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問いを立てる力を身につける
今日は最近読んでいる本がすこぶる面白くて読みやすいので紹介したいと思う。
ライフネット生命元会長で立命館アジア太平洋大学学長の出口治明さんの著書「自分の頭で考える日本の論点」だ。
以前「FACTFULNESS」という本を紹介したのだが、あの本が好きな方はきっと本書も興味深く読んでいただけると思うのだ。
「FACTFULNESS」は賢い人ほど世界について誤解をしているという論点からデータに基づいて客観的に世界を見つめ直してその本質を理解しようという内容でまさに目からウロコの話が多くあった。
本書も世界で起こっているあらゆる問題、例えば少子化は問題なのか?日本のコロナ対策は正しかったのか?憲法9条は改正すべきなのか?といった今特に日本を取り巻いている問題についてメディアによる玉石混交の情報が溢れて専門家の中でも諸説ある中で自分の頭で考えようというような内容になっている。
まさに今現在話題になっている22の課題についてファクトが提示される。
そしてそれについて出口さんなりの解説がついてくるというような流れで現在問題になっていることについての見識が広まると同時に色々と考えさせられるようになっている。
新聞やニュースメディアを読んでわかっていたつもりになっていたことがデータや学説の裏付けをもって説明されるので本当に理解が進むし出口さんが投げかける問題提起について自分自身で好奇心を持って調べてみようというモチベーションも起こってくるのだ。
少し前に教育実践家の藤原正博さんの本を読んで非常に印象に残っている言葉がある。「納得解」だ。
情報に溢れた現代では考え方も多様。
もはや「正解」を求める生き方は苦しくなるばかりでこれからの時代は「納得解」を持つことが重要で納得解を得るために必要なのが「情報編集力」であり「問いを立てる力」だと言われていたように思う。
SNSなどが発達した現代。
情報が溢れかえっている今だからこそ玉石混交の情報に踊らされるのではなく、ファクトになる情報ソースを冷静に収集してそこから自らに問いを立てる力というのは必ずこの時代を生き抜く力になるのだろうと思う。
本書はそんな風に「考えて納得解を導き出す力」を鍛えるにはもってこいの本なのだと思うのだ。