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シュルレアリスム、それとも。


今年の、ちょうど夏が始まったころに
「猫町」という本を読みました。

1935年に萩原朔太郎によって書かれた作品。

表紙に書かれている通り、
表題作の小説と他十七篇の作品。
表題作は1935年に書かれたものですが、
それ以外は、1886ー1942年の間に書かれたもの。
短編小説が3篇と、十三篇の散文詩、二篇の随筆。


今回は表題作をメインに、
そのほか少しだけ触れてみたいと思います。
猫町に関しては、大きなネタバレなどは
書きませんが、少し本編の内容や文章に触れます。


読み終わってまず最初に思ったことは

「なんじゃこりゃ」です。笑

この「猫町」の主人公は、
萩原朔太郎本人なんですよね、おそらく。
そして始まって2ページ目にはなんと

もはやこの上、私の秘密について多く語る
必要はないであろう。ただ私の場合は、用具や
設備に面倒な手数がかかり、かつ日本で入手の
困難な阿片の代わりに、簡単な注射や服用ですむ
モルヒネ、コカインの類を多く用いた
ということだけを附記しておこう。
そうした麻酔によるエクスタシイの夢の中で、
私の旅行した国々のことについては、此所に
詳しく述べる余裕がない。

萩原朔太郎 「猫町」より

と、こう来るわけですよ。

シュルレアリスム(超現実主義)、
現実を超えたその先にある何かか、
夢と現実の入り混じる世界か、
はたまた、薬中が散歩中に見た幻覚か…。


この本の面白いところは、

最後の「解説」がとてつもなく充実しており、
とても面白かったこと、です。
なんと解説が40ページもあるんです。

普段小説などの最後にある解説は
読まないことも結構あるのですが、
これは解説こそ読んでもらいたいと思う面白さ。

わたしが解説を全て読んだ後に書いた
読書メモをそのまま記載したいと思います。
(そんなことこれまでしたことないですが笑)

萩原朔太郎は、13歳下の妻と2人の娘がいた
にもかかわらず、38歳まで実家で暮らし、
庇護されていた。その後東京へ出て借家を
借りるも経済的な自立はできず(原稿料の収入
がなかったりあっても少なかった)40歳過ぎまで?
父からの仕送りに頼っていた。
(父親が高明で裕福な開業医であったそう)

いやいや朔太郎しっかりしてよ!笑。
親のすねかじり続けてるくせに、
阿片だのモルヒネだのコカインだのやって
のんびり詩や小説書いてる場合じゃないよ!
妻子を持ったんでしょうが!
と思わずにいられない気持ちもあった笑。

しかし妻を選定したのは朔太郎の両親らしく、
東京で借家を借りてから、座敷にはおしめが
散らばり畳には埃がつもり、妻は大声でわめき、
子供たちは泣き叫び、という生活で
朔太郎は家にはおらず市中をほっつき歩いて
いたそうだ。どっちもどっちだった笑。
両親も見る目がなかったのか…。
(その後離婚したそうな)

離婚の直接的なきっかけになったのは、
朔太郎の記したところによると、妻の稲子が
情夫を1週間も自宅に同宿させて子供達を
隣人に預けていたからだとか。その時子供達が
宿なし犬のように外で泥だらけで遊んでいるのを
見て、最初にして最後、妻の稲子を思いっきり
殴ったそうだ。時代は変わっても男と女は
変わらないものなのだなと思える、
なんとも言えないエピソードだった。

それから、近隣の芥川龍之介や室生犀星と
頻繁に往来する、さらには朔太郎の再婚相手に
谷崎潤一郎の妹などが候補に上がっていたなど
ほーとなった。

わたしの読書メモより


という感想文をわたしは書いておりました。
ほーとなった、とか書いてますが
自分しか見ない予定の自分だけの感想メモなので
どうか生ぬるい目で見てください。笑


なぜこの本を購入したのかというところなのですが
わたしは、題名に「猫」とつく本を
ついつい買ってしまうという"癖"がありまして。笑

小説や詩集、古いものから新しいものまで、
気になれば買ってしまう、そんな感じで今現在、
題名に「猫」とつく本が手元におそらくですが…
20冊以上30冊未満くらいあるかな?と思います。
(読了本、積読本全て含めて)

ある日この猫町を見つけ、
これは気になる…と購入したわけです。

めちゃくちゃなお話ではあるのですが、
なんとも中毒性があるといいますか。


ちなみに萩原朔太郎は、主には詩を書いていたそうで

内容・形式共に従来の詩の概念を破り、
口語象徴詩・叙情詩の新領域を開拓し、
詩壇に確固たる地位を確立。
森鷗外の絶賛を受けるなど一躍詩壇の寵児となった。

Wikipediaより

とのことで、詩集も気になる…買ってみよう!と
1923年に書かれた「青猫」という詩集を購入しました。
選んだ理由はもちろんわたしの"癖"です。笑
こちらはまだ読んでおりませんが、
またいつか、記事にて紹介する日がくるかも…?

…朔太郎、猫好きだったのかなぁ。笑


ところでわたし、
シュルレアリスムと言われる絵画が大好きなんです。
けれど、文学においてのそれには
これまであまり接したことがなく。

今回猫町を読んでいてふと頭をよぎったのが
大昔(10代か20代だったかな…)に読んで
意味が分からなくて途中で読むのをやめてしまった
「ドグラ・マグラ」です。
書い直して本棚にあるまま読んでいないのですが
今年こそ読んでみようと思ってきました。笑
読まれたことがある方いらっしゃいますか?


見出し画像の写真は、大阪歴史博物館で撮った写真です。
ここ、シュールで面白くて好きなんです。
また今度記事にしてみようかな。


それでは今日はこの辺で。


最後まで読んでくださってありがとう。

また気が向いたら、来てくださいね。


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