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途中学生

7
何気ない日常が好きです。 宇宙人も未来人も超能力者も出てきません。音楽を聴く、読書ができる日常を淡々と綴った小説です。 【あらすじ】 今年から中学生になった野田嬉々(ノダ キキ…
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記事一覧

『途中学生』#7

『途中学生』#7

中学生活3日目の朝
今日の空はどんよりとグレーに曇っている。

私の今の心理状態に近い天気だ。

「手首が痛い・・・」

昨日は2時間くらい、ジャズ喫茶「LIVE Time」でドラムを叩かせてもらった。

「コレが8ビートのリズムの刻み方です。まずはメトロノームで遅い、速いリズムでもテンポがキープできるようになりましょう。」

とマスターはまず右手のスティックでハイハットシンバルを叩き、左手でスネ

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『途中学生』#6

『途中学生』#6

中学生活2日目の帰り道

私は1人でいつもの商店街を歩いていた。
背負ったリュックの中のドラムスティックがカツン、カツンと歩く度に小さな音を出した。

ファミリアとジミヘンの帰り道は反対方向なので、商店街に入る前に分かれた。(2人ともこのあだ名を受け入れたので、私もそう呼ぶことにした。私だけ、あだ名がなく、そのままキキと呼ばれている。不公平!)

2人が歩いて行くの見送る時、マッカートニーとハーマ

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『途中学生』#5

『途中学生』#5

⌛️放課後

私とミリアは軽音楽部の部室を探していた。

「結構、広い校舎だから中々見つからないねぇ。」とミリアは疲れ始めていた。

「無理しないで、私1人だけでも大丈夫だから。」と、私は言うが、

「いゃあ、面白そうだし、一緒に行くよ!」
と言って、聞かなかった。

「でも、楽器をやった事がない初心者を入れてくれるのか心配だな・・・」
と不安をトロトロと吐露すると、

「私もバイオリンしか出来な

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『途中学生』#4 (長文なのでお暇な時に読んでください)

『途中学生』#4 (長文なのでお暇な時に読んでください)

⌛️中学校入学式の翌朝

私は真っ赤に充血した目で、窓の外の電線に止まるスズメをボンヤリと見ていた。

「嘘でしょ・・・今、6時半?」

昨日の夜、晩御飯を食べ、風呂と歯磨きを済ませ、部屋に戻ってきた時は22時だったはず・・・

時を飛ばすスタンドからの攻撃か!
ドドドッ

と深夜のテンションを引きずり、ジョジョ立ちをしている私を見て笑ってくれる人はいない。

「アフロ店長がサブスクリプションサー

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『途中学生』#3

『途中学生』#3

夕方

家に着いた。
鍵を開錠し、ドアを開け、アルコールで手を消毒する。マスクを外し、壁のフックにかけ、深呼吸すると、知らず知らずの内に張っていた気が抜ける。

「ただいま。」と私が言うと、リビングから

「おかえりー。」と母の声が返ってきた。

先に洗面所に行き、手洗いとうがいをしてからリビングに向かう。

リビングで母は、ポッキーをポリポリとリスの様に食べながらテレビを観ていた。

「学校どう

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『途中学生』#2

『途中学生』#2

入学式は滞りなく1時間位で終わった。
時間短縮の為、校歌は歌わなかった。
ふと、これから先に校歌を歌う機会は来るのだろうかと思った。音楽の授業で無理矢理歌うのはあまり好きではないが、中学生活は3年間しかないのだから、1度も歌わないのは校歌を作った人に悪い気がする。

入学式後のホームルームでは担任からの簡単な連絡だけで、自己紹介タイムもなく、下校となった。



学校と私の家の帰り道の途中に商店

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『途中学生』#1

『途中学生』#1

アラームが鳴る前に目が覚めた。
窓の外からスズメのチュンチュン鳴く声がする。
いつもと変わらない朝だった。
1つだけ変わった事は、私は今日から中学生になった。

朝食の時間迄、あと1時間位ある。
私は体温計を腋に挟み、熱を測りながら、スマートフォンに触れる。中学生になったので、昨日、父が買ってくれたのだ。まだ、使い方がよく分からない。電話帳には父と母の番号だけ入っている。

何となく自分の部屋を見

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