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正しい健康法は自分で作る 背中の柔軟さと正座の大切さ
※正座は足や膝、股関節に疾患がある方には無理をせず、体調に合わせて行ってください。
例えば、人工股関節置換術後や椎間板ヘルニアの方、脳血管撮影検査後の方などは特に注意が必要です。
私の経験からも、正座が健康に良い影響を与えるケースはたくさんありますが、個人の体調や状況により異なります。
もし痛みや症状がある方は専門の機関の相談を受けることをおすすめします。
正座は身体に良い影響を与えるストレッチです。
正座は実はとてもいいストレッチなのです。
しかし過去には正座に反対する声も多くありました。
昭和や平成時代に出版された書籍の中には、「正座は身体に悪い」といった内容が書かれ、それが広く信じられるようになりました。
そのため、正座は体に良くないという固定観念が根強く残ってしまったのです。
しかし、最近では正座が見直され、少しずつその固定観念が崩れてきたように感じますが、まだ完全には広まっていないのが現実です。
特に日本人は、こうした情報に影響されやすく、自分の体の声を聞かずに判断してしまうことが多いため、誤解に基づいて正座を避けている人も少なくありません。
過去に書かれた本には、正座が原因で変形性膝関節症になる、腰が曲がるといった記述がありましたが、これらは昔の人々の生活習慣や体の使い方に起因するもので、正座そのものが直接の原因ではないと言えます。
もちろん、長時間の正座が足の血流を悪化させる可能性があるため、無理に続けるのは良くないかもしれませんが、正座が決して悪いものではない証拠はたくさんあります。
例えば、お寺や神社のご住職、茶道家、花道家などの文化人の方々は、長年にわたり正座を行っており、健康を維持してきた事実があります。
特にご住職の方々は、毎日正座をしてお経を唱えるなど、長時間の正座が日常生活の一部となっています。
もし、正座が体に悪いのであれば、ご住職の方々の腰や膝が曲がっているはずですが、実際にはそのような姿を私は見たことはありません。
もちろん、時には個別の事情で腰や膝に問題を抱えることもあるかもしれませんが、多くのご住職は正座を続けながら健康を保っています。
これこそが、正座が必ずしも悪いものではない証拠ではないでしょうか。
正座の重要性は過去と現在の違いを知ることにあった。
正座が体に与える効果は、インナーマッスル特に腸骨筋や大腰筋(合わせて腸腰筋とも呼ばれます)を鍛えるのに非常に効果的だということです。
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これは、昔のゆとりある生活と深く関係していました。
昔の人々はストレス社会ではないため、自然と腹式呼吸が多く、交感神経が過剰に働くことなく暮らしていました。
対して、現代人はストレスにさらされ、感情の起伏が激しくなることが多いです。
例えば、無意識に歯を食いしばったり、口に力を入れていることに気が付かないことがあります。
このような状態ではあらゆる筋肉が硬直し、血流が悪くなり体の不調を引き起こす方々がたくさんいらっしゃいます。
さらに、現代の椅子の生活では足首の前側を伸ばす機会がとても少なくなっています。
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そこで、正座をしながら腹式呼吸することで、自然と精神が統一され、ストレスから心身を解放し、さらに骨盤を立たせながら自然とお腹に力が入り、腸腰筋が鍛えられ足首や膝がストレッチされているということなのです。
そして、意識するとおもしろいのは、正座をすると自然と腹式呼吸になっていることに気がつくでしょう。
私自身、とある警察署で柔道を習っていた小学生の頃、稽古で正座をし、心身を清めながら腹式呼吸を練習しました。
これにより、体幹が鍛えられ、心身が強くなりました。
正座が全身に与える影響を理解することは、健康維持にとても役立ちます。
膝ばかりに注目するのは自然なことですが、正座は全身のバランスを整える素晴らしい方法でもあります。
日本人と外国人の骨格の違いと文化的な影響
日本人の筋肉や靭帯は比較的柔軟性が高いと言われています。
そのため、日本で生まれた武道や能、歌舞伎などの文化では、身体を活かした自然な動きが身につき、独自の技術や発想が形成されてきました。
一方、欧米の人々は骨格を支える筋肉が比較的発達しており、そのため運動能力が高い人が多いですが、筋肉や靭帯が硬いことが多く、身体の柔軟性に欠ける場合があります。
必ずしもそうではありませんが、欧米の人々が日本の伝統的な動き、特に正座に苦手意識を持つことがあるのも事実です。
