【経験談】社会に馴染めず苦しんでいるADHDに『論語』を勧めたいワケ
⚠️はじめに断言しておきますが、ADHDの方にとって普通に生きるというのは非常にハードルが高いと思います。
私自身も会社員を経験してきた身ですので、それは痛いほど理解しています。
感覚としては暴走する自分を抑え続けるための耐久レースのようなものです。
そんな私が、現在の会社で当たり前のことができるようになった背景には、論語という一冊の本を読んだことが大きく影響していました。
今回は、会社で働いている又は働く予定のADHDの方に少しでも有用な内容ではないかと考え、記事を執筆することにしました。
まず、論語とは何か？
『論語』は、中国の春秋戦国時代の思想家である孔子とその弟子たちの言行録をまとめた書物です。
孔子の教えや弟子たちとの対話を通じて、倫理観や道徳、社会の中での生き方を説いた内容が特徴です。
具体的には、人生における「仁」「義」「礼」「智」「信」といった徳目や、他者との調和、自分を律することの重要性などが含まれています。
『論語』はもともと、弟子たちが孔子の教えを記録したもので、全20篇、約500の章句から成り立っています。
その内容は「人間関係の理想」「社会での振る舞い方」「自分自身の成長」に関する普遍的な知恵を提供します。
『論語』の価値は、古代中国に留まらず、現代の社会や個人の生き方にも通じています。
人間関係に悩んだときや、仕事や人生の方向性を見失ったときに参考になる言葉が多く、世界中で広く読まれています。
『論語』は単なる古典ではなく、「人としての在り方」を問い直すための永続的なガイドブックと言えるでしょう。
会社員のADHDに『論語』をすすめるワケ
私自身、ADHD当事者として会社員生活に挑む中で、特に人間関係に関する課題に悩んできました。
ADHDの特性は、発想力やエネルギーを発揮する一方で、周囲とのコミュニケーションや暗黙のルールへの適応に難しさを抱えることがあります。うまくいかないことが歯痒くて涙を流す日もありました。
その中で『論語』との出会いは、私に社会や職場という枠組みを理解するための「地図」を与えてくれました。
この記事では、ADHDが抱える会社での人間関係の課題と、それを『論語』の教えがどのように解決へ導いてくれるのかをお話しします。
1. ADHDが会社の人間関係で悩みやすい理由
ADHD当事者は、職場で特有の悩みを抱えやすいと言われます。
私自身の経験からも、以下のような特徴が課題となっていました。
① 感情の揺れが激しい
ADHDの特性として、感情の起伏が大きいことがあります。
些細な言葉や態度に敏感に反応し、相手の意図を過剰に受け取ってしまうことがありました。
結果として、苦手な人とのやり取りでエネルギーを消耗し、仕事の集中力にも影響が出ることが多々ありました。
② 暗黙のルールがわかりにくい
職場には、マニュアル化されていない「暗黙のルール」や「空気を読む」文化があります。
上下関係やチーム内での役割分担など、明文化されていない部分を察することが苦手で、無意識に周囲を困惑させてしまうこともありました。
③ 自分と他人のバランスが難しい
ADHDの特性から、アイデアやエネルギーを発揮する場面では「自分らしさ」を強く出しすぎることがあります。
その結果、チームの流れを乱してしまったり、協調性に欠けると思われてしまうことが悩みの種でした。
2. 『論語』が教えてくれる人間関係の基本
『論語』は、古代中国の思想書でありながら、現代の会社員生活にも適応できる普遍的な教えが詰まっています。
特に、人間関係を築く上で役立つ言葉が多く、私の悩みを解消するヒントを与えてくれました。
① 感情の揺れを落ち着ける
「徳は孤ならず、必ず隣あり」
（徳のある人は孤立しない。必ず共鳴する仲間がいる）
この言葉は、私が人間関係に悩んだときに大きな助けとなりました。
苦手な相手に過剰にエネルギーを注ぐのではなく、自分の価値観を大事にしていれば自然と良い仲間が寄ってくるという考え方です。
これを胸に、必要以上に他人を気にしすぎず、自分のやるべきことに集中できるようになりました。
② 暗黙のルールを理解する助け
「己の欲せざるところは、人に施すことなかれ」
（自分がされて嫌なことは、他人にもしない）
このシンプルな教えは、会社の暗黙のルールを理解する手がかりになりました。
周囲の言動に敏感すぎる自分を客観的に見直し、「相手の立場ならどう感じるだろうか」と考える癖をつけることで、職場での摩擦を減らせるようになりました。
③ 自分と他人のバランスを取る
「君子は和して同ぜず、小人は同じて和せず」
（優れた人は人と調和するが、むやみに同調しない）
この教えを知ったとき、私は「調和する」という言葉の意味を見直しました。
ただ相手に合わせるだけでなく、自分の意見や価値観を持ちながら協力することが、健全な人間関係を築く鍵だと気づいたのです。
これにより、自己主張と協調性のバランスを取ることができるようになりました。
