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白地に赤の水玉模様。 水玉の大きさが、少しいびつで。 白地との相性が面白くて眺めていた。 …
手持ちの服をすべて試してやっと選んだすみれ色のワンピースも、二日分のバイト代をつぎ込んで…
ごめ、飲みすぎた。へへ。 ねえ、かえれない、おれ。ついてきてよお、いえまで。 彼の手には…
その人のことを、わたしがどう思っているか、もう書くのもいやだけど、その人はとても悪い。…
私、実はこういうわけで欲求不満です。そう公言することがはばかられる類の欲求不満というも…
なんで、今日という日にかぎって、眼鏡を持ってこなかったのだろう。 昭和のある日のこと。 山手線の駅で電車が止まり、ドアが開くと、そこには、灰色のスーツを着た男たちが規則正しく並んだでいた。詰め入りの学生服を見られてる気がして恥ずかしかったけど、そんなことどうでもいいやと、人の流れに乗って階段を降り始める。足元がおぼつかないが、前の人にくっ付いて、ようやっと階段を降り切ると、受験の時、一度通った見覚えのある改札口が見えた。制帽を被った駅員さんに切符を渡して、外へ出る。 大
「割増」の灯るタクシーを停める。 タクシーに乗り込み、ふと考える。 運転手の隣に表示され…
女っけがまるでなかった無彩色かつ鬱々たる大学生活において、知り合いと呼べる異性はキャン…
ベッドルームに落ちていたピアスを拾った。濃い紫と淡い紫が混じりあった小さな宝石がシャラシ…
青空の月 それは最近よく見る夢だった。雲の夢だ。 蒼太は高い山の山頂にいる。空は綺麗に晴…
この空が白んでいく迄の間、僕は何を考えていたのだろう。自分の生き様や関わる人の事、そん…
ある秋雨の日、十七歳のわたしは音楽室でピアノを弾いていた。ドビュッシーの『夢』だ。窓に流…
「君のことが好きなんだ。どうか……僕と付き合ってほしい」 花火大会の帰り道。「一駅ぶん歩こう」と彼女を誘った河川敷。ほかの人がいなくなったタイミングを見計らって僕は切り出した。彼女はその先を促すように黙ったまま僕を見つめる。僕は慎重に言葉を続けた。 「えっと……その、恥ずかしさが20%、緊張10%、ここから逃げだしたい気持ちが20%、でもやっぱりどうしても好きな気持ちが20%で……ここで言わないとダメだっていう切迫感が30%――に、なります」 彼女は、何か言おうとし