私の院に来る海外の方々も「日本では正座が当たり前だと思っていた」と苦笑いしながら話すことがあり、笑いのネタとなっています笑
正座ができない方も多く、これは文化的背景や身体的な特徴に起因していると考えられます。
昔の日本人は、着物を着て帯を締めることで、身体の奥深くにある筋肉(インナーマッスル)を使い、正座を通じて自然と体を鍛えることができました。
その結果、姿勢が整い、全身のバランスを保つのに役立っていたのです。
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椅子の生活が多いと、足首の前側が硬くなり、骨盤が前傾し、歩行時に足裏をしっかりと踏み込むことができなくなる場合があります。
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これが進行すると、背中や腰の柔軟性が失われ、腰痛や肩凝りなどの原因となることもあり、膝に負担がかかってしまい、膝関節の潤滑油(滑液)の分泌が不足すると、将来的に膝を痛めるリスクが高まります。
欧米人の骨格や筋肉構造が日本人とは異なるため、無理に欧米人に合わせようとすると、逆に身体に悪影響を与える可能性もあります。
正座が簡単にできないことによる体への影響
正座がスムーズにできない人は、体が硬くなっている場合が多く、その結果、さまざまな体調不良を引き起こすことがあります。
まず、股関節の柔軟性が失われ、ふくらはぎが本来のポンプ機能を発揮できなくなります。
さらに、背骨が十分に伸びないため、呼吸が浅くなり、肩甲骨が固まってしまい肩こりや首こりが発生し、最終的にはストレートネックを引き起こすことがあります。
また、椅子に座る時間が長くなると、骨盤が前傾してきてしまい、お腹がポッコリ出て猫背になり姿勢が悪くなります。
その結果、脇の下にも余計な脂肪がつきやすくなります。
これを改善しようとして、椅子で背筋を伸ばそうとする方がいらっしゃいますが、骨盤が前傾しているのに背筋を伸ばすと、今度は反り腰という状態になり腰痛を招きかねません。
これらが進行してしまうと、以下のような問題が起こりやすくなります。
.股関節や膝が硬くなり、股関節を折りたたむのが難しくなる。
.足に余計な脂肪がつきやすくなる。
.ふくらはぎのポンプ機能が弱まり、血流が滞る。
.背骨が伸びにくくなり、猫背になる。
.胸郭が狭くなり、呼吸が浅くなることで血流が悪化し、健康に悪影響を及ぼす。
.肩甲骨が硬くなり、首が前に倒れてストレートネックになる。
.腰痛がひどくなり、治りにくくなる。
.お腹がポッコリ出て、姿勢がさらに悪化する。
これらの問題は、体幹や深層筋肉が弱くなることで起こります。
その結果、正座をすると足に過度の負担がかかりしびれたり、長時間続けることができなくなることがあります。
正座自体は長時間行うのは避けた方がいいですが、短時間でも30秒から1分程度行うことで、柔軟性を改善する効果があります。
正座ができないからといってあきらめず、少しずつ体を柔らかくするための運動を取り入れることが大切です。
正座の効果とメリット
では、正座の良い点はどうかというと、身体的・精神的な効果など多岐にわたります。
正座は体幹を鍛え、姿勢や柔軟性を改善するための優れた方法なのです。
・ 足首の柔軟性向上
正座は足首を伸ばすストレッチとなり、血行を促進します。
これにより、むくみや冷えの予防にもつながります。
・インナーマッスルの強化
正座をしながら腹式呼吸をすることで、腹筋や背筋等のインナーマッスルが鍛えられ、日常生活でも姿勢が楽に保てるようになります。
・姿勢の改善
骨盤が正しい位置に保たれることで、背筋が自然に伸び、肩の位置も安定します。
長時間座っていても姿勢が崩れにくくなります。
・股関節の柔軟性向上
股関節を開く動きにより、柔軟性が向上し、普段使わない部位を意識的に伸ばせます。
運動前後に取り入れると効果的です。
・精神的リラックス効果
正座は集中力や精神的な落ち着きを促します。
特に日本の伝統的な場面では心を静める効果があり、瞑想にも適しています。
・足腰の強化
正座を続けることで、膝や足の筋肉を使うため、足腰が強化されます。
特に、足首や膝、太ももにかかる負担が筋力を高めるのに役立ちます。
このように、正座は日常生活で簡単に取り入れることができ、身体の柔軟性や筋力を養うだけでなく、精神的な落ち着きも得られる素晴らしい座り方です。
体幹を鍛えることで、膝や足首にかかる力をうまく分散でき、足の痺れが軽減され、正座が楽にできるようになります。
体幹を強化することで背骨が柔軟になり、腕や足の動作が楽になり、少ない力で姿勢を維持てきますので、体のコントロールがしやすくなり、肩こりや腰痛の軽減が期待できます。
