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本の紹介

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#おすすめ本

斎藤美奈子著『挑発する少女小説』

映画『水深ゼロメートルから』(山下敦弘監督、2024年)は、補習と称して教師から、水を抜いたプ…

アンマchan
6か月前
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白尾悠著『サード・キッチン』

「多様性を"認め合う"」というが、この"認め合う"という言葉(行為)に戸惑う。 世界を"是正"す…

アンマchan
1年前

森知子著『カミーノ 女ひとりスペイン巡礼、900キロ徒歩の旅』

人は深く傷ついたり、とても大切な何かを喪うと、自分を支えることができなくなり、深い孤独に…

アンマchan
1年前
7

金井真紀著『酒場學校の日々』

金井真紀著『酒場學校の日々 フムフム・グビグビ・たまに文學』(ちくま文庫、2023年。以下、本…

アンマchan
1年前
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岩城けい著『さようなら、オレンジ』

私の大切な友達のことを書こう、書かなければならない。 岩城けい著『さようなら、オレンジ』…

アンマchan
1年前
1

「読書」について書く意味~若松英輔著『読み終わらない本』~

”note"には、本に関する記事が多く投稿されている。 "note"に限らずネット上では、大勢の人た…

アンマchan
1年前
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テクノロジーで身体感覚を取り戻す~伊藤亜紗著『体はゆく』~

インターネットやVR・ARは自分の身体を「外部拡張」するテクノロジーだと思っていた。確かについ最近まで、テクノロジーはそれを目的に進化していたように思う。 伊藤亜紗著『体はゆく』(文芸春秋、2022年。以下、本書)を読んで驚いた。テクノロジーは「身体感覚を取り戻す」とも言える方向に進化しているらしい。 本書でまず驚かされるのは「自由」の意味で、我々は何となく「システムやルール等から解放された状態」を「自由」だと思い込んでいるが、実は逆だということで、例えば、保坂和志著『世界

美術鑑賞で"目の見えない人"と"見える人"が歩み寄る~川内有緒著『目の見えない白鳥さ…

以前の拙稿『"目が見える"からこそ「世界の片面"すら"見えない」……だから歩み寄れる』で、伊…

アンマchan
2年前
2

阿古真理著『小林カツ代と栗原はるみ 料理研究家とその時代』から見る、戦後の女性史…

2022年2月10日配信のオリコンニュースに「1974年4月から48年間続いた料理番組『おかずのクッキ…

アンマchan
2年前
1

自分を映す鏡~坂井希久子著『17歳のうた』~

先日袴姿の女性たちを見掛けました。 大学生だけじゃなく、小中高校生……それぞれ卒業を迎え…

アンマchan
2年前

フィンランド人女性が清少納言の謎を追う「サスペンス劇場」~ミア・カンキマキ著『清…

外国の生活や文化を経験した人が口にする常套句に「日本人は自分の国の歴史や文化について知ら…

アンマchan
2年前
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「人生はゲームなのか?」を手掛かりに「哲学」を知る~平尾昌宏著『人生はゲームなの…

『人生はゲームではない』 平尾昌宏著『人生はゲームなのだろうか』(ちくまプリマー新書、202…

アンマchan
2年前
3

一生懸命な不器用女性たちが繰り広げるブラックユーモア~今村夏子著『父と私の桜尾通…

何故だろう。 本人は切実な事情を解決すべく、一生懸命・精一杯、事の対処に当たっているのに…

アンマchan
2年前
2

偏屈男が営む島唯一の書店のハートウォーミングな物語~ガブリエル・セヴィン著『書店主フィクリ―のものがたり』~

ガブリエル・セヴィン著『書店主フィクリ―のものがたり』(小尾美佐訳、ハヤカワ文庫、2017年。以下、本書)は、間違いなく感動でき、満足した読後感を得られるハートウォーミングな物語だ。 しかも、ただハートウォーミングなだけではなく、ミステリーあり、ラブコメあり、ちょっとした悲劇とささやかな仕掛けがあり、そして文学論もありと、物語好きにはたまらない内容になっている。 主人公の中年男・フィクリ―は、アリス島という小さな孤島にある唯一の書店の主。元々偏屈なのに加え、数年前に不慮の事