【連載小説】「愛の歌を君に」#11 Dear TAKUMI
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前回のお話:
31.<麗華>
「あの救急車を追って下さい!」
自分と拓海のギターを抱え、無理やりタクシーに乗り込んだ。運転手が慌てて車を走らせる。安堵したのもつかの間、バックミラーにちらりと映った皺くちゃな顔に驚愕する。これが、今のあたしの顔……? さっき見た拓海の姿と重なりぞっとするが、今は見た目を氣にしている場合ではない。
(拓海……。どうか無事で……。)
彼のギターを抱く。そして知る。拓海が倒れてようやく、あたしは彼を深く