば小顔になるか」とか「鼻を高くできるか」とかハリウッドスターのメイクを真似たり、鍼を試したり、とにかく雑誌を読み漁り、色々と研究したものだ。
とはいえ、努力にも限界がある。
「ルックスは整形や極端な減量でもしない限り、変えられない」、という現実を受け入れ、やがて、関心事は肌のシミやしわ、皮膚のたるみの改善に移行していった。
どうやって直射日光を避けるか、横向きの姿勢で寝ないようにするか、に気を配り、化粧品や美容サプリにかける金額もかさんでいく。
中年と呼ばれて久しい今、最低限、美容に気を遣ってはいるものの、魔法の薬がない限り、そして自分がロボットでない限り、老化を阻止することは不可能だ、ということを悟った。
むしろ、「顔ってその人の生き様そのものだな」と感じることが多い。
若いころはルックスの良さでカバーできたとしても、年とともに外見は崩れていく。
男女、年齢問わずに、「この人美しいな」と瞬間的にハッとすることがある。顔立ちの話ではなく、話し方や雰囲気も大きな要素ではあるけど、やはりその人の生き方、性格や人生に対する姿勢が顔にでているので、その人のことをもっと知りたいと思えてくる。
逆境を跳ね返してきた人の鋭い眼光、優しい人の目尻のしわなどすべてが魅力的だ。
そのような人は、いわゆる人間力が豊かで、ハッピーなオーラでもでているのだろうか?
生き様や性格で少しでも「顔」に魅力が増すのであれば、もう少し人に優しくなろう、カッコいい生き方をしよう、と思えてくる。
自分の顔の終着点に向けて、それは私の今後の大きな課題だ。
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