「妻の一日は?有閑階級か?」
わたしは、朝5時に起床し、コーヒーを飲む。もちろん、業務用インスタントコーヒである。
妻の起床は、午前の10時から11時の間だ。そして、朝食をきちんと食べる。
フランスパン、スクランブルエッグ、野菜サラダ、ヨーグルト、インスタントではなくサイホンで入れたコーヒー、牛乳とホテルの朝食のようだ。もちろん、家政婦さんが作ってくれる。
わたしは、学生の頃から、朝食は食べない。コーヒーをブラックで4杯ほど飲む。そして、パソコンでニュースを見たり、メールのチェック、ここ「note」を見たりするのが、わたしの日課になっている。
妻は、食事を取りながら朝の朝刊を読む。デジタルでも、もちろん、読めるのだが、妻は紙面媒体の朝刊を読む。
妻の楽しみは、朝刊に挟まって来た広告を読むことである。
食品の値段のチェックと健康に良く老化を防ぐサプリメントの広告をチェックすることだ。
家政婦さんは、妻に誘われ、朝のコーヒーブレイクで、世間話に花が咲く。どうでもよい話なので騒音にしか聞こえないが、わたしは、じっと耐える。そのうち、テレビで妻の大好きなネット通販の時間となり、それを凝視する。そして、発作的に電話し注文をする。決済は、わたし名義の家族員カードだ。わたしは、内心ハラハラ、ドキドキである。
支払いが増えることに比例し、不思議と妻の購買意欲は強くなる。
そうこうしているうちに、お昼になり、家政婦さんから昼食を作ってもらう。
妻は、鴨南蛮ソバ、天ぷらそば、とろろソバを作ってもらう。
お腹がすくらしく、お昼から肉を焼いてもらい生姜焼きをごはんと一緒に食べるときもある。
家政婦さんも食べたいものがあるだろうが、妻が、「わたしとおなじにしない?おいしいのよ」というので、二人とも同じメニューだ。
わたしは、小食のせいか、お腹がすかず、冷やしうどん、ザルソバ、そうめんの類だ。
結局、妻は起きて来るのが遅いので、食べることが仕事になる。
言い忘れたが、この時点で、妻はガウンを羽織っており、洋服に着替えていないし、お化粧もしていない。
娘は、働いているので事務所へ朝早くから行っている。
あっというまに午後になる。
妻は、ゆっくりと時間をかけながら、いつも飲むお薬を薬袋から出して並べる。家政婦さんと世間話をしながらなので、時間が非常にかかる。
薬を飲むのにも、冷たい麦茶で飲んだり、温かい白湯で飲んだり、その日の気分次第で変わる。
そして、妻は寝室へ行き、化粧をし着替えて来る。
リビングに降りて来ると、家政婦さんに、「あなた、喫茶店へ行かない?」と言う。二人していく日もあれば、家政婦さんが仕事が残っているとの事情で行けない日は、一人で言っても話し相手がおらずつまらないということで、お友達で暇そうなところへ、じゃんじゃん電話をする。
長電話が終わると、ふっーつかれたわ!とくたくたになった声で言う。
自分で電話していながら、お友達のお付き合いは疲れるわねー、という。
この時点で、夕方の4時である。
家政婦さんは、5時に帰ることになっている。
この間、わたしは書斎で仕事をしたり、雑用をしに、1階へ降りて来たりしている。
わたしの家では、みんなが自分の洗濯物をする。
プライヴェートなものであるからだろう。
わたしは、ここ「note」の記事に書いてあるが、レディースのTバックを履いているので、恥ずかしく、すべて、ワイシャツ、ズボンすべて自分で洗っている。自分で洗っているというより、全自動洗濯機・乾燥機がすべてやってくれる。
娘は若いのでやはり、恥ずかしいのだろう。すべて自分で洗濯をしている。
例外は、妻だけだ。傷んだ、ぼろ雑巾のようなショーツを平気で家政婦さんから洗ってもらっている。図太い神経だと思う。
4時を過ぎると、駅前にある高級スーパーであるプレッセへ妻と買い物に行く。
妻がすべてを仕切っている。
わたしが、つまみに焼き鳥のセットを買うと、「それは680円するでしょう、味は変わらないから198円の方にして」と、きつく折檻されているような口調で言われる。
レジでの決済は、わたしのカードだ。
わたしが、すべての商品を袋に詰め、カートとカゴを元の場所に戻してくる。そして、帰宅し、夕飯の準備である。
夕飯が終わると、わたしは、本格的に仕事に入る。
妻は、二階まで聞こえる大きな音量でテレビを観ている。
そして、朝方の二時ごろに、布団の中でipadでネット映画をつけっぱなしのまま高いびきだ。
わたしが、朝方の2時ごろに疲れて、やっと静かになったかと、スコッチウイスキーを飲んでいると、階段を、トントントンと降りてくる音が聞こえる。何と妻だ。あなた、わたし、お腹がすいて何か食べるものないかしら、という。しかたがなしに、わたしが、ごま塩でおにぎりを作り、夕飯の残り物を出す、妻はすごい勢いで食べる。
これが、我が家の狂気に満ちた一日である。
妻は、少しだけだが「有閑階級」に近い暮らしをしていると思っている。