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ヒュプクラまとめ

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ベナ拡改め「ヒュプノクラフト」関係の記事をまとめています。
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#小説

【ヒュプノクラフト】あらすじ

【ヒュプノクラフト】あらすじ

貧乏で独身のおっさんが、コロナ禍の気晴らしに始めたウォーキングRPG「ドラグーン・ジャーニー・プロムナード」。その闇である強欲なガチャは異世界の悪しき道化「ガーデナー」の興味を引き、悪夢のRPGを生んだ。

夜の街に重なる「ARの夢」をDJPの美少女アバター「ユッフィー」の姿で探索していたおっさんは、悪夢の中で奇妙な「出産」をする。生まれた「息子」はおっさんの若き日の夢をこじらせ、プレイヤーたちを

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【第4夜】ヒュプノクラフト

【第4夜】ヒュプノクラフト


10/8(日)稔台ふるさと祭りパン! パン! パン!

朝から、秋晴れの空に音だけの花火。今日もどこかで、お祭りか。

ウォーキングRPG「ドラグーン・ジャーニー・プロムナード」のアプリを起動し、スマホを見ずに済む放置モードでいつもの散歩道を歩いてたら、新京成線稔台駅前の商店街が歩行者天国になっていた。道路を封鎖する看板には「稔台ふるさと祭り」の文字。

「きょおもぉ、お祭りですねぇ♪」

おっ

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【短編】ドワーフの女

【短編】ドワーフの女


ウジ虫の匠むかしむかし、地球の北欧とつながる異世界に、闇の妖精がいました。彼らはドヴェルグと呼ばれ、対価と引き換えに数々の神器を作り出す優れた匠として知られました。

けれども、彼らは陽の光を恐れ地中に隠れ住んだために、物語の主役となることはまれでした。

大地の礎となった巨人、ユミルの骸に湧いたウジ虫。神々はそれに人の姿と知恵を授け、闇の妖精ドヴェルグが生まれました。その出自と醜い姿ゆえ、人間

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第3夜【ヒュプノクラフト】

第3夜【ヒュプノクラフト】


暁と常磐線東京行きの始発電車が鉄道橋を渡り、何事も無く通過する。怪物なんかいない、怪奇現象も起きない。幻想拒絶は、見えない黒子。

夜明け前、一堂に語るリーフ。

「実は最近、マッドシティでも災いの種が使われました」
「その割に、地球は何ともないぞ?」

先日みんなが見た、凍れる惑星の話。

「ええ。本来なら現実に影響が出て、地球全体がどうにかなるところを夜の世界で『マッドシティの封鎖』だけに留

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第2夜【ヒュプノクラフト】

第2夜【ヒュプノクラフト】


深夜、松戸隧道前スミレ色の小さな竜に乗り、少年が国道6号を進む。地面近くを滑るように飛び、車通りのないトンネルへ吸い込まれてゆく。オレンジに染まる視界。

目指すは都内、敵は新宿にあり。

「あの子は、まっすぐな子です」

少年の背中を追いながら、つぶやくユッフィー。彼女もまた、桃色の猪の背にまたがっている。青いツインテールとボロマントが風になびき、黒い鎧がカタカタ鳴った。

(あの詩人さん、新

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第1夜【ヒュプノクラフト】

第1夜【ヒュプノクラフト】


2023年夏、千葉県松戸市6時を過ぎても明るい、真夏の夕方。暑い中を、半袖シャツにハーフパンツのおっさんが車の来ない脇道を歩く。少しでも日差しを避けようと、日陰を渡り歩いている。

そこへまっすぐな道路の正面から、手にしたスマホにチラチラ目を向けながら、自転車をこぐ別のおっさんが来る。スマホ歩きならぬ、スマホ自転車。

(危ないな)

徒歩のおっさんAが、自転車のおっさんBを避ける。すれ違いざま

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