3. 論語が導く仕事の進め方
職場の人間関係だけでなく、仕事そのものに向き合う姿勢も『論語』から学ぶことができました。
① 向上心を持つ意義
「学びて時にこれを習う。また説ばしからずや」
（学んだことを実践し、繰り返し確認することは楽しいことだ）
ADHDの特性である好奇心旺盛さを活かし、学びを生活に取り入れることの重要性を教えてくれた言葉です。
学ぶことそのものが楽しいと感じられるようになり、仕事へのモチベーションを高めるきっかけになりました。
② 自分を律する方法
「己を修めて人を治む」
（自分を律して初めて他人に影響を与えられる）
この教えに基づき、まずは自分の行動を改善することを意識しました。タスク管理やスケジュールの見直しを行い、自己管理能力を高めることで、他人との協力もうまくいくようになりました。
ADHDには2つの生き方がある：社会と馴染む努力か、自分の力を信じるか
ADHDを抱える人にとって、人生の選択肢は大きく二つに分けられると私は考えています。
一つ目は、「社会と馴染むために必死に努力をする」生き方。
そして二つ目は、「力を抜いて自分の力を信じて、自分にしかできないことをやり続ける」生き方です。
この二つの選択肢は、どちらも正解であり、どちらを選ぶかはその人自身の価値観や状況に左右されます。
1. 社会と馴染むために努力する道
社会には、一定のルールや枠組みがあり、ADHDの特性を持つ人にはそのルールが息苦しく感じられることが少なくありません。
それでも、多くの人は「社会に適応する努力」を選びます。
職場での上下関係やタスク管理、人間関係の摩擦を最小限に抑えるスキルを学び、周囲との協調を重視する生き方です。
努力を通じて得られるもの
この選択肢を取ることで、社会的な安定や周囲からの信頼を得ることが可能です。
例えば、以下のようなスキルを身につけることで、社会での生きづらさを和らげることができます：
タスク管理術やスケジュールの工夫
感情のコントロール法
職場でのコミュニケーションスキル
また、努力を通じて「自分は社会の一員として貢献できている」という実感が得られる点も、この生き方の魅力です。
ただし、この道を選ぶ場合、注意すべきことがあります。
それは、自分を追い込みすぎないことです。
過度な努力は燃え尽き症候群を引き起こしやすいため、適度に力を抜くことが必要です。
2. 自分の力を信じ、自分らしさを追求する道
一方で、もう一つの生き方は「社会の型に自分を合わせる」のではなく、「自分の特性を活かして独自の道を切り拓く」ことです。
この選択肢は、自分の個性や能力を信じて、社会の中で特別なポジションを築くことを目指します。
ADHDならではの特性を活かす
ADHDには、集中力が発揮される「ハイパーフォーカス」や、常識にとらわれない創造性、アイデアを次々と生み出す力といった強みがあります。
これらを活かせる環境や仕事を見つけることで、社会の枠組みに縛られずに、自分にしかできない価値を生み出すことができます。
例えば：
クリエイティブな分野（デザイン、執筆、芸術など）
新しいビジネスの立ち上げ
特定の分野に特化したスペシャリストとしての活動
この道を選ぶ場合、「自分がやりたいことに集中できる環境を作る」ことが成功の鍵となります。
柔軟な働き方や、協力してくれる仲間を見つけることで、孤立せずに自分らしさを発揮できます。
3. どちらを選ぶべきか？
この二つの道のどちらが良いかは、誰にも決められません。
重要なのは、自分の特性や価値観を理解し、「今の自分にはどちらが合っているのか」を見極めることです。
また、一度選んだ道を途中で切り替えることも可能です。
例えば、最初は社会と馴染む努力をしていた人が、途中から自分らしい仕事を選ぶようになるケースもあります。
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4. 論語が教える「どちらの道も間違いではない」
『論語』の中に、次のような言葉があります。
「己を知り、分を尽くす。」
（自分の特性を知り、自分ができる限りの力を尽くせ）
この教えは、二つの選択肢のどちらを選ぶにしても、自分を見失わないことの大切さを説いています。
他人と自分を無理に比べる必要はなく、自分が納得できる道を選ぶことが最善です。
4. まとめ：論語で「社会の地図」を手に入れる
ADHD当事者が職場で感じる人間関係の困難や、社会のルールの曖昧さ。それらを乗り越えるヒントが、『論語』には詰まっています。
私にとって『論語』は、ただの古典ではなく、現代を生き抜くための実践的なガイドブックでした。
同じように職場で悩む人がいれば、ぜひ『論語』を手に取ってみてください。
これが、新しい視点や考え方を得るきっかけとなり、より良い人間関係を築く助けになることを願っています。
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