日本人には日本人の文化や習慣がありますが、それは日本人ならではの体型に合わせて作られたものですから、ぜひ取り入れて身体を楽にして過ごしていきましょう。
日本人の健康と精神の豊かさは正座にあり
日本人は本来健康的な民族であり、食事内容にも腸を意識したものが多く見られます。
脳腸相関というように、気が長く忍耐強いのは、日本独自の食生活や考え方、生活習慣が影響しているのでしょう。
これらは心の病とも関わりがあり、正座はそれらを改善する一つの方法です。
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正座において大切なのは、心身を清め、姿勢を正し、心に隙間を作ること。
これは瞑想と同じような効果を持つのです。
例えば、車を運転しているときに非常にイライラしている人を見かけることがあります。
こうした人には、正座をして精神を統一することをおすすめします。
『短気は損気』といいますからね。
大切なことは、自分の声が聞こえるように、常に精神を豊かにしておくことです。
そのうえで正しい選択を自分が行っていくことで自身を理解することができるでしょう。
たまたま私の院にいらした御婦人の例がありますのでご紹介させてください。
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最初にいらしたとき、ご主人に支えられながら階段を登ってこられ、見るからに辛そうな表情でした。
この時点では、まだ一人でしっかり歩くこともできませんでした。
私は医者ではないので診断はできませんが、腰に負担がかかりやすい状態で、膝の可動域にも影響がある状態でした。
このままでは腰も伸ばせず正座もできないでしょう。
この時点では、うつ伏せにもなれない状態でした。
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私があるところを1分ほど触るとこのように腰が伸びます。
ベッド上のカバンの位置を見ていただければ分かる通り、ほんの数分でこの変化が現れました。
しかし、この時点ではまだ正座ができるわけではなく、腰にも痛みが残っている状態でした。
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そして1時間の施術後、自ら壁に立ち真っ直ぐに背筋を伸ばすことができるようになりました。
ここまでくるとようやく正座ができるようになります。
つまり、腰の柔軟性は正座において非常に重要だということです。
腰が硬いと体幹の力がうまく働かず、足に体重が過剰にかかり、正座が辛くなってしまいます。
その後、股関節、膝、足首の調整を行い、ようやく正座ができるようになりました。
しかし、人は生活習慣というものがありますから、このままではまたもとに戻ってしまいます。
そのため、ここからは施術と体幹トレーニングを組み合わせて、弱った筋肉を強化していくことが大切となります。
そうすることでこの御婦人は回復していき、最終的にはうつ伏せも可能になりました。
私は、この御婦人にお風呂の中で正座をすることを勧めました。
お風呂であれば余計な負荷がかからず、足首のストレッチにもなります。
ここまでが私の整体とパーソナルトレーナーとしてのサポートとなります。
西洋医学的にいうと、正座はインナーマッスル主に腸腰筋を鍛え、姿勢を正すことで腰痛や肩こりなどがおきにくくなるということに繋がります。
また、東洋医学的に言うならば、姿勢を正して気の流れを通しやすくし、心身を保ち、気血津液の流れを良くすることで内臓の機能が正常に働き、凝りや痛みなどの炎症をとることに繋がるのです。
せっかく日本にいるのですから、日常のほんの一瞬でも正座を取り入れるのもいいかもしれませんね。
もちろん、正座が必ずしもできなければならないわけではありませんが、正座が楽にできるかどうかは、お体の状態を知る一つの目安として役立ちます。
もし正座が少し難しいと感じるなら、腰や股関節、足首を伸ばすストレッチを試してみるのもおすすめです。
ご自身でケアするのが難しい場合は、整体やストレッチの専門店に相談するのも一つの方法ですね。
ただし、決して無理に正座をする必要はありませんので、ご自身の体調に合わせて行ってください。
そして、一つだけお伝えたいのは、身体に異変があってからでは手遅れになってしまうということです。
できるだけ早いうちに、40代に入る前に筋力トレーニングやストレッチを定期的に始めておくことをお勧めします。
まずは30秒から正座を始めてみてもいいかもしれませんね。
私は毎朝寝起きに30秒から1分ほど正座をして、心身を整えてから行動するようにしています。
ご参考になれば幸いです。
お読みいただきありがとうございました